外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

うちの猫の出産(15) 子猫たちとの別れ

2013-12-31 14:09:01 | ヨルダン(猫中心)


産後約6週間たった7月下旬のある日、ファーティハがまた行動を起こした。
子猫を全員連れてどこかへ引っ越してしまったのだ。


毎日むくむく育っていく子猫たちの姿を見るのは楽しかったが、同時に悩ましくもあった。
猫6匹を飼う甲斐性は、私には確実にない。
エサ代も相当かかるだろうし、まだまだ子猫だから手間だってかかる。
彼ら(彼女ら)が成長したら子供を産んで、その子供がまた子供を産んで、そのまた子供が・・・
とか考えだしたら、くらくらと気が遠くなってくる。
ううむ、これからどうしよう・・・?

そんな私の悩みは、ファーティハの取った決断(英断?)により、あっさり解消してしまった。


あるお天気のいい休日、私はドアを開け放して家の掃除をしていた。
ドアを開けておくと子猫が外に出るかもしれないが、それはそれでいいんじゃないかと考えたのだ。
もうだいぶ大きくなったのだし、そろそろ外の世界を知る頃合だろう。
案の定、なかでも好奇心が旺盛な子猫が2匹、おそるおそる外に出て家の前をうろちょろしだした。
雑草の匂いを嗅いだり、落ちているゴミに触ったりしている。
子猫の新世界発見である。

しばらく掃除に専念し、終わってから居間にいる子猫を数えたら4匹しかいなかった。
あれ、4匹?
ドアの外に子猫の姿はない。
最後の1匹ちゃんは一体どこへ行ったのか。
ファーティハは子猫の不在に気がついて、玄関口で騒ぎ出した。

家の周りをぐるぐる歩いてみたが、子猫の姿は見つからない。
まだそんなに遠くに行けるわけもないし、うちの庭にいるはずなのだが・・・。
念のため家の中も探し回ってみたが、いくら探しても見つからなかった。
ファーティハは残りの子猫たちのそばに戻って、不穏な面持ちをしていた。

その30分ほど後のことだった、ファーティハが引越しを開始したのは。

引越しの流れは出産直後のときと同じ。
子猫を1匹くわえて窓から出ていき、数分後に戻ってきて次の子猫を運んでいく、これの繰り返しである。
ただ以前と違ったのは、今回は昼間だったことだ。
外が明るいので、今回は私も庭に出て様子を観察することができた。

ファーティハは1匹目を連れ去ったあと、少ししてから戻ってきて、庭から窓の中の子猫たちに向かって「まああ~」と妙にくっきりした声で号令をかけた。
そして、まるで催眠術にかかったかのように大人しくなった子猫をくわえ、お引越しの続きを遂行する。
最後の1匹を運び去るファーティハを、私は尾行した。
庭に出入りする白猫「しろさん」も、もう一匹の茶トラ「ひめさん」(このどちらかが子猫たちの父親ではないか、と私は疑っている)も、事の成り行きを見守っている。

すでにかなり成長した子猫を引きずるようにしながら、ファーティハは庭の塀をなんとか飛び越え、隣のアパートの二階のバルコニーへ入っていった。
そこが最終的な落ち着き先なのか、そのあと別の場所へ移動したのかは不明である。
とにかく彼女の行き先は、以前出産後に1週間過ごした場所だろうと、私は想像した。
全員運び終わったあとしばらくして、ファーティハはひとりで戻ってきて、何事もなかったかのようにエサをねだった。

これが、私が子猫たちの姿を見た最後である(たぶん)。
最後の1匹の行方も結局不明なままだ。
どこか安全な場所で無事に成長し、元気に暮らしていればいいのだが・・・。


数日後の朝方、夢うつつで猫の声を聞いた気がした。
ぼんやりした頭で起き上がり、窓から覗いてみたら、あの子猫たちのうち2匹が家の前にいた。
しばし眺めてから、ふと我に返って玄関へ出てドアを開けたが、もう彼らの姿はない。
仕方ないので二度寝した。
再び起きてから思い返すに、記憶が靄に包まれていてはっきりしない。
あれは夢だったのだろうか?



