ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

岩貞るみこさん、目を覚まして!

2007年12月17日 | ITS
週末珍しく体調を崩してずっと寝ていた。
木曜日に、mobility21主催のシンポジウム「首都圏 高速道路の未来を考える」に行ってきた。
mobility21はモータージャーナリストの清水和夫氏が発起人となり進めているNPOで、クルマ好きの立場からクルマの負の遺産を排除していこう、という活動を進めている。

内容については明日以降改めて書くつもりだが、シンポジウムセッションの中でモータージャーナリストの岩貞るみこ氏から、参宮橋実験を高く評価するようなご発言があった。参宮橋実験とは、首都高4号線の参宮橋にある有名な事故多発カーブで、カーブ先渋滞の情報をビーコンVICS付きナビに情報提供することで事故を防止する、という実験である。

実際に事故は激減しており、国交省、ITSJapan等の関係者はこの実験は大成功だと宣伝をしている。岩貞氏もすっかりだまされているようだ。
しかしこのブログで何回も指摘しているように、この実験の成果は嘘のカタマリなのだ。

・そもそもビーコンVICSつけている車は1割以下。
 こんな劇的な効果が出るって本当なの?
・カーブ先渋滞の有無にかかわらず、事故は減少している。
 むしろ、単純な速度超過に起因する事故が減少したのは何故?
・VICS情報提供を途中停止した3ヶ月間も事故が増えなかったのは何故?
・VICS情報提供に先立って舗装の打ち直しをしたが、
 その時点から既に事故が減っているのは何故?
・仮にカーブ先渋滞が事故原因なら、その手前の新宿カーブと
 条件が変わらないが、なぜ参宮橋カーブだけ事故が多い?

そして、11月のITSJapan主催のシンポジウムでモータージャーナリストの両角氏がこの謎をすべて解明した。

参宮橋カーブはカーブの頂点にクルマの挙動が変わるくらい大きな継ぎ目があり、この実験をはじめる前の舗装打ち直しのときにこの段差を改善しているのだ。
上に箇条書きした事実はすべてこれに帰結する。

岩貞氏の論旨にはいつも敬服している。交通安全や弱者の立場からの交通行政への指摘など、非常に鋭いものがある。
特に今回のシンポジウムでおっしゃた「トラックなどは高速道路からおりないで欲しい」という意見は、クルマを生活道路にできるだけ入れるべきではないと思っている私はまったく同感である。

それだけに、岩貞氏には参宮橋実験の真実をきちんと理解して欲しい。
ほとんど事故防止に寄与しない路車間通信の実験なんて今すぐに中止して、首都高の道路継ぎ目の再点検をするほうが遥かに事故防止に役立つのだ。

12月17日 記事訂正 Mobility21->mobility21
Wordをエディタ代わりに作っていて、頭大文字の自動校正に気が付きませんでした。失礼しました。