外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

規制緩和中のイタリア~フィレンツェ特派員からの写真~

2020-05-28 08:17:32 | イタリア

 

今回は旅行記を1回休みにして、最近フィレンツェから届いた写真をお届けする。

 

イタリアでは、2月下旬にコロニャ(新型コロナウイルス)感染拡大の中心地である北部の封鎖が始まり、3月9日の夜にコンテ首相が発表した政令で封鎖措置が全土に拡大された。長いロックダウンを経て、5月4日にようやく規制緩和が開始し、段階的に外出や出勤、商店・飲食店等の営業が許されるようになってきている。しかし、死者や新規感染者数の減り方は緩やかで、政府も規制緩和に慎重な態度を崩していないため、コロニャ登場以前の日常生活に近い状態に戻るには、まだまだ時間がかかりそう。

 

ともあれ、ソーシャルディスタンスの確保・マスク着用等の厳格な規則、そして感染への不安はあるにしても、食料品・医薬品等の必需品の買い物以外はずっと家に籠っていなければならなかった時に比べれば、今は州内であれば自己申告書なしで外出できるし、18日からはリストランテやバールなども開き始め、人々が感じる閉塞感はずいぶん和らいでいることだろう。経済的問題は別として・・・

 

フィレンツェでは最近、自転車に乗っている人が増えたと聞く。車が入れないチェントロ・ストーリコ(歴史的中心地区、旧市街)などに少し離れた地域から出向く時、以前はバスやトラムを使う人が多かったが、今は公共交通機関はなるべく避けたいと考える人が多いのだろう。運動にもなって一石二鳥だし。フィレンツェはこじんまりした街なので、自転車があれば一通り回れるのだ。

 

以前、封鎖が始まった当初のフィレンツェのチェントロの様子を教えてくれた友人(=私のフィレンツェ特派員)が、最近散歩した時に撮った写真を送ってくれたので、ご紹介しよう。(前回送ってもらった写真はこちら

 

規制緩和を受けて営業を再開した百貨店「Rinascente(リナッシェンテ)」(ホームページ) 

"La Normalita' e' la Nuova Bellezza"

「普通の生活は新たな感動だ」と書いてある(意訳)。

そもそも店名の「Rinascente」が「再生する、生まれ変わる」という意味であることを思うと、余計に感慨深い。まあ、私にとっては、ここはフィレンツェのトイレスポットなんだが。最上階のキレイなトイレが無料で使えるので・・・この案内記事にもトイレスポットだと書いてあるので、日本人の間では有名なのだろう。私も日本人の友達に教えてもらったのだ。

 

これは、H&Mのファッションブランド「COS」の店舗。日本にもあるらしいが、お洒落に無縁のあっしには関りのねえことでござんす…

"Siamo Aperti

Ci Siete Mancati"

「開店しています。

あなたたちに会いたかったよ」

 

 

 

"Siamo Cosi' Felici di Vederti"

"Grazie Per l'Attesa"

「あなたに会えて本当に嬉しいです」

「待っていてくれてありがとう」

 

 

"Ben Tornati!"

「お帰りなさい!」

 

 

どれも簡潔で短いメッセージでありながら、開店できる日を待ち焦がれていたお店の人たちの気持ちが真っすぐに伝わって来て、心を動かされる。さすがイタリア人、表現力が豊かだ。

 

 

ここはテイクアウトをやっている小さなパブ

 

店の前で並んで待つお客さん用の印が5つ付いていて、3番目の印には

" 3  Sei Sul Podio"

「3  表彰台に乗ったよ」

と書かれているらしい(薄くて読みにくいが)。

オリンピックなどで1~3位の選手がメダルをもらうために立つあの台だ。3位ってことだな、ふっ。

 

 

シニョリーア広場

 

パラッツォ・ヴェッキオ(ヴェッキオ宮殿、市役所)に面し、ドゥオーモやウッフィツィ美術館、ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)等が至近距離にあるため、年中観光客で賑わっているこの広場も、今は閑散としているようだ。リストランテやバール等も、地元の住民が通うところはぼちぼち開店しているらしいが、こういった観光スポットの店は開けても客が見込めないため、閉めたままのところが多いそうだ。シニョリーア広場に面した店で営業を再開したのはホットチョコレートで有名な老舗のバール「リヴォワール」だけだという。(お店のホームページはこちら

 

ネットから拝借した写真。リヴォワール、入った記憶がない。覚えてないだけかもしれないが。記憶力がヤバいからな・・・

 

 

次にフィレンツェに行った時は、リヴォワールに入ってみようっと。いつ行けるようになるだろうか・・・スペインは7月から外国人観光客を受け入れ、入国者の2週間の検疫義務を解除するそうだから(こちらを参照)、イタリアも今年中には行けるようになるかな?