連れ去られる前の子猫 何かを予感してるかのように怯えている



目撃猫1・ひめさん



窓の外から、居間にいる子猫たちに号令をかける



すっかり従順になった子猫をくわえて移動する



目撃猫2・しろさん



決意に満ちた目で重荷を運ぶ姿に惚れ直した



隣りの建物へ向かって、塀をジャンプする直前




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うちの猫の出産(14)子猫のトイレのしつけ

2013-12-30 18:20:04 | ヨルダン(猫中心)


離乳食の次は、トイレのしつけである。

これまではファーティハが子猫の下の世話をしていたが、いずれ手に負えなくなるのは目に見えている。
幼い彼らには、自力で外に出て用を足すことは不可能だから、猫トイレの使用は必須だ。

子猫のトイレのしつけは、私がもっとも頭を悩ませた命題である。
なにしろ私にはこれに関して、なんの経験も予備知識もないのだ。
猫を飼うのはファーティハが初めてだし、彼女は外でトイレを済ますので、うちには猫トイレを置いたことがなかった。
子猫のトイレのしつけをどうやればいいかなんて、さっぱり見当がつかない。
でもこれに失敗すると、家中が猫のウンチやおしっこだらけになってしまうだろう。
しかも5匹分。
そんなの、イヤだ~。

ネットで調べると、「猫のトイレの躾は比較的簡単です」とある。
比較的というのは、犬と比べてということらしい。
いろんな情報をまとめてみると、やり方はこんなかんじ:
(1) 猫トイレを用意する(専用の砂&トレー)
(2) 慣れさせるため、あらかじめ何度も猫をトイレに入れる
(3) 猫がトイレに行きたそうな兆候を見せたら(床を引っ掻くなどして)、すかさず猫トイレに連れて行く。
(4) 猫のおしっこを拭いたティッシュなどを猫トイレに入れ、「ここがトイレだ」と匂いで覚えさせる。

とりあえずトイレ用の砂をスーパー(カルフール)で買ってきた。
専用トレーは若干高かったのでやめて、代わりにダンボールとプランターを用意した。
ダンボールは一面をカットして、出入りしやすいようにした。
そして子猫たちが離乳食(=母猫のごはん)を食べ始めた頃、適当に砂を入れて廊下と居間の隅っこの2ヶ所に設置。

試みに子猫たちをつまみ上げて、この簡易猫トイレに放り込んでみると、ちょっと戸惑ってうろうろしてから、やがて熱心にザッザッと砂を堀りはじめた。
掘って掘って掘りまくり、そこら中に砂を撒き散らす。
・・・どうも不安だ。
君たちはこれを遊び場だと勘違いしていないか?

そんなある日、居間から「きゅう~!」という甲高い声が聞こえた。
行ってみると、子猫の1匹が落ち着かなげに地面を掘る仕草をしながら、切羽詰った声でしきりに鳴いている。
ファーティハは外出中だった。
おお、これがトイレの兆候に違いない。
きっと、「お母さん、トイレ、トイレ~!早くしないともれちゃう~!」と叫んでいるのだ。

私はその子を抱き上げ、ダンボールトイレに着地させた。
砂の感触がお気に召さないのか、むやみに掘り返したり、脱出しようと試みたりしたが(阻止した)、最終的にそこに小さくて可愛いウンチをコロンと出した。
子猫のトイレデビューの瞬間である。

その後、2、3匹(正確な数は不明)は猫トイレを使うことをきちんと覚えてくれたが、残りの子達は居間の隅っこでおしっこするようになってしまった。
どうも、ここを「小便所」だと決定したらしい。
これをやめさせようとして、この場所の上にプランタートイレを置いて塞いでみたら、今度は玄関の片隅にするようになった。
おかげで、家じゅう猫のおしっこの匂いがぷうう~ん。
なかなか難しいものである。
ただし子猫たちは本能的に、「絨毯やソファーの上でおしっこしちゃイケナイ」と知っているらしく(ファーティハが言い聞かせたのかもしれない)、部屋の隅っこのむき出しの石の床でしかやらなかった。
また、ウンチはほとんど猫トイレでやってくれた。
不幸中の幸いである。

