読書。
『原始日本語のおもかげ』 木村紀子
を読んだ。
この本の帯に、「~~(略)列島にひびいていた文字以前からの声と文化を語りだす」
と書かれているのですが、そんな、文字以前の「音」だけだった言葉に焦点をあてて
日本語を解き明かしていくんだっていう本というわけでは…、章によってはあるんだけれど、
一冊読んだ感じですと、常にそうだっていう本では無かったかなぁ。
とまれ、14の章でとりあげられている、おおまかに言えば14の言葉の語源、成り立ちを、
古い所では記紀、万葉集などを引きながら説明してくれています。
その思考の筋道、論理、発想、拠り所となっている知識などには、
読者として触れることができて良い経験になりました。
読んでいて、そんな簡単な結びつけ方で良いものなの?と思ってしまう
ところもあるのですが、大体のところで、思考法の深さといいますか、
熟慮加減を、さらっと語られていながらも読むことでなぞることができるのです。
多大な知識を吸収し、勉強を重ねて消化してこそ得られる視点、思考法なのだろうなとため息が漏れます。
専門用語を使っていなくても、この著者は専門家だなぁと読んでみて了然です。
ただやっぱり、語源として、音だけだった言葉の時代から、それに文字が当てられて
日本語になった形跡を感じることができるのです。
たとえば、「タスキ」という言葉は、タが手(た)で、スキは梳く(すく)などの動詞が元になって
出来た言葉ではないかと推理されています。本にはもっと詳しく書かれていますからね。
それで、そのタにしても、スクにしても、文字以前にそうやって音で表現されていたんだろうなぁと
想像力が働いたりします。
もう一つ引用すると、「おかゆ」すなわち「粥(かゆ)」は、「か」と「ゆ」に分けられます。
「か」とは、食をさす古い音で、本の中に古語の例がいろいろとあげられています。
「ゆ」はいわずもがな、「湯」なんですねぇ。合わせて「かゆ」という言葉になっていて、
その昔は、お米を湯で煮てとろとろにした食べ物だけをさすのではなく、
湯で煮た食べ物はみんな「かゆ」と言っていたらしいです。
とまぁ、ここまで読んでもらって興味を持たれた方は一読の価値はありましょう。
ちなみにこの本は、昨年の夏ごろに坂本龍一さんが推薦していたものだったと思います。
古文に疎いと読むのがけっこう大変なところもあります。
文字以前の日本語ってものを種子として、今の日本語はできあがっているんだなぁ、
原始の日本語はまるで姿を変えてしまっているわけじゃないんだなぁという事がわかる、
言葉から感じる壮大な歴史ロマンだったりもしましたよ。
『原始日本語のおもかげ』 木村紀子
を読んだ。
この本の帯に、「~~(略)列島にひびいていた文字以前からの声と文化を語りだす」
と書かれているのですが、そんな、文字以前の「音」だけだった言葉に焦点をあてて
日本語を解き明かしていくんだっていう本というわけでは…、章によってはあるんだけれど、
一冊読んだ感じですと、常にそうだっていう本では無かったかなぁ。
とまれ、14の章でとりあげられている、おおまかに言えば14の言葉の語源、成り立ちを、
古い所では記紀、万葉集などを引きながら説明してくれています。
その思考の筋道、論理、発想、拠り所となっている知識などには、
読者として触れることができて良い経験になりました。
読んでいて、そんな簡単な結びつけ方で良いものなの?と思ってしまう
ところもあるのですが、大体のところで、思考法の深さといいますか、
熟慮加減を、さらっと語られていながらも読むことでなぞることができるのです。
多大な知識を吸収し、勉強を重ねて消化してこそ得られる視点、思考法なのだろうなとため息が漏れます。
専門用語を使っていなくても、この著者は専門家だなぁと読んでみて了然です。
ただやっぱり、語源として、音だけだった言葉の時代から、それに文字が当てられて
日本語になった形跡を感じることができるのです。
たとえば、「タスキ」という言葉は、タが手(た)で、スキは梳く(すく)などの動詞が元になって
出来た言葉ではないかと推理されています。本にはもっと詳しく書かれていますからね。
それで、そのタにしても、スクにしても、文字以前にそうやって音で表現されていたんだろうなぁと
想像力が働いたりします。
もう一つ引用すると、「おかゆ」すなわち「粥(かゆ)」は、「か」と「ゆ」に分けられます。
「か」とは、食をさす古い音で、本の中に古語の例がいろいろとあげられています。
「ゆ」はいわずもがな、「湯」なんですねぇ。合わせて「かゆ」という言葉になっていて、
その昔は、お米を湯で煮てとろとろにした食べ物だけをさすのではなく、
湯で煮た食べ物はみんな「かゆ」と言っていたらしいです。
とまぁ、ここまで読んでもらって興味を持たれた方は一読の価値はありましょう。
ちなみにこの本は、昨年の夏ごろに坂本龍一さんが推薦していたものだったと思います。
古文に疎いと読むのがけっこう大変なところもあります。
文字以前の日本語ってものを種子として、今の日本語はできあがっているんだなぁ、
原始の日本語はまるで姿を変えてしまっているわけじゃないんだなぁという事がわかる、
言葉から感じる壮大な歴史ロマンだったりもしましたよ。