 

”Speriamo!"

「そうなればいいな!」

 

 

リヴォワールを扱った記事。1番目に載っている「Gilli(ジッリ)」はまだ閉店中の模様。

https://tabicoffret.com/article/73933/index.html

 

ジッリのホームページ

https://caffegilli.com/en/

 

 

ジッリでアペリティーヴォ(食前酒)飲みたいな・・・行きたい店のリストが長くなりそう。

 

 

(終わり)

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(15)~イスタンブール2日目後半・海辺の黄昏編~

2020-05-19 05:26:24 | トルコ

 

 

海岸沿いで猫探しをし、エジプシャンバザールでドライフードを買い込んだ後、トラムに乗ってスルタナメット駅で降り、近くの商店で酒を買ってからホテルに帰ることにした。この界隈はバリバリの観光地だからか、酒屋があまりないので(スーパーもない)、以前来た時その辺のおっちゃんに聞き込みをして見つけたのだ。トルコでも「おじさん方式」は有効だ。

 

方向音痴なので少し迷ったが、比較的簡単に見つけられた。酒が買える店には「TEKEL(テケル)」と書かれた青い看板があるので見つけやすいのだ。狭い店内には他のお客はおらず、若い男性がレジにいた。見覚えのないトルコビールがあったので、それと安ワインを買う。

 

買ったのはこのビール。「VARIM(ヴァルム=私は存在する)」という、わりと自己主張強めの名前。味はよく覚えてないので、たぶん普通。

 

 

「これ下さい」と差し出すと、レジの男性はニヤリと笑って、「あなた、前にもうちに来たことあるでしょう。覚えてるよ」と言った。私は人の顔を覚えるのが非常に苦手なので相手を覚えていないが、相手は2年前に2,3回来ただけの私を覚えていたらしい。ホテルのスタッフの女性もそうだったが、彼らはなぜ私を覚えているのか。見た目はごく普通のうらぶれた中年女性だし、トルコ語を話す日本人女性はイスタンブールにはけっこういると思うのだが・・・この店では確か前回初めて入った時、単刀直入に「この店で一番安いワインを下さい」と頼んだんだが、そのせいかな?(それやわ) とにかく、異国の街で自分を知っている人がいるというのは嬉しいことである。せっかくなので、少しお喋りした。

 

彼はこの店の若旦那で、大学に行きたかったが、父親の意向で諦めて家業を継ぐことになったそうだ。経営は順調だが、店を任せられる人がいないのでなかなか休みを取れず、人間関係も色々あってストレスが溜まるとのことだった。前回の選挙で色々あった末に勝利が確定してイスタンブールの新市長に就任したイマモール氏について質問してみたら、「彼はいい市長だ。イスタンブールはこれから良くなっていくだろう。前の市長はドロボウだったからな」とのことだった。新市長に期待をかけているらしい。

私達が話している間に入ってきた常連客のおじさまは、「トルコでは、家賃を払わなくて済めば人生は素晴らしいが、払わなければいけない場合は最悪だ。不動産を持っている者は安泰なんだよ」と言いつつ去って行った。不動産はトルコに限らず重要だが、日本の場合、不動産を持っていても人生が素晴らしいとは限らないよな。

若旦那の仕事の関係者らしいシリア人の青年もやってきたので、アラビア語で少しおしゃべりする。ああ、懐かしいシリア方言・・・(うっとり)。彼はトルコ語も英語も話せ、理知的で穏やかな好青年だった。娘の婿にしたいタイプだ(娘おらんけど)。トルコに滞在するシリア人は、この当時非常に厳しい状況にあり、在留登録に問題がある(登録地と住所地が違う等)人々がイスタンブールから退去させられたりしており、中にはシリアに強制送還される人々もいたと報道されていた。それについて聞くと、「僕はイスタンブールの滞在許可を持っているが、更新できるかどうかはわからないから、安心できない」とのことだった。シリア難民の受難は、どこに行っても続くのだ。シリア人だけではなく、難民は皆そうだが。

