2021年に入ってからも、コロニャ(新型コロナウイルス)の勢いは衰える気配がない。9月のイスラエルの再ロックダウンを皮切りに、感染拡大(爆発)を抑えるため、昨年秋以降、世界各地で2度目、3度目のロックダウンやその他の厳しい制限措置が取られている。
第3波の感染爆発が危惧される日本の首都圏では、7日に緊急事態宣言が出され、8日に発効した。
元々在宅の仕事をしていて、人付き合いもあまりせず、1人暮らしで遊びに出かけることも少ない私にとって、緊急事態宣言とは「夜ファミレス飲みができなくなる」ことを意味する。飲食店での酒類の提供は19時までになったわけだが、19時なんて私にとっては昼間なのだ。
夜型の私は起きるのが遅く、夜に買い物に出かけるのが通常で、その時にサイゼリヤやガストなどに寄って、夕食前の食前酒としてワインを飲みながら読書するのが習慣だった。
いつもファミレス飲みするわけではなく、雨の降らない日は公園や広場でベンチ飲みすることも多かった。いくらサイゼリヤが安くても、ベンチ飲みにはかなわないし、猫や鳩(夜出没する鳩もたまにいる)がやって来る可能性もないからだ。但し、夜のベンチ飲みでは読書は難しいので、スマホをいじくることになるが。
去年の春に1回目の緊急事態宣言が出され、ファミレスの営業時間が短くなった時は、ほぼ全面的にベンチ飲みに切り替えた。解除後も長い間、多かれ少なかれ時短営業は継続されたので、私も引き続きベンチ飲みモードで暮らしていた。雨さえ降らなければ、春夏秋はベンチ飲みに適したシーズンなのだ。
秋頃からやっとファミレスの営業時間が22時(ラストオーダー21時30分)まで延長され、「これなら私でも行ける」という状況になったが、今回の緊急事態宣言で、また振り出しに戻った次第だ。まあ仕方がない。私が店の片隅で1人で黙って飲む分には、夜だろうが昼だろうが感染拡大とは無関係なわけだが、飲食店の閉店時刻を早めることによって感染拡大が少しでも抑えることが出来るなら、それでかまわない。社会の1員として、快く協力したいと思う。(協力する以外の選択肢はないわけだが)
緊急事態宣言が発効する前夜、しばらく行けなくなることを想定し、サイゼリヤに飲みに行った。
注文を取りに来た店員さんに怪訝な顔をされつつ、グラスの赤ワインと甘いデザートワインの「ラ・コンブリッコラ」(アルコール度14%、45mlと少量で200円)の両方を頼み、チビチビ飲んで味わいつつ、読書に励んだ(赤ワインは不味いが、デザートワインはけっこう美味しい)。今読んでいるのは、アンマンのダウンタウンの本屋で店主のパレスチナ人らしきおっちゃんに勧められて買った「隅田川にかかる枝」という題の小説。まだ読み始めたところだが、とても面白い。おっちゃん、いい本を教えてくれてありがとう。バンドエードが栞がわり。
翌日、緊急事態宣言が発効し、ファミレス飲みという娯楽への道が断たれた。(早起きしたら行けるだろう)
それから約1週間、私はベンチ飲みを再開する段取りを整えていた。
寒波が来ている今、うかつにベンチ飲みをすると風邪を引く。風邪を引くと買い物に行きにくくなるし、免疫力が低下してコロニャに感染しやすくなるかもしれない。それは避けたい。
しかし、冬にキャンプする人々もいるわけなので、防寒対策を徹底したら、真冬でもベンチ飲みが可能かもしれない。(「これを機会に節酒すれば」という悪魔の声は聞こえないフリをする)
というわけで、北海道の友人の助言を参考にして、まず防寒用の下着のシャツとズボン下を買った。そして、メーカによっては低温火傷するほど暖かいという電熱ベストを購入した。ドンキで前々から狙っていたものが、セールで3千円くらいになっていて(元値は4千円弱)、しかも私のサイズに合うやつが1枚だけ残っていたのだ。これは買うしかないだろう。