ダンボールのトイレは、やがておしっこのせいでふやふやにふやけてしまったので廃棄。
よく考えれば(よく考えなくても)、ダンボールって紙でしたね・・・。
代わりに、ちゃんとしたプラスチックの猫トイレ用トレーを買ってきた。
プランターのトイレのほうは、背が高くて子猫には入りにくいため(特に緊急の場合)、誰もトイレとして使ってくれず、単なる砂場に成り果てていた。

そんなわけで、子猫のトイレのしつけは半分成功、半分失敗という結果になった。
まあ、5匹もいるんだからしょうがないですかね・・・。








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うちの猫の出産(13) 洗濯機に入っちゃった子

2013-12-29 16:46:46 | ヨルダン(猫中心)


今回は、洗濯機の横穴に入り込んじゃった子猫の写真を載せます。


子猫が入り込んでるのを目にするまで、こんな穴が存在したことを知らなかった。
何のためにあるんだろう
もしや子猫用の出入り口かしら




「お母さん、しんぱいだわ」




「あの子、ちゃんと出てこられるかしら・・・」




「中はどうなってるんだろ・・・すっごく気になる」




「あ」




「よかった、無事に出てきた」





子猫が出てきた後、ボール紙を貼り付けて穴を塞ぎました。
知らないうちにまた入り込んで、そのまま中で眠っちゃったりした時に、洗濯機を稼働させたら一大事だと思って。
洗濯機が壊れちゃったら困るんで(心配なのはそっちかい)~
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うちの猫の出産(12) 生後5~6週間

2013-12-28 15:52:34 | ヨルダン(猫中心)


以前アップした記事「うちの猫の出産(10)歩行編」では、生後3~4週間あたりから子猫たちが歩き始めた様子を書きました。

ここでは5週間~6週間の様子を振り返ってみます。


歩き始めてから、子猫たちの行動範囲はじわじわと広がっていった。
ソファーの下から出てきて居間の床をうろちょろするようになり、ソファーによじ登れるようになり、やがて居間から出て廊下や台所まで遠征するようになった。
子猫の大航海時代到来である。

彼らの身体は日毎にむくむく大きくなっていた。
多少の大きさの差はあれ、みんなみっちりお肉が付いて、固太りしているのだ。
キラキラ輝くつぶらな瞳といい、ふっかふかで触り心地最高の毛皮といい、だんご状態で積み重なって眠っているときの姿といい、なんかこの子達、アイドルみたい・・・。
「ファーティハ&チルドレン」で売りだしたら(どこで?)、大人気を博すこと間違いなしね。








台所に進出した子猫たちは、まもなくお母さんのご飯を横取りするようになった。
私が出したエサをファーティハが食べ始めると、わらわらと寄ってきてお皿のまわりを取り囲み、ぎゅうぎゅう押し合いながら一斉に食べ始めるのだ。
ドライフードはまだ食べにくいのか、敬遠する子が多かったが、缶詰めのフードや茹でた鶏肉などにはほぼ全員群がってくる。
ファーティハは何を考えているのか、特に抵抗するでもなく、横取りされるままになっていた。
母乳を出すためには精をつけなきゃいけないのに~・・・
しょうがないので、エサの量を2倍に増やして、1皿は子猫用、もう1皿は母猫用に分けることにした。
そしてファーティハが食べている間、私が両手でガードして、横取りしようとする子猫を追い払う。

そのうち、私が台所に立つと、両足を何匹かよじ登ってきて、一刻も早くエサにありつこうとするようになった。
これはけっこうくすぐったいし、ゴムのゆるくなった部屋着のズボンが脱げそうになって困る。
足元に子猫が鈴なりの状態で、ズボンが脱げないように片手でガードしながら、もう片手で食事を用意するのはけっこう骨だった・・・。





このように、子猫たちはごく自然に、力づくで離乳食へ移行していった。

といっても、母乳を飲むのを急にやめてしまうわけではない。
子猫たちが自分のエサを奪うようになっても、ファーティハはそれまでどおり律儀に授乳を行った。
しかし、もう自由に動き回れる彼らはますます気ままに振る舞い、授乳開始の点呼を無視して遊びまわったり、お尻を舐められるのを嫌ってお母さんにケリを入れたりするようになった。
また、ファーティが廊下でぐったりと横になって休んでいるとき、寄っていってちょっかいをかける子も現れた。
こ、この親不孝者め・・・こんなに一生懸命世話してくれるお母さんになんてことすんねん!
と私は憤慨して叱りつけるのだったが、誰も意に介しちゃいないのだった。

子猫たちの歩行スピードは日に日に加速し、やがて私の動体視力が追いつかないほどになった(大げさ?)。
朝起きて寝室のドアを開けたら、廊下をえらいスピードで行き交っている。
走っているというよりも滑っているのだ、シューシューと。
まるで地面から少し浮き上がっているかのように見える。
身体が軽いから、床の摩擦力の影響をあまり受けないのだろうか。
君らは妖怪かい、それともリニアモーターカーかい、などとぶつぶつ言いながら、私はコーヒーの用意をしに台所に行くのだった。

私が歩くと子猫たちはついてくる。
しかし、歩みを止めてぱっと振り向くと、彼らはその場でウッとかたまり、じっとする。
そして私が再び歩き出すと、またついてくるのだった。
「だるまさんが転んだ」をやっているかのようである。

寝ている時と食事の時以外は、やつらはだいたい喧嘩をして過ごしていた。
それもかなり荒々しい喧嘩で、噛み付いたり殴ったり、取っ組み合ったり、いつも大騒ぎ。
子猫というものはみんな、こんなに気が荒いものだろうか。
それとも、ファーティハの子供だけ例外なのだろうか。
動物はこうやってじゃれあいながら成長していくという話だが、それにしても寝ている兄弟に襲いかかる必要がどこにあるというのか。
こんなアイドルのような見かけなのに、中身はただの乱暴者。
子猫って、ナゾだ・・・。

生後6週間目の終わり頃には、子猫たちはもう片手ではつかめないほどの大きさに成長していた。
それでもファーティハは前と変わりなく、せっせと世話をしていたが、子供たちが言うことを聞かずに暴れまわるので、少し持て余し気味。
ストレスが溜まったときは、絨毯でバリバリ爪を研いだり、子猫たちの首根っこに噛み付いたりようになった。
この噛み付き方がけっこうコワいのだ。
子猫の喉元をはっしと咥え、じたばた抵抗するのをぐっと押さえ込んで、数十秒間そのままじっとしているのである。
殺す気か?!
と何度も思ったが、そんなことはもちろんなく、しばらくしたら解放するのだった。

ちょっと小妖怪じみた乱暴な5匹のアイドルたちと、育児ノイローゼ気味のお母さんとの同居。
この暮らし、これからどうなっていくのだろう・・・






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うちの猫の出産(11) ご無沙汰のお詫び

2013-12-26 21:15:50 | ヨルダン(猫中心)


ずいぶん久しぶりの更新です。
長い間ご無沙汰をしてしまい、たいへん申し訳ない。

「うちの猫の出産」シリーズが途中になっていました。
なにしろ記憶力が弱いもので、もはや猫の出産の状況などほとんど思い出せない有様です(今年のことなのに~)。
でも、書きかけでやめてしまうのも後生が悪いので、なんとか無理やり記憶を呼び覚まして、覚えている範囲内でさくさく書こうと思います。
記憶違いも多いかと思いますが、ご容赦のほどを・・・。



子育て中のファーティハ



最近のファーティハ 体重増加も甚だしい・・・

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