 

店を出てから、売店でホットドッグを買ってホテルでビールと共に食べてから昼寝した。チュニジアの最終日あたりから風邪気味だったのだが、無理やり出歩いているうちに悪化したらしく、くしゃみや鼻水が止まらなくなった。しかし出かけないわけにはいかないので、夕方にはまだ出かける。観光客ライフって、大変だなあ・・・

 

今度はフェリーに乗ってアジア側のカドゥキョイに渡り、海岸沿いでまた猫を探しつつ夕陽を眺めることにした。フェリーの屋上部分のオープンスペースに座って海を眺めていたら、近くに座っていた比較的露出度の高い服装のトルコ人女性が、そばにいた男性にちょっかいを出されて激怒した様子で、彼を睨みつけながら「礼儀知らずなことをするな!身の程を知りなさい!」(文字通りの訳)と怒鳴っていた。トルコの女の人は強いのだ。そして、コミュニケーション力が高い気がする。この日、別の若い女性がやはり通りがかりの青年に何か言われて怒り、「私に対してまともな口の利き方をしなさいよ!」と言い返しているのを見かけた。

 

フェリーを降りて、海岸沿いの岩場を歩く。9月の晴れた土曜日の夕暮れ時で、人出が多かった。

 

 

岩場は猫スポット

 

 

珍しい柄の子もいた。

 

 

ポーズをとってくれる子もいる。

 

 

こちらもモデルをしてくれたが、ボケてしまった・・・

 

 

モデル代のEU版ちゅ~る。

 

 

岩場には、夕陽が海に沈むのを眺めながら一人でタバコを吸ってぼうっとしているおばさまもいるし、ビールを飲んでいる若者のグループもいるし、もちろんカップルや家族連れもいた。イスタンブールの人たちは、日々の暮らしに疲れた時に海辺で息抜きができるから羨ましい。私も次回はビールを持ってきて、まったりくつろぎたい。

 

遠くの対岸に林立しているモスクのミナレットのシルエットがまたステキ。

 

 

すっかり日が暮れたので、またフェリーに乗って今度は新市街側のカラキョイに渡り、並んでいる魚料理のレストランの中で最も庶民的な店に入る。こういう店にはアルコールがないのが普通だ。

 

「カラキョイ・バルック・エヴィ」(カラキョイ魚食堂)

 

 

新鮮なイワシのフライ、美味しかった。少し残した分は持ち帰って、通りがかりの猫たちに振舞った。猫におすそ分けしやすいか否かを考えてメニューを選ぶ私。

 

 

途中でビールを買い足してからホテルに帰る。

 

 

買い足したのはトルコでライセンス生産されているツボルグ。安定の美味しさ。

 

 

今夜は早めに寝て、風邪を治さねば・・・

 

 

(続く)

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(14)~イスタンブール2日目前半・海岸沿いで猫探し編~

2020-05-17 04:28:37 | トルコ

 

 

イスタンブールに到着した翌日は、海岸沿いで猫探しをすることにした。この海岸沿いの猫探しは、もはやイスタンブールに来た時に必ずやる恒例行事になりつつある。

 

 

まず朝食前にフロントに行って、宿代の値段交渉をする。この「サイドホテル・アンド・ペンション」のペンション(ホテルの方が高い)のシャワー付きのシングルは、この時期は定価40ユーロなんだが(HPはこれ)、以前泊まった時に割引してもらったので、今回もそうしてくれるように頼んだ。オーナーは外出中とのことだったが、息子さん(男前)がフロントにいたので、連絡を取ってもらう。「最近は割引はやっていないが、以前の経過があるから今回はOKです」とのことだったので、とりあえず安心。そのまま朝食ルームに行く。

 

朝食ルームは最上階にあり、屋上のテラスのテーブルで取ることもできる。

 

