外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(5)~チュニス2日目最終・酒とカタルシス編~

2019-10-29 08:36:03 | チュニジア

 

今回はチュニス2日目の分の最終回。

 

 

朝ホテルを出たのは11時と遅かったが、スークなどを3,4時間歩き回ってすっかりくたびれたので、スーパーでビールを買ってホテルに戻り、軽く飲んでから夕食まで昼寝しようと思い、フランス門からすぐのところにある「マガザン・ジェネラル」に行った。しかし、それらしき棚には前日と同様ノンアルコールビールしか見当たらない。

気配が悪い・・・

 

心象風景

「rain clouds」の画像検索結果

 

 

平静を装いつつ、暇そうに立っていた若い男性の店員にビールはどこかと尋ねると、「今日はヒジュラ暦(イスラム暦)の元日だから売ってない」と返された。

 

 

心象風景

「陰の風が吹き滅の雨が降る」の画像検索結果

 

 

前日は金曜日だから法律でアルコール類の販売は禁止されていると言われたが、今日もヒジュラ暦の元日だからやはりアルコールはご法度らしい。なんとタイミングの悪い・・・「明日は土曜日だからあるって昨日言われたのに~」と苦情を言っても、「ないものはない」と言われるに決まっているので言うだけ無駄である。

 

一応もう一軒のスーパー「モノプリ」にも行ったが、やはりアルコールはなかった。しかし、私が絶望した表情を浮かべているのに同情してくれたのか、店員の一人が「販売は禁止だけど、飲食店で飲むことはできるよ」と言って、「カフェ・ド・パリ」というアルコールを置いている店を教えてくれた。

 

心象風景

「sole dopo la pioggia」の画像検索結果

 

カフェ・ド・パリは新市街のメインストリート、ハビーブ・ブルギバ通り沿いにあり、モノプリからさほど遠くなかった。名前の通りパリっぽいこじゃれた外観で、通りにテーブルが並べられ、日よけの赤いパラソルが広がっている。ただし、座ってるのは男性ばかりで、あまり爽やかさはないが。

 

中に入ってみたら、午後の中途半端な時間だったせいか、けっこう空いていた。そして、アルコールを飲んでいる人は一人も見当たらなかった。

 

心象風景

「sole prima la pioggia」の画像検索結果

 

 

年配のベテランっぽい陽気なウエイターのおじ様に話しかけてみる。

 

み「ビールありますか?」

おじ「今日はないよ」

うう、やはり・・・

み「どうしてないの?(知ってるけど一応聞く)」

おじ「イスラムの祝日だから」

み「チュニジアはダウラ・マダニーヤ、ガイル・ディーニーヤ(宗教を基盤としない世俗国家)だとずっと思ってたのに~」

おじ「いやいや、チュニジアはダウラ・イスラーミーヤ・アラビーヤ(アラブのイスラムの国)だぞ」

み「(アラブの国なのは当然だけど、が~ん)・・・で、あなたは酒を飲まないの?」

おじ「飲まないね。普段は酒を出すけど、自分は飲まない」

み「他の店員さんたちも?」

おじ「いや、たいていの奴が飲むね」

み「飲む人もいるんだ、アルハムドゥリッラー(よかった)」

(「アルハムドゥリッラー」は本来アッラー=神を称える言葉なので、こういう会話で使うのは不適切だが、怒らなさそうな相手だったので敢えて言ってみた)

おじ「ハハ、うちには置いてないけど、通りの向こう側のハナーホテルでは飲めるよ」

そう言いながら、斜め向かい側にある大きなホテルを指さして教えてくれた。

 

大きいホテルに行けば酒が飲めることはわかっていたが、高そうなのでこれまで私は敬遠していた。しかし、今日はもう疲れたし、そうも言っていられない。それに、道端などでおじさんたちに聞きながら探し物をする「おじさん方式」では、教えられた場所に行くのがルールなのだ。(個人的なルールです)

 

というわけで、ハナーホテルに到着。無骨なようなモダンなような、形容しにくい建物だ。

 

フロントでストレートに「ここに酒が飲める店はありますか?」と聞いたら、「すぐそこにありますよ、ほら」とフロアの奥にある店を教えてくれた。

 

入ってみると、重厚な雰囲気のカフェのようなパブのような内装で、シャバーブ(若者たち)やそのへんのおっちゃんたちは来なさそうだった。ホテルの宿泊客やビジネスマン、少し経済的に余裕のありそうな人が来る感じ。でもメニューを見たら、ビールが200円前後で特に高くない。物価が安いって、素晴らしい。

 

チュニジアビール「セルティア」。少し酸っぱくて美味しくないが、この時は美味しく感じられた。

 

 

イチジクの蒸留酒「ブハー」 特にイチジクの風味や香りはせず、純粋にアルコールの味がした。

 

とりあえず酒心は満たされたので、イタリア人のバリスタと言っても通りそうな、こちらの表情を見てなんとなく言いたいことを察してくれる接客のプロっぽいウエイターさんにチップを置いてホテルに帰る。もう夕方になっていた。くたびれた・・・

 

1時間ほど横になって休んでから、夕食をとるために重い腰を上げてまた出かける。観光客はつらいよ・・・

 

アルコールが置いてある飲食店を探して新市街を歩いたのだが、それらしき店はなかなか見つからない。しかし、暗い気分でとぼとぼ歩いている時、目の前の建物の小さな窓からハチの巣をつついたような大きなざわめきが聞こえてくるのに気が付いた。なにこのバズってるところは、と中を覗くと、広い店内を若者やおじさんたちが埋め尽くして、ビールを飲みながら賑やかに談笑しているのが目に入った。おお、飲み屋だ~! やっぱりあるんだ、酒が飲める店~ そうよね、イスラムの祝日だろうがなんだろうが、友達と酒を飲んで騒ぎたい人たちも大勢いるよね、そりゃそうよね!

