今回は、今年1月に中野駅北口すぐの中野サンモール商店街にオープンした「ゼノビア東京」を3月の終わりに訪れた時の話。
この店は広尾の「ゼノビア」の支店で、2号店である麻布十番の「ゼノビアカフェ」に続く3号店。シリア人シェフの作る本格的なアラブ料理をじっくり味わえる本店とは違い、ファーストフード的な趣向の店で、テイクアウトもイートインも可能。重厚な雰囲気の本店とは違って、1人でも入りやすく、アラブ料理が手頃な値段で気軽に楽しめる。また、シーシャ(水煙草)カフェを兼ねているのも特徴だ。
商店街の中で異彩を放つ煌びやかな外観
この1階部分はテイクアウトと作業用のスペースで、本格的な窯も設置されていた。メニューにある料理やお菓子の他、トルコのゴマパン「シミット」のミニバージョンなど、メニューにないものも売られていた。見ただけで「これは絶対美味しいに違いない」と脳が判断する類の品々だ。コロナ蔓延の時代に外食はちょっと、でも外国旅行の気分は味わいたい、という人におススメ。
2階のイートインスペースには、店の正面左脇のうらぶれた路地を入って右手の階段を上っていく。一見入りにくい雰囲気だが、入ってみたら普通の店なので大丈夫だ。ちょっと薄暗くて、ランプの色合いが怪しいだけさ。
このコロナ全盛のご時世に、水煙草カフェというのはいかがなものかと不安を抱いていた私は(アラブ諸国ではコロナ感染拡大対策のため、飲食店での水煙草の提供は軒並み禁じられている)、黒いマスク姿の店員さんに換気について最初に質問したのだが、彼は「換気はバッチリだよ。ここにも、ここにも、あそこにも換気装置がある」と、何か所か指差して教えてくれた。店内で水煙草を吸っていたカップルは、窓際に座って窓を少し開けていたし、他のお客はいなかった。
どうやら大丈夫そうだと判断した私たちは、席についてメニューに目を通した。
食事メニュー 料理は全てハラールだ。
メニューは限定的だが、本店にはなかったミニピザ・スナック的なスイハ(本来のアラビア語の「スフィーハ」を言いやすくしたと思われる)やローストチキンなどがある。
ケバブライスが500円はお得だと思う。バクラワ(バクラバ)、バスブーサなどのお菓子もある。
コーヒー・紅茶メニュー
当然マッテ(マッタ茶=マテ茶)がある。ミルク入りは珍しい。マテ茶というと南米というイメージだが、シリアやレバノンでも飲まれる。南米に移民した人が帰国した際に持ち帰ったと言われている。シリア人の友人たちは、金属製のスプーンに小さい穴がいくつも開いたような作りのストローを使い、頻繁にお湯をつぎ足しながら、このマッテを延々と飲んでいた。苦みがあってくせになる嗜好品で、利尿作用が高いため、トイレに行きたくなる。
ジュース・ソフトドリンクメニュー
甘酸っぱいカルカデ(ハイビスカスティー)、アイラン(アエラン、塩味のドリンクヨーグルト)、ザクロジュースなどもある。しかし、私のおススメはフレッシュジュース、特に生レモンミントジュースだ。レモンミントジュースはシリアでは「ボロ」と呼ばれ、爽やかな風味で人気がある。シリアで「コークテール」(=カクテル)と呼ばれるバナナやイチゴと牛乳のミックスジュースも美味しい。
この店は本店とは違ってアルコールは置いていないが、持ち込み料を1人500円払えば持ち込めると水煙草のメニューに書いてあった(私は飲まなかったので、店員さんに確認はしていない)。
ノンアルコールビールは日本製の「忍者ラガー」のノンアルコール版(参照)で、「日本初のハラル認証済みビールテイスト・ノンアルコール飲料」との触れ込みだが、写真にあるものはアラビア語表記だ。アラブ諸国からの逆輸入か?