スタンダードなトルコ式の朝食。セルフサービスで、ハムやトーストなども選べた。トルコの朝食にはやっぱりチャイ(紅茶)が合う。

 

 

以前泊まった時に少しお喋りしたにこやかで感じのいい東欧出身の女性がまだ働いていた。相手も私を覚えていた。それ以外に、新顔の若い男の子たちが入っていて、食べ終わった皿の片付け等をしていた。彼らは片付け魔で、皿に多少何か残っていても下げようとするので油断できない。トルコのレストランではわりとよくあることだが。朝食をとる客は多く、賑わっていた。チュニジアと違って、トルコを訪れる観光客は増えているようだった。

 

屋上のテラスからは、ブルーモスクもアヤソフィアも海も見える。

 

ブルーモスク

 

 

アヤソフィア

 

 

海と絨毯。この絨毯、塩味がしそう。

 

 

色が薄いけど、すずめ? パン屑を投げたら食べてくれた。

 

 

朝食後、洗濯をしてから11時頃に出かけ、鉄道のクムカプ駅とジャンクルタラン駅の間くらいの地点(たぶん)からエミノニュにかけて海岸沿いをぐるりと歩いて、猫探しをした。前回同じルートを歩いた時は20匹ほどいたが、今回は3,4匹しか見当たらなかった。どうしたんだろう・・・暑い時間帯だから、日陰で寝ていたのだろうか。

 

 

まずスルタナメット広場に出ると、こんな方がお出迎えしてくれた。

 

 

いい匂いがしましたかね。

 

 

9月にしては日差しが強く、暑い日だった。

 

 

カモメもイスタンブール名物だ。彼らのために、私は抜かりなく朝食の残りのパンをかばんに入れてきたのだ。

 

 

猫と

 

 

カモメ。天国か、ここは・・・

 

 

通りかかった売店には、アラビア語の新聞が売られていた。ほんの2,3年前には見られなかった風景だ。

 

 

海岸に出る。

 

 

だいぶ歩いて、ようやく出会った子たち。

 

 

 

猫は少なかったが、上半身裸で魚釣りをしたり、日光浴をしているおじさんは多かった。君たちは暑くないのか。

 

 

観光客がいるゾーンに到達。

 

 

対岸にガラタ塔が見える。私はあそこに上ったことがないが、けっこう観光客が入っているようだ。

 

 

エミノニュに着いたら、近くのエジプシャンバザールに向かう。キャットフードの買い出しだ。

 

 

イェニ・ジャーミイ(モスク)の脇のハトのエサやりスポットを通る。

 

 

エジプシャンバザール。私のお目当ては、隣接するペットショップが集まる一角。

 

 

量り売りで、値段は品質によって様々。1キロ20リラ(現在約310円)のものを、3種類ミックスしてもらって0.5キロ買う。

 

 

EU製のちゅ~るもどきも買う。これは1箱20リラ。高い・・・でもちゅ~ると同じくらい猫ウケが良かった。

 

 

隣りの園芸品店。看板猫?

 

 

 

 

蛭らしき怪しい生き物も売られていて、年配の女性が「8匹ちょうだい」と言って買っていった。医薬品扱いのようだが、どうやって使うんだろう・・・

 

 

蛭の隣りには、ゴーヤ(クドレット・ナール)が熟れ過ぎてオレンジ色になったと思しきものが置いてあった。これも様々な薬効があるとのことで、「癌の敵」という謳い文句と共に売られていた。

 

 

私の特効薬は猫。見てるだけで若返る気がする(うそ)

 

 

炎天下の海辺で1時間も歩いてくたびれたし、キャットフードの買い出しも済んだので、ホテルで休憩すべく、トラムに乗ってスルタナメットに戻った。ああ、体が弱い・・・

 

 

(おまけ)

トルコでレストランやメイハネ(飲み屋)に入って飲食するにあたって知っておくと便利な単語・知識が満載のページ。文章も楽しい。

https://turkey.tabino.info/yemek.html

メゼをあてに酒を飲むメイハネについての情報が中心。ちなみに、私は未だにメイハネに入ったことがない。一人では入りにくいのよね・・・なお、私はトルコの赤ワインも美味しいと思う。好みの問題だが。トルコワインの赤は「オクズギョズ」「ボアズケレ」などという、いかつい響きの品種の葡萄から作られており、ずっしりと重厚。一方、白は爽やかで飲みやすいものが多い。

 

 

(続く…)

 

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(13)~チュニジアからトルコに移動編~

2020-05-11 07:28:56 | トルコ

 

この日は、チュニジアからトルコに移動した。

 

トルコはイスタンブールのみ5泊。アンカラの友人宅を訪れたかったのだが、時間も体力も足りなかったので断念。初めて訪れたチュニジアでの疲れがまだ残っていたし、この後のイタリアでもけっこう動き回る予定だったので、トルコではのんびりすることにした。

 

3時間睡眠でなんとか朝5時に起きてチェックアウトを済まし、よれよれの状態で歩いている時に近づいてきたタクシーに乗って空港へ。案の定、幾分ぼられた。小銭が残ってもしょうがないからまあいいか・・・という旅行者の心理を運転手に見透かされている気がして面白くなかったが、まあいいことにする。

 

1週間ぶりのチュニスの空港、朝早いのに人が多い。

 

白を基調にした内装で、けっこう綺麗だ。(なんとなく意外)

 

 

パリ行きやフランクフルト行きの便に混じって、内戦が続いている隣国リビア行きの便も普通に飛んでいる。ミティガ空港行きもある…この空港は、ちょくちょくハフタル元少将派部隊に砲撃されているから危険なんだが。

 

カフェテリアで売られていたパンが美味しそうだったが、やけに高かった。

 

 

私の観察によると、空港内の飲食店の物価が市内の物価水準より数倍高い国は、資本主義があまり発達していない。チュニジアはその典型か。

 

 

搭乗ゲートの待合室。パリのシャルルドゴール空港に構造が似てる気がする。

 

 

イスタンブールには、チュニスエアで飛んだ。チュニスエアは遅れることが多いとネットに書いてあったので覚悟していたのだが、意外なことにちゃんと時間通りに離陸した。着陸してから滑走路をやたらぐるぐる回ったせいで、降りるのに時間がかかったが。(結局遅れる)

 

乗客はチュニジア人ばかりで、機内はアラビア語のチュニジア弁とフランス語の世界だった。乗務員さんにうっかり英語で話しかけたら、心なしか冷たい目で見られた気がする・・・

 

 

シンプルな朝食。ダノンのヨーグルトの美味しさを再確認した。

 

 

2時間半ほどで無事イスタンブール空港に到着。着陸した瞬間に乗客の間から拍手が起こったので、「おお~、イタリアみたいだ~」と感動した。イタリア人はよく飛行機が着陸した瞬間に拍手喝采して、「ブラーボ!」などと操縦士を褒めたたえるのだ。これをやるのはイタリア人だけだと思っていたが、チュニジア人もやるとは・・・チュニジアにこの習慣をもたらしたのはイタリア人なのか、それともチュニジアに昔からある習わしなのか、気になる・・・イタリア人に後に聞いてみたら、「あっちの人たちは私達の真似をするのよ」とクールな返事が返ってきた。実際はどうなんだろう・・・

 

時差が2時間あるので(トルコの方がチュニジアより2時間進んでいる)、時計を進めると、もうお昼過ぎだった。

 

新しく建設されたイスタンブール空港を利用するのは今回が初めてだった。

 

 

空港のトイレ。ペーパーを流さずにゴミ箱に入れるタイプ。シャワーホースがなくて寂しい。

 

 

全てが真新しく広々としているが、やたら歩き回らなければいけないので疲れる。働いている人々も無表情で、対応が機械的だ。武器を持った若い女性(兵士?)が巡回していたりするところが、イスラエルを思い出させるし、全体的に不吉なイメージだ。作業環境が整っていない中、突貫工事で無理やりオープンさせたため、作業員の事故死が多かった等の記事を読んだせいで、余計そう感じたのかもしれないが。

 

 

この空港はアタテュルク空港に比べて市街地から遠く、地下鉄にリンクしていないので、エアポートバスで市内に出るしかない。バスを待つ行列を整理する係の人がいないので、みんな好きなように並んでいる。やれやれ・・・

 

 

バスを待っている時に目に入ったお稲荷さんのような猫のようなイラストつきの柱。

 

 

長い間待ってからようやくバスに乗り込む。1時間半ほどで旧市街のスルタナメット広場に着いた。そこからは徒歩で予約していたホテルへ向かう。2年前と3年前にも泊まったところなので、方向音痴の私でも迷わない。歩いている時に猫をあまり見かけなかったので、数が減ったのかと心配したが、後でたくさん見かけたので、気のせいだったようだ。ほっ。

 

私の常宿「サイドホテル」 ブルーモスクとアヤソフィアが至近距離にあるので観光に最適だ。あんまり観光しないけど。

 

 

日当たりの良い1階の部屋だった。シングルルームを予約したのだが、トルコでシングルベッドにお目にかかることはめったにない。

 

 

トイレ・シャワールーム。どうして私はこんなにトイレの写真を撮ってばかりいるのか。

 

 

早起きしてがんばって移動して疲れたので、夕方まで昼寝した。目が覚めた後もずっとゴロゴロしていたかったが、せっかくトルコに来たのにそういうわけにもいかないので、18時頃に心を決めて外出した。

 

がんばって出かけた私をねぎらうように登場した猫。タクシーにすりすり中。

 

 

ほんの少し歩けば、もうスルタナメット広場に着く。

 

セルフ腕枕で熟睡中。スルタナメット広場は猫スポットなので、行けば必ず何匹かに会える。

 

 

ドレスとスーツ姿の新郎新婦が撮影担当の人と一緒に歩いているところに遭遇。ドレスの裾が汚れそうだが、幸せいっぱいだから気にならないのだろう。

 

 

見上げるとアヤソフィア。ブルーモスクと違って入場料を払わなければ入れないし、行列するのが面倒なので、私はいつもスルーする。中にいるという看板猫のグリちゃんには一度会ってみたいのだが。

 

 

人間も猫も食事中

 

 

休憩中、または思索中の方もおられた。

 

 

猫ばかりではなく、犬も多い。温和そうな大型犬ばかりで、よく道端に寝そべっている。

 

 

トルコでは大きなテロはしばらく起こっていないかったが、この広場やイスティクラール通りなどの観光地や不特定多数が集まるところでは、装甲車を配置して要所要所を警官が巡回する等、警備に余念がなかった。それに比べたら、チュニスは空港の警備ですら緩かったが、大丈夫かしら・・・

 

 

スルタナメットからトラムに乗って新市街のタクシム広場に出ることにする。

 

トラム駅のセキュリティーもばっちり

 

 

タクシム広場に着いたら、もう日が暮れていた。前来た時にはなかった新しいモスクのシルエットが目に付く。「タクシム・ジャーミー」だ。まだ建設途中だったが、その後完成したというニュースは聞かない。そもそも、わざわざここに大きなモスクを建てる必要があったのか、エルドアン・・・

 

 

広場からイスティクラール通りに入る手前に、ケバブ屋が並んでいる一角がある。そのうちの1軒の以前入ったことのある店に入って、「濡れハンバーガー」で腹ごしらえした。煮込みハンバーグの煮汁がふわふわのバンズに沁み込んでいて、しみじみ美味しいのだ。郷愁を覚える味だ。(日本育ちです) ケバブよりも安価で腹にたまらないので、おやつにちょうどいい。

 

 

濡れハンバーガーと生絞りオレンジジュース

 

店内には、シリア人のお母さんと子供たちが座っていて、みんなで賑やかにケバブサンドを頬張っていた。懐かしいアラビア語シリア方言は、これ以降もイスタンブールのあちこちで耳にした。エジプト人や湾岸諸国からの観光客らしき人など、シリア人以外のアラブ人も多く、アラビア語がある程度話せるトルコ人の店員も以前より増えていた。

 

店を出て、賑やかなイスティクラール通りをゆっくりと下っていく。

 

高級なお菓子屋さん。アラブ人の客が多かった。

 

ディスプレイが美しい。

 

 

トルコでよく見かけるムール貝のピラフ(ミディエ・ドルマス)の屋台。

 

 

