Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『本へのとびら』

2015-08-21 00:16:06 | 読書。
読書。
『本へのとびら』 宮崎駿
を読んだ。

スタジオ・ジブリの巨匠である宮崎駿さんが、
自身が親しんだり、よい評判を聞いていたりする
岩波少年文庫のなかからの50冊を紹介し、
自らと本についてのインタビューに答えた本。
また、東日本大震災を受けての今後の展望や子どもたちへのメッセージも
収録されています。

やっぱり、あれだけ子どもの心をつかむ作品を作る人ですから、
児童文学の読み下し方なども深いというか、
意識の表層で理解しているのではなくて、
ハートのレベルで理解している人なんだと思う、
それも実感として「児童文学を経験」しているのではないだろうか。
そんな片鱗をうかがい知るとともに、
アニメーターらしく文庫の挿絵へのこだわりも知ることができます。
挿絵あってこその児童文学だ、みたいなことも言っていました。

かたや、マルクスの『資本論』や哲学の本などには相性が悪かったといいます。
宮崎さんの世代くらいの人ならば、最低限これだけの本を読まなければいけない
という強迫観念めいたノルマみたいなものを時代の空気が強いたようですが、
そのなかでも、今書いたような『資本論』だのヘーゲルだのカントだのを
熟読するようなことはなかったみたいです。
また、ドストエフスキーについても、『カラマーゾフの兄弟』までは
辿りつかなかったといいます。
なので、これを知ってバカにする人もいるでしょうが、
ぼくなんかに言わせると、そんなのを言うほうがアホみたいなものかもしれない。
児童文学の世界にどっぷり体を浸らせて、
そして、そこから得た何かを使って子ども心に訴えて
情操を育てるような作品を作り出すようになるために、
『資本論』なんかは必要ないと思えるからです。
豊かさ、ですよね。

そんなわけで、ぼくはまぁ児童文学に興味のある方なので、
この本で紹介されていたものいないものに関わらず
これからもたまに読んでいくでしょう。
その都度、ここで感想を書くことになりますので、
そのときはお付き合いどうぞよろしくお願いします。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする