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中国、旅券戦争を開始

2012-12-17 | ラジオ
中国と諸隣国との領土紛争は、最近予想しなかった方向性を持ち始めている。新しい中国の旅券には中国全土の地図が描かれているが、これには南シナ海の各島々、およびインドとの紛争対象となっているアクサイチン、およびアルナチャルプラデシュなど、紛争を抱えている領土がことごとく含まれている。
中国との領土紛争を抱えている国々は、様々な形で自らの怒りを表明している。

在北京インド大使館はこれへの対応として、中国国民にインドビザを発給する際、紛争地域を含むインドの地図を描いたビザを発給することとしている。ベトナムは新しい中国旅券は合法的なものではないとして、ビザ発給を別紙で行うこととし、出国の際には返却することとしている。

過去に軍事衝突にまで発展したことを考えれば、旅券に描かれた地図などは小さなことに思える。しかし問題はさらに大きなコンテクストで捉える必要がある、と、ロシア戦略研究所のヴォルホンスキー専門家は指摘している。
「1962年のインド・中国戦争は単なる歴史の事実ではなく、現代政治における最重要ファクターだ。
今年秋にその50周年がインドで祝われたこともそれをうら裏書(若い男性アナウンサーが言ったとおりそのまま記す)している。インドは屈辱的な敗北を喫し、アクサイチンという自国の領土を中国に譲らざるを得なくなくなった。アクサイチンは今に至るまで中国が実効支配している。これはインドの政治家および世論において、雪辱への思いを募らせている。
2003年にインドと中国は相互の領土主張を認め、つまりインドはチベットを中国の領土として認めた代わりに、中国はシッキム州をインドの領土として認めたが、未だに領土問題は両国関係の発展を妨げている。
それゆえにインドが今回の旅券事件に敏感に反応するのも理解できることだ。同じことが南シナ海においても言うことができる。先だって行われたASEANサミットでは、中国と諸隣国との領土問題が、かなり先鋭なものであることが確認されたのだ」
専門家は、このようにコメントしている。

今回の旅券事件には一つ興味深い事実がある。台湾、パラセル諸島およびスプラットリー諸島については旅券の地図に含まれたものの、日本との間で問題となっている、尖閣諸島については示されていない。
これは日本との問題については、他の国の問題とは違って、強行解決の準備がないということなのだろうか。

旅券に描かれた地図は、太平洋およびインド洋に対する中国拡張を目指す長期的戦略の一環だ。これは最近、演習空母への初の着艦訓練が行われたことからも分かる。
中国はこのソ連製空母を、文化娯楽施設またはホテルという名目でウクライナから購入した。しかし修理を終えてドックから出てきたとき、それは訓練用に使われるということが明らかにされたという経緯がある。

中国はいかに国境を書き換えてきたか 地図が語る領土拡張の真実
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草思社

11月26日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
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