貝の中に詰められた1口分のピラフを食べる軽食なのだが、私は未だにこれを食べたことがない。いつも気になりつつも、結局素通りしてしまう。なぜだろう?おそらく、脳の中で「食べてみたい」「これを食べずしてトルコのストリートフードを語ることはできないだろう」「しかし手が汚れる」「ゴミも出る」「不器用だから貝を上手く開けないかもしれない」などという考えがせめぎ合った結果、決断できずに通り過ぎてしまうのだろう。食べたことある人、味を教えてくださいな。

 

脇道のパブで冷えたエフェスを一杯。イスタンブールでは、戸外のテーブルで生ビールが気軽に飲めるのが嬉しい。

 

 

そういえば、2011年の春にイスタンブールでトルコ語学校「トメル」に通っていた頃、クラスメートのサウジ人の若い男の子が、休み時間にビールを飲んでたなあ・・・サウジでは酒はご法度なので、トルコのような飲酒OKの国に来たらここぞとばかりに飲みまくるサウジ人は多いと思われる。とても温和で人柄が良く、全知全能の神アッラーを信じてるけれども、酒は飲むというタイプの子だった。

 

 

パブのすぐそばの店で、キャットフードを仕入れる。店番の若い男の子に「猫が喜ぶ美味しいキャットフードが欲しい」と注文すると、「う~ん、猫にエサをやったことがないからわからないけど、猫はチキンが好きだよね?これチキン味だから、きっと気に入るよ!」と言って、0.5㎏の袋入りのドライフードを渡してくれたので、それを買う。ワインとビールもここで仕入れる。

 

店の前にかわいい子猫がいたので、試しにあげてみたら必死で食べていた。美味しかったようだ。うふふふ・・・

 

 

トゥネル(地下鉄)駅のそばの楽器屋街も猫スポット。たっぷりエサをもらって丸々太っている子が多い。

 

 

途中のスタンドで人参の生ジュースを飲んでビタミンを補給し(重要)、ケバブサンドを買ってホテルに帰る。部屋のテレビでアルジャジーラが見られたので、飲食しつつニュースをチェックしているうちに寝てしまった。長い一日だった・・・

 

 

(おまけ)

ムール貝のピラフ詰めのレシピ

http://www.tkjts.jp/recipe/rice/1009/

 

この料理の関連記事

https://www.ab-road.net/europe/turkey/abgirl/G00633.html

 

(続き)

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(12)~チュニス最終日後半・オスマン朝支配時代のお屋敷編~

2020-05-05 18:43:53 | チュニジア

 

今回はチュニス滞在7日目、最終日の話の続き。

 

ゼイトゥーナモスク周辺で引き続きうろうろしていたら、地元の人らしき男性がふいに近づいてきて、英語で「近くにスルタンのパレスがあって、屋上の見晴らしが素晴らしいから、行ってみるといい」とだけ言って、そそくさと立ち去って行った。何者?ただの親切な人?

 

せっかくなので、そのパレスとやらを探そうとしたが、建物の名称も住所もわからないので見つかりそうもない。

 

朝から歩き回って疲れてきたので、あきらめて帰ろうとしてその辺にいたおじいちゃんに道を聞いたら、おじいちゃんはなぜか真顔になって、「オスマン朝時代の地方長官の屋敷がこの近くあって、そこの屋上からの景色が素晴らしい。見たいか」と、さっきの男性と同じようなことを(アラビア語で)言った。そのお屋敷はこの辺では有名な観光スポットで、観光客を見かけたら教えないといけないことになっているんだろうか。うなずいたら、おじいちゃんはついてくるよう合図をして、黙って歩き出した。どうやら連れて行ってくれるようだ。

 

くねくねと入り組んだスークの細い路地をけっこう歩き、時々おじいちゃんの知り合いに遭遇しつつ、たどり着いた先は民芸品店らしき建物だった。土産物屋かと思ったが、そういうわけではないようで、お客の姿はない。おじいちゃんは、「ここだ」と言って中に入り、勝手知ったる風にどんどん階段を上って、屋上に私を導いた。

 

そうしてたどり着いた屋上がこちらでございます。

 

左手にゼイトゥーナモスクの塔が見える。

 

 

なんなの、このステキな眺めは・・・・怪しい人かもしれないと思いつつも、ついてきて良かった。あの男の人にもシュクラン(ありがとう)を言いたい。

 

 

 

 