ハーブティーのメニュー
シリアではハーブティーがよく飲まれており、種類も多い。日本に帰国する際のお土産としても手頃だった。薬効はハーブによって様々なので、体調や気分に合わせて選べばよい。私はハーブティーは薬臭くて苦手だから飲まないが、たまには飲んだ方がいいのかも・・・でも酒の方がいい。
水煙草の料金
ボケボケだが、フレーバーのメニュー。種類がやたらに多い。
思い出話ばかりして恐縮だが(年のせいね)、ダマスカスに私費留学していた時、同じ下宿に住んでいたスイス人の若者は、水煙草の吸い過ぎで気分が悪くなって倒れた。水煙草はフルーツ系などの甘い香りのフレーバーが多く、若者に人気があり、女性にもとっつきやすいイメージだが、普通の煙草より害が強いようなので、吸い過ぎには気をつける必要がある。
メニューを検討した結果、私はローストチキン(4分の1羽分)とアイランを注文。友人はスイハとタマルヒンディー(タマリンドジュース)にした。
スイハ、羊のミンチとチーズの2種
トルコのピデを思い出させるボート型の生地の真ん中に具が載っている。少しもらったら、薄い生地がカリッと焼けていて、香ばしかった。ミンチの味付けも完璧だ。本場シリアのその辺のパン屋さんで買うより美味しい。さすがゼノビア系列店、値段を安く設定してあっても、クオリティーは高い。
ローストチキンはサフランライスとポテトフライ添え。
シリアでローストチキンやシャワルマを買うとついてくるガーリックソースが添えられていて嬉しい。ゼノビア本店で作られているのか、これも「シェフの味」という感じ。特にライスが美味しいと思った。私はヨルダンに住んでいた頃も、他のアラブ諸国に旅した時も、ローストチキンをテイクアウトして、中の方の味のついていないところを猫におすそ分けするのが好きだった。次はいつできるかな・・・
支払いは1階のレジでする。対応してくれたエジプト人の店員さんがにこやかで、非常に感じがよかった。彼は日本語が喋れるが、若干苦手なようなので、ここぞとばかりにアラビア語で話しかけ、アラビア語を勉強中の友人も交えて、会話の練習をさせてもらった。
というわけで、「ゼノビア東京」はなかなか良い店だった。私でも行ける価格帯のアラブ料理店が東京に増えてきているようで嬉しい。どこもコロナの荒波を乗り越えて、ずっと営業を続けて欲しいものだ。
(参考)
「ゼノビア東京」の食べログ
https://tabelog.com/tokyo/A1319/A131902/13255584/
「ゼノビアカフェ」の食べログ
https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13222873/
ゼノビアのHP (このHPもフェイスブックのページも笑っちゃうほど情報が少ないが、アラブ料理店にはありがち)
広尾のゼノビア本店についてこのブログに書いた過去記事
https://blog.goo.ne.jp/mendokusainoyo/e/119057ba6b0b18572a53fe95c81a3b38
マテ茶情報
http://www.matecha-kyokai.jp/study.html
水煙草の害についての記事
https://switch-news.com/lifestyle/post-28915/
リンク貼りすぎ?
(終わり)
そういえば、都知事は東京に来ないでと言ってましたね。外出しにくいご時世ですね~ 埼玉県知事もアラブ関係者ですよね。アラブ諸国で外務省の研究員を務めていたとか。
ボンゴバザール、Zhenさんの目にどう映るのか、興味津々です~
中野北口、懐かしいなぁ、実は、むかし中野に住んでいました。もう、しばらく、中野には、行っていないですが、行ってみたいな。
ロストチキン、美味そう!
でも、小池姐さんが、「来るなぁ!」って、言ってるなぁ。アラブ料理が食べたくて、っていい訳したら許してくれるかなぁ、カイロ大OGだもの。
日曜日は、ボンゴ・バザールに行く予定です。
では、また。