たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

21年前の五竜岳(2814m)& 唐松岳(2696m)

2022年08月26日 | 心に残る思い出の山

     

白馬五竜テレキャビン→@片道840円

五竜山荘→@8600円

八方アルペンリフト→@片道1400円

私達が五竜・唐松縦走を計画していた9月11日、世界を震撼とさせるニュースが飛び込んできた。アメリカで同時多発テロが起きたのだ。ブッシュ大統領は即、報復を宣言。テロを指揮したとみられるウサマ・ビン・ラディンを黒幕と断定しタリバンに身柄引き渡しを求めた。「アルプスから帰ってくる頃には戦争が始まっているかもしれないな」と雄さんは言う。

       

リンドウ               

遠見から朝一番のテレキャビンで標高695mを稼ぎ(この先もリフトは有るがこの時期は稼働していない)先ずは1515mのアルプス平を目指す。

 

   

鐘が設置してあるケルンと風切り地蔵が並ぶ地蔵の頭で朝食。此処は八方尾根や戸隠方面の山々が見渡せる好展望地らしいが雲が多い今日は山麓風景が広がるのみで八方尾根はガスの中に途切れて全容を見せようとはしない。

地蔵の頭から五竜岳までの標高差は1141m。明日は風呂のある宿に泊まりたいので今日中に五竜岳を登ってしまいたい。

一ノ瀬髪

   

                お味噌汁が美味しいスギヒラタケがゴッソリ

   

中遠見            大遠見

中遠見から西方向に延びる細い登山道に入るとここまで足を伸ばしていた観光客の姿は既になく私達と少し前を行く男性二人だけの静かな世界が始まる。登山道脇の樹木は紅葉には未だ早かったがナナカマドやゴゼンタチバナなどの赤い実の連なりに初秋の匂いが感じられた事に紅葉とは字違いの高揚を覚えた。

一の瀬髪、二ノ瀬髪、小遠見山、中遠見山と急登は続き樹林化の道に涼しさの欠片は何処にもない。滴り落ちる汗を拭きふき大遠見山まで頑張って25分間の昼食タイム。

大遠見登山道脇の小さな池

池塘、切通し、砂地と西遠見に向かう稜線上は様々な変化を見せてくれる

        

 

大遠見から斜度も幾分緩やかになって30分弱で西遠見池に着いた。雰囲気がヨーロッパアルプスのシェズリー湖に似ていた。すると今までズッとガスの中に隠れていた五竜岳が瞬時の青空に荒々しい山体を覗かせたのである。

これをドリュと針峰に見立てればシェズリー湖周辺の景色に増々ダブっていく。大休止を撮った為、重い足が漸く慣れて来たところなので休みたくは無かったが通り過ぎるには勿体ない景色だったので池の淵に腰を下ろし暫く思い出に耽った。

池からは暫く坦々とした道が続くがそう長くは続かず、そんな時、足元に咲くリンドウが帯を作り今迄見た事の無い青さが苦しい登りの手助けをしてくれた。

途中4人の厳めしい容貌の男性が道を塞ぐようにして休んでいた。要所要所に真新しい材木が置かれ土を掘り起こした跡、それらに使用する道具が置かれているところから山道を整備している人たちの様だ。予算のある行政の仕事とは山を知り尽くした人たちの仕事は山にも登山者にも有難い仕事をしてくれる。有難い事である。

稜線に小さく山小屋が見えた

目まぐるしく変わる空模様の下、途中の岩場で一瞬の内にガスに見えなくなったり又、姿を現す五竜を眺めながら休憩。足元から凪落ちる草原は時折射す陽光にキラキラと輝きを放っている。その草原を通して爽やかな風も吹き渡る。15分ほどの至福の時だった。

ザックを背負い「さて」と気合を入れて見上げる五竜と唐松の稜線は未だ未だ高い。紅葉したカエデの間を通り休憩から40分後、漸く稜線に登り上げた。此処から下って五竜山荘を目指すが、この時すでに五竜岳は濃いガスに包まれ全く見えなくなっていた。今日、登ってしまおうと意気込んでいた気持ちが一気に萎えてしまった。(続く) コメント欄お休み