下を見るとこんな感じ。屋根の下はスークや民家だろう。

 

 

犬たちはお昼寝タイム

 

 

風景を堪能し、満足して建物に入ると、猫に遭遇した。至れり尽くせりとはこのことか。

 

 

 

 

ランチタイムですかね。これは母猫だそうで、近くに子猫がいた。

 

なんなの、この可愛さは・・・

 

 

撫でようとすると向こうから寄ってくる。

 

 

とりゃ~

 

 

子猫も堪能したところで階下に降りると、かつての館の主の寝室があった。金色の天蓋付きの広いベッドで寝ていたようだ。

 

 

 

さらに下の階には、手織りの絨毯の保管室があった。おじいちゃんの説明によると、この建物は政府の管理の下で伝統工芸の職人組合が使用しており、絨毯を中心に様々な手工芸品が保管されている。これらの作品は、政府の認可を得て海外に輸出されているそうだ。保管室は絨毯の品質を保つため、冷房が効いていた。

 

ここで昼寝したかった。

 

 

建物入り口の控えめな看板。

 

 

ここの屋上の写真は地球の歩き方やその他のチュニジア観光案内にもよく使われているのだが、日本語はもとより、英語でもアラビア語でも建物名や解説はどんなに検索してもなかなか見つからなかった。謎が多い穴場スポットなんである。そもそもマグレブ諸国(チュニジア、アルジェリア、モロッコ等)の観光情報はフランス語が中心で、マイナーな場所の情報はアラビア語でも見つけにくいのだ。

 

 

しかし、この記事を書くにあたって念のためにもう一度検索したら、思いがけずこのフェイスブックのページにたどり着いた。奇跡だ。(大げさ)

https://www.facebook.com/pages/category/Arts---Entertainment/Groupement-artisanal-1084427695076949/

 

 

住所や電話番号は以下の通りなので、チュニスに行かれたらぜひ見つけ出して下さいませ。

 

groupement artisanal(伝統工芸組合)

58 souk el Leffa, 1008, Tunis

Tel: +216 71 575 224

 

ちなみに、この建物があるスーク・エル・レッファ自体もオスマン朝支配時代に出来たものだらしい。(ウィキはこちら)「レッファ」は「巻物」という意味なので、布地等の巻物を売っている「巻物スーク」ということだろう。

 

建物を出たら、おじいちゃんはまた「ついてこい」の合図をして、さらにどこかに私を導く。

 

たどり着いた先は、香水屋さんだった。

 

 

 

彼はこうやって土産物関係の店に観光客を連れて行って、手数料を稼いでいるのかな?

 

ガイド料を払おうと思っていたので別にいいのだが、ここの香水は化学薬品を使わずに手作りしているということで、けっこう高価だった。結局、ジャスミンの香水の小瓶を1本だけ、30ディナールのところを20ディナール(現在約740円)に値切って買う。他の店のものより割高だが、柔らかい良い香りだし、記念になるからまあいいだろう。

 

ここでおじいちゃんと別れて、昼寝すべくホテルに向かった。

 

ついでにゼイトゥーナモスクに上ってみたが、やはりムスリム以外は入れないということなので、すごすごと立ち去る。

 

 

途中で見かけた猫たち。私も一緒に寝たい。

 

 

 

スーパーでビールとワインを買って、ホテルで飲んで1時間半ほど昼寝してから、夕方また出かけた。

 

 

新市街に出て、お洒落な本屋でチュニジア人作家の小説を購入。

 

 

この本だ。チュニジアの現代の中流家庭の暮らしぶりがよくわかる佳作だった。本屋の店主も、「お、その本を選んだか。お主なかなかやるな」という顔をしていた。ふふっ

 

 

本が意外に高く(28ディナール=千円余り)、手持ちのディナールがわずかになってしまったので、酒の飲めるチュニジア・イタリア料理店「カプリ」で夕食をとるのはあきらめ、以前入った安食堂「モハメド・アビド・パスタカサ」で魚のクスクスを食べた。量が多く、昼食を抜いたにも関わらず完食できなかった。大きな胃が欲しい・・・

 

とっても美味しかったのに~

 

 

翌日はイスタンブールに移動するので朝5時起きだ。早く寝なければ・・・

 

(続き)

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