イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「エヴァンゲリオンの謎」読了

2017年06月08日 | 2017読書
特務機関調査プロジェクトチーム 「エヴァンゲリオンの謎」読了

50を過ぎたオッサンがアニメをみて何を喜んでいるのだと言われるだろうが、先だってBSで放送されていたのを見ていたので、ついでにこんな本を読んでみた。

「新世紀エヴァンゲリオン」は平成7年にテレビ東京系で放送されていたアニメだ。
当時から“エヴァンゲリオン現象”という言葉がニュースでも取り上げられていたり、ウチの会社の会議でも役員が「エヴァンゲリオンって知ってる?」と聞いていたほどだ。

今でもその人気は結構なものらしく、山陽新幹線に登場するロボット(ではないようだが・・)のカラーの車両が走っていたり、最近でもいらないことを言ってしまって首になった復興大臣のネクタイの柄になっていたり、「みちびき」という人工衛星を飛ばしたロケットの胴体に描かれたシンボルマークはこのアニメの製作会社が作ったりしていた。監督は「シン・ゴジラ」の監督もしたというのでも話題になっていた。
そういえば、アニメに出てくる槍を本当の刀鍛冶が玉鋼を使って作ったということもあったように思う。
ちなみに主題歌の作詞者は和歌山市出身だ。

タイトルは知っていたものの、今まで見たことがなかったがそのBSで放送していたものを見てみると、確かに世間で話題になるほどの内容だと思った。

物語は主人公である14歳の少年の成長物語として進んでゆく。
自分とは何者か、自分の存在意義とは、そして父親との確執と葛藤。
本当の自分とはどこにあるのか。自分自身の体の中にあるのか、それとも相手の心の中にある自分が本当の自分なのか。相手が期待する自分を演じ続けなければならないのか。そうしたら自分自身というものは一体どこにあるのか・・・。
そんな悩みを抱えながら主人公はロボット(みたいなもの)に乗って敵と戦う。
そしてそれは人が持つ欠けた部分である。人は誰でもそんな欠けたところ、空白になってしまっているところを持っている。それを解消するためには完全無欠のひとつの生命体に進化しなければならない。そのために立てられた計画が人類補完計画だという。
ここまではまさに世阿弥が書いた花伝書や近い将来人間にとって替わるかもしれない人口知能が征服した世界を暗示しているようにも思えないだろうか。

そして主人公とその父親との葛藤。子供(僕には息子しかいかいのでそれしかわからないが・・・)は父親を否定することで成長する。それがなければまともには育つことができない、しかし、それがわかっていながら否定されることへの失望や恐れ、落胆。そんなものも取り込まれている。
そういうようなものを旧約聖書や新約聖書、ユダヤ教などの世界観を織り交ぜながら物語りは進んでゆく。

物語は謎が多すぎるとか、中途半端に終わっているとか批判も多かったらしいが、この物語を、人とはいったい何者なのか、どこから来てどこへ行くのか、どうして存在するのか、そういうものへの答えの足がかりとして見るのなら、そしてかつて遠い昔の人たちがそれを神話で著したように、現代の人が新たに付け加えた神話として見るのなら、これはこれで見ごたえのあるアニメだと思うのはちょっとオタクすぎるだろうか・・・。


製作メンバーには痩せる本を書いたオタク評論家も参加しているほどなのでそういうことを世間の人が見るとイタく感じるような仕上がりになっているが、よくよく見たら、みんな同じ悩みを抱えて生きているのだということを表現している。
主人公の少年は僕自身だと監督はインタビューで答えていたらしいが、それとても僕にとっては少し救いになったのである。

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