ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

首都高Xと海外の課金方式

2007年12月23日 | 高速道路
首都高Xについて、もうすこし。

首都高の距離別料金についてはトラック業界から強い反対があり、最高金額についての見直しが入りそうだ。今日の新聞では、最高1000円を想定しているらしい。
まあ、トラック運輸の場合は都心を目的地とするケースは少なく通過利用が主体だろうから、距離別料金制度は実質値上げと捕らえられても仕方がない。
首都高㈱にとっては燃料の高騰という非常に間の悪い状況となってしまったようだ。

いずれにしても、この線で決着するとしたら現行料金との差は300円。年に数回しか利用しない首都高X想定利用者にとって、ますます購買動機が小さくなってしまう。
やっぱり無理でしょ、首都高Xは。考えた人は頭がよかったけど、マーケティング的には成立しないと思う。

で、前回予告した「首都高Xは複雑ではないのか。何故海外のようにカメラを使わないのか」という問いに対する回答について。

首都高㈱さんの回答いわく
・カメラは精度がわるく、85%程度の認識率しかない。
・いま、ETCできっちり管理しても0.1%は不正通行がある。
 これを15%も把握漏れがでるカメラにしたら、大変なことになる。
・海外ではカメラを使っているが、やはり認識率が悪い。
 でも、外人はいい加減なので、それで良しとしている。
 いい加減なことが嫌いな日本人としてはこれはだめだと思う。

 注)しかし、カナダ、オーストラリア、シンガポール、英国を例に挙げた上で「低い精度を許容するお国柄」と言い切るのはいかがなもんかねぇ。

この論旨には大きなミスリードが隠されている。
通行把握率と、不正通行の取り締まりは別の話なのに、それを巧妙にごちゃ混ぜにしている。

85%の把握率でも、常習不正通行車両の割り出しには十分だろう。
というか、仮に不正発覚率が85%であっても、それによる罰則が大きければ抑止効果がある。15%のラッキーを狙って不正をする人間は多くないだろう。
不正通行に対しては当然支払い督促がなされ、期日を過ぎると罰則金額が加算される等の仕組みになっていることが多い。

一方、多大のコストをかけた日本のETCシステムは100%の把握率を持っている。しかし、罰則がない。罰則がないどころか、支払い督促すら来ない。
だから不正通行をなくすことができない。

どっちのお国柄の方が賢いか、考えるまでもない。