しかしアメリカはこうした変化に同調せず、アメリカのシナリオに沿わないで進む、北朝鮮、朝鮮半島安定化プロセスを崩壊させるために、出来ることは何でもやってのけた。
アンドレイ・イワノフ専門家は、そのように語っている。
「北朝鮮がIAEAその他の国際機関のコントロールの下で、原発建設の基礎段階を完了して以降、アメリカは平壌を、ウラン濃縮の秘密プログラムを開始したとして非難した。
アメリカは、それに付いて何らの証拠も提出することが出来なかった。にも関わらず北朝鮮に対し、原子炉の稼動を停止するよう要求した。
平壌は非公正さに憤慨し自身の立場を硬化させた。すなわち、IAEAとの協力を停止し、核不拡散条約から脱退し、兵器としてのプルトニウムの研究を開始した」
専門家は、このようにコメントしている。
こうしていわゆる北朝鮮の核開発プログラムが開始された。これに応じて問題解決のための6者協議も始まった。
すなわち北朝鮮、韓国、アメリカ、中国、ロシア、日本の6者だ。専門家たちは一つの法則を見出している。すなわち交渉に何らかの果実が得られそうになると、決まってアメリカが身を乗り出してきて、北朝鮮への要求を厳格化しようとし、そのことによって、既に締結されかかっていた合意も決裂し、妥協の成立の可能性がブロックされてしまうのだ。
アメリカはこれを意図的にやっているのではないか、アメリカは北朝鮮の核開発プログラムの問題が解決されることを望んではいないのではないか、という印象を受ける。
このようにイワノフ氏は、語っている。
「こうした全てのことは、アメリカの政権に都合の悪いことが続いていたということが背景にある。
アフガニスタン然り、イラク然りだ。その後はリビアだ。リビアはかつて核兵器を放棄した。北朝鮮の見るところでは、そのことこそが、リビアへの外国侵入、政権転覆、カダフィ殺害への道を開いた。
注目に値することはプルトニウムの存在だ。というのもアメリカの声明に関わらず、北朝鮮にウラン濃縮プログラムは存在しなかったと言って良い状況なのだ。
北朝鮮が濃縮を開始したのは、つい最近のことだ。現在、第3回の衛星発射実験も行われた」
専門家のコメントを続けて紹介した。
北朝鮮を制止できるのは脅迫ではなく、また制裁でもない。平壌に必要なのは一つのこと。すなわちワシントンが北朝鮮を認め、北朝鮮政権を軍事力で転覆することはないと保障することなのだ。
イワノフ氏は、そう考えている。
12月12日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル