イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「風の男 白洲次郎」読了

2006年12月04日 | Weblog
青柳恵介「風の男 白洲次郎」読了

このブログを読んでくれているひとで、どのくらいの人がこの人のことを知っているだろう。
書いている本人もついこの前までこんな人を知らなかった。まず、この人を知ったのは深夜のテレビでだった。明石家さんまがホストとしてこの人を紹介していた。
この人はどんな人かと言うと、戦後、占領下で終戦連絡事務局でGHQとの交渉約をし、その中で日本国憲法の成立を見届け、またその後通産省の設立の仕事をし、サンフランシスコ講和条約には吉田茂の随員を務めたという、いわば戦後の日本の基礎をつくり、間近で見た裏方のような人なのである。
なのに政治家でも官僚でもなく、一民間人なのである。坂本竜馬のような人なのだ。
そしてこの人が魅力的なのは自分の信念を持ち、それを崩すことなく一生を送った人であるからだ。
若い頃をイギリスですごし、貴族のプライドというものをそこで身につけ、日本やアメリカの重要人物とも親交が厚かったようである。
憲法改正や北朝鮮、アメリカとの関係が取りざたされる中でクローズアップされてきたようである。

身長が180センチを越え、おしゃれな人でもあったそうだ、80歳を過ぎてもポルシェ911に乗っていたというのも格好がいい。
この本にはこの人のいろいろなエピソードが綴られているのだが、それのどれもが一貫した哲学のもとに行動されているのが痛快でもあり魅力的だ。
この人はよくprincipleという言葉をよくつかったそうだ。どんなことがあっても揺らがない、譲ることのできない自分の筋、哲学という意味らしい。そしてこの本には出てこないがnoblesse obligeという言葉もよく口にしたようだ。高貴なる者(身分の高い者)の果たすべき重責という意味だが、自分のなすべきことが何であるかということを自覚して生きた人でもある。
僕には到底、真似はできないがほんのすこしでも見習いたいものだ。
まさにダンディズムである。
もう少しこの人に関する本を読んでみようと思う。
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