Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『ホットロード』

2014-09-04 00:47:57 | 映画
またいきなりな感じで、レイトショーで
能年玲奈さん主演の映画『ホットロード』を
観てきました。

暴走族の話。
家庭がごたごたした女の子の、
愛とアイデンティティの話。

能年玲奈さん演じる和希に、
彼女のもつ母性を強く感じた。
彼女にとどまらず、木村佳乃さん演じる母親もそうだったし、
暴走族の取り巻きの女の子たちもそうだったし、
リーダーの恋人である太田莉奈さん演じる女性もそうだったし、
みんなに母性を感じた。

そういう女の人の母性に包まれているような映画だと思った。
母性ってのは、受け入れるおおらかさみたいなのが一つありますよね。
だから、どうしようもない男にも女性がくっついてくれたりもする。

なんだか、男って「点」で、女は「線」かもしれない、
なんて、和希のいや能年さんの素のようなやさしい表情をみながら考えていた。

途中で、鵠沼診療所っていうのが出てきますが、
これがちょっとした偶然で、今読んでいる村上春樹さんの雑文集に出てくる地名で、
少しの間彼が住んでいたのが鵠沼なんですよね。
神奈川県藤沢市鵠沼。
ちなみに、そこに村上春樹さんが住んでいた頃に書いたのが、
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』だそうです。
この作品は10代の頃に読んで、もっとも衝撃を受けた、
というかフェイバリットだった作品。
今まで3回かな、読み返してます。
鵠沼という地名は、この雑文集のその部分を読んだ2日前くらいに
初めて知った地名でした。

そんな偶然があると、なんだかこの映画とは縁があったというか、
もうみるべき映画だったのかなぁという気さえしてきます。

高校生くらいの男女6,7人が僕の上の席に陣取って、
映画の最初の予告のときなんか、軽い感じでその映画を冷笑的に笑ったり、
あれこれツッコンだり下手な冗談を言ったりしていて、
でも、能年さんの次回作である海月姫の予告が終わったころには
何もしゃべらなくなって、それはきっと予告中に「エリート童貞」という
言葉が出てきたから、きっと彼らは「童貞」という言葉にセンシティブだからだろうと推測されて、
可笑しくなりました。
そんな彼らは、映画のクライマックスの部分で、すすり泣くすすり泣く。
男も「うえっうえっ」とやりながら洟をすすって、たまに泣き笑いまでしてるのは
恥ずかしいからなんだろうな。
女子も、「私ら女子だから」的な、ここは泣いていいシーンだと計算したので泣きます、みたいに、
これは正統です、みたいな鼻のすすり方をしてました。

そんなわけで、10代の、この映画にでてくる人たち同じくらいの年の人は泣けるのかもね。
というか、あまり映画慣れというかフィクション慣れしてないから泣いてたんじゃないのかな。
そうも思えました。

能年玲奈さんの演技を久しぶりに観ましたがよかったです。
能年さん自体がいいもんねぇ。
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