モバイルバッテリーに繋いで使う必要があるが、持っていなかったので、翌日バッテリーもドンキで買った(同じ日に買えばいいのに)。 使用可能バッテリーは出力5V/2.0 または2.1A。5000mAhの安いのを買おうとしたら、店員さんに「それだとバッテリーが短時間でなくなるから、10000mAhの方がいいです」と強く勧められ、そちらを買った。2千5百円くらいした。物入りだな・・・
試しにモバイルバッテリーを充電し、ベストに装着して家で着てみたら、電熱線のある背中がほんのり暖かい程度で、思ったほどホカホカではなかったので、「これを着たら真夏のハワイにいるような気分になるはずだ」と思い込んでいた私は少し落胆したが、翌日もう一度試して、ベストの上からフリースを着込んでみたら、前日よりは暖かく感じられた。着用の仕方にもよるのかもしれない。
飲み物は体が温まるホットワインにした。赤ワインに少しラム酒を加えて風味とアルコール度を高め、砂糖も少々入れて沸騰直前まで加熱し、保温できる金属の水筒に入れる。ホットワインは少し甘くした方が美味しいと思う。水筒に匂いが付くので、スパイスは省略。
ベンチ飲みの時は読書が出来ないので、スマホも必要だ。スマホなしで考え事にふけったり、宙を見つめながらひとりごとを言ったりして時間を過ごすこともできるが、それをすると不審者感が強まるので、避けた方が無難だろう。話しかけてくる人は減るかもしれないが。
私のスマホは現在、前回のまとめ書き日記で触れたように、生命維持装置(電源)に繋がないと死んでしまうダメホ状態なのだが、モバイルバッテリーに繋いだら使えるはずだ。
モバイルバッテリーを充電して電熱ベストとダメホさんに繋ぎ、ホットワインを用意し、靴下を2枚はいて、防寒下着を着てベストを重ね、さらにお腹には使い捨てカイロも貼り・・・たかがベンチ飲みなのに、けっこう大掛かりな準備作業である。やっていて、ふと「若者たち」の歌詞が頭をよぎる。
「きみの~ゆく~みちは~ はてし~なく~とおい~
だのに~な~ぜ~はをく~いし~ば~り~
きみは~ゆく~の~か ~そんな~にして~まで」
たかがベンチ飲みなのに。しかも、全然若者ではないのに。
このようにして、私なりに周到な準備を行って、満を持して真冬のベンチ飲みに繰り出したわけだ。
防寒用の下着を着ていても、手足はけっこう寒かったが、背中は電熱ベスト、お腹はカイロのおかげでけっこう暖かかった(カイロの方が強力)。「体幹は露天風呂でいい気分、手足と頭はお湯から出ているから寒いが凍える程ではない」という感覚だ。ホットワインもとても美味しく、体が芯から温まった。ダメホさんもがんばって働いてくれた。但し、ベストのポケットに入っているバッテリーに接続コードで繋ぎ、上に着込んだコートの合わせ目からコードを外に出しているので、見た目は「コートの間から出たへその緒みたいなものの先端にスマホがくっついている怪しい人」っぽくなっている気はしないでもない。
うちのダメホさんは、SIMカードが入っておらず、モバイルルーターがないとネットに繋げないので、当然ルーターも持参だ。なんだかやけに荷物が多い。
翌日も同様にベンチ飲みをしてみたが、途中でモバイルバッテリーの充電が切れた。電熱ベストの電源(強)を入れていたのは2日合わせて4~5時間ほどだったし、ダメホさんに繋いでいたのは1時間あまりなのだが。充電には1晩かかるし、ホットワインなどの準備も手間がかかるので、毎日やる気はしない。
ああ、早くコロニャの感染拡大が収まってくれないものだろうか・・・
しかし、楽観的になる要素はあまりない。欧米や中東諸国などでは、すでにファイザー・ビオンテックやその他のワクチンの接種が始まっているが、日本は出遅れていて、早くても2月下旬だという話だ。コロニャの問題は今年も当分続くのだろう。
そういうわけで、私のベンチ飲みの日々はまだまだ続きそうだ。
(おまけ)
近所の猫さん
驚かしてごめん・・・
私と目を決して合わせなかったおひげさん
最近お気に入りのペットボトル除湿器のクロちゃん(ダイソーで300円で購入)
(終わり)