私が瀬田貞二(1)を知ったのは、大学院生の頃だったと思います。
図書館の暗い書庫の中で、児童文学らしき雑誌をコピーしていた時に知りました。
具体的に何の論文や記事だったかは覚えていません。
それからしばらくその名前のことは忘れいてたのですが
それから5年後くらいに、息子に絵本を読んでいた時、瀬田貞二という名前を久しぶりに目にしました。
「あれ?この人の名前、何かの論文で見かけたことがある!」
絵本の世界を知ったのは息子が1、2歳の頃でした。
それから、石井桃子、松岡享子、松居直など、いろいろな方の名前を知るようになったのですが
唯一私が知っていた名前は、瀬田貞二だけでした。
ちなみに瀬田貞二と言えば、『三びきのやぎのがらがらどん』とか、『おやすみなさいおつきさま』を訳した人として有名です。
しかし「なにその絵本?」というのが、数年前の私のリアクションでした。
そう、こうした定番絵本すら、もともと私は知らなかったんです。
そんな瀬田貞二に惹かれるようになったのは
彼は国文学研究よりな人だったからです。
研究者であっても、瀬田貞二は現場の子供と瀬田貞二のやっていることはさほどズレ(温度差)がないところも魅力です。
ご自身の持っている知識を生かし、絵本等の翻訳も手がけ
日本の児童文学界に大きく貢献しているところに好感を持ちます。
先日やっと瀬田貞二の児童図書館講座の講演記録である『幼い子の文学』(2)を購入し
読んでみたところ、児童書を手渡す図書館員の方々に、自分の持っている知識を伝え
図書館員の質を上げ、子ども達の図書環境をよりよくしようとしていた姿勢が講演録から読み取ることができました。
研究しただけで終わらず、研究内容を実践で活かすことを大切にしてこられた方。
まさに「知識は使って活かす」を彼は実践しています。
と、ここまで瀬田貞二はすごい!ということを書いてきましたが
私が絵本関係の勉強をし始めたころは
瀬田貞二が訳した絵本を読んでも、いまいちピンときませんでした。
それが、子ども達にも絵本をいろいろ読むようになったところ
「日本語って美しい!」「なんて心地のいい響きなんだ!」
と『名馬キャリコ』等で「瀬田節」の魅力に気が付き始めたのです。
児童書をいろいろ読み続けて3,4年経ち
やっと瀬田貞二の文章の魅力に気が付き始めたのです。
素人には良質な文学の良さはすぐにわからないのだと痛感しました。
ということは、何気なく絵本を買っている人にも
良質な文学の良さは、いまいちピンとこないのだと思います。
だからこそ、良質な文学のことや、子どもの育ちに大切な文学のことを
語れる人がいないといけないのではないでしょうか?
もちろん、特定の人を過信しすぎてしまうのはどうかと思いますが・・・
いいと思っている人でも「この作品はいまいち」というものもあるので。
まだまだではありますが、いずれは私も瀬田貞二のように(目標が大きすぎ?)
知識を活かして語れる人になりたいです。
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【注】
(1)このころは瀬田貞二の敬称を略して呼んでいた。
(2)この本の写真や詳細は 別館ブログ
「瀬田貞二『幼い子の文学』」参照