 

私の心の中の乾ききった砂漠に突然現れたオアシス

 

 

女性の姿は全くなく、入ってさらし者になりながら飲む根性は出なかったので、入り口のドアの前に立っていた男性に酒を売ってもらえるか聞いてみた。もちろんOKだとのことなので、チュニジアの赤ワインと小瓶のビールを1本ずつ買う。ワインは30ディナール(約1150円)とやけに高かったが、文句を言える立場ではないので黙って支払う。

 

酒が買えた瞬間、勝手のわからぬ見知らぬ国で道に迷いながら歩き回った疲れと閉塞感が一気に消えて、世界が光に満ちて見えた。カタルシスとはこのことか。やはり、強く求めて真剣に探せば、たいていの物は見つかるのだ。よく見ると、その店の周辺には同じようにバズっている飲み屋が何軒かあった。そういう界隈なのだろう。

 

カバンは重くなったが、気分は軽い。胃も軽かったので、地球の歩き方に載っていた安食堂「モハメド・アビド・パスタカサ」で夕食をとった。安食堂なのでアルコールはないが、後でホテルで飲めばいいので全然かまわない。1人で来ている女性客も2人いた。ヨルダンやシリア等では、1人で食事する女性客の姿を見た記憶がない。チュニジアはやはりアラブ諸国の中では女性の権利・社会進出の点で進んだ国なのだろう。レバノンの次くらいかな?

 

「メルゲーズ」というソーセージ(羊か牛)のクスクスを頼む。水も頼んで9.5ディナール(約360円)。

 

スパイシーなメルゲーズも、柔らかくなるまで煮込んだ野菜も、味が染みたクスクスも美味しかった。クスクスは粒が小さいのでパスタやパンなどよりも喉を通りやすい。日本でも私はカルディで買ったクスクスを常備していて、ちゃんと料理する時間がない時、お湯で戻したクスクスに出来合いのトマトソースなどをかけて食べたりする。クスクスは同量のお湯をかけて5分ほど蒸らせば食べられるので、米や麺類よりも便利なのだ。

 

帰り道、猫たちにエサを振りまきながら歩いていたら、ちゅ~るがなくなってしまった。もっとたくさん持ってくるべきだった。

 

ホテルに戻ったら、部屋でお酒タイム。テレビをつけてアルジャジーラにチャンネルを合わせ、ワインを開ける。ビールと同様あまり美味しくないが、いいことにする。とにかく酒が買えたんだし、長い一日の終わりにこうしてベッドで酒を飲みながらアルジャジーラを観ているのだ。これ以上何か求めたら罰が当たると言うものだ・・・

 

戦利品

 

 

これでチュニス2日目の日記は終わり。3日目以降はさくさくと進みたいものだ・・・

 

(続く)

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(4)~チュニス2日目・猫とスーク編~

2019-10-25 14:58:07 | チュニジア

 

今回はチュニス2日目の続き。帰国してからもう1か月経ったのに、まだ旅の開始から2日目のことを書いているという…

 

新市街の鉄道駅から旧市街(メディナ)に入り、ザイトゥーナ・モスク周辺の広場でジュースを飲んだ後は、モスクの脇から伸びているアーケード付きの細い小道のスーク(市場・商店街)を通ってフランス門に向かった。地球の歩き方に「ジャマー・エズ・ジトゥナ通り」という表記で載せられている旧市街のメインストリートだ。

 

アーケード付きスークは全体的に猫スポットだった。新市街も旧市街の他の地域も、要所要所に猫がいるのだが、「猫だらけ」というほどではない。しかし、このスークやその脇道、特に猫の餌付けをしている人がいる辺りは猫だまりが多く、しかも子猫の姿が目立った。子育てシーズンだったのだろう。

 

広場からモスクにかけても露店のスークが広がり、青果や肉や乾物など、様々な店が並んで道行く人を誘惑するのだった。住んでたら通うんだが。

 

 

つぶれ桃。甘くて汁気が多くて見た目も愛嬌がある。でもスークでは普通キロ単位で買う必要があるので、写真を撮るだけにしておいた。

 

 

肉屋の店頭にはてんこ盛りのミント。肉を調理する時に使うのだろうか。

 

 

どう調理すればいいのか私にはよくわからない部位も並んでいる。インテリアかな。

 

 

 

これはもしや、煮干し?? 猫のおやつにも良さそうなので、買わなかったことを一日中後悔した。方向音痴なので、後で引き返して同じ場所にたどり着くのはほぼ不可能なのだ。

 

 

広場周辺の露店のスークを外れて、アーケード付きのスークの方に入る。

 

 

アラブの歴史的な屋根付スークには、旅人を惹きつける怪しい魅力があると思う。不思議な生物や精霊がひっそり棲みついていそうなのだ。

 

女性客で賑わっているマクハー(喫茶店)もあった。中東のマクハーは伝統的に男性の世界であり、女性客ばかりのところは珍しい。さすがチュニジアだ。

 

民族衣装を売る店。子供服、かわいいけど結構高そう。

 

下半身のマネキンは靴置き場を兼ねている。奥の右側のマネキンの顔がミイラ男

 

ある伝統的なドレスを売っている店では、日本好きだという威勢のいい若者に日本語で話しかけられた。ドレスにはぜんっぜん興味がないと言っても(事実だし)、「買わなくてもいいから見て行ってくれ。2階にもあるから2階に来てくれ」と熱心に言い募る。面倒なので、「今日は時間がないから、また今度来るね~」「今度っていつだ」「来年かな~」などと軽くいなして通り過ぎた。

 

スークに限ったことではないが、旧市街の古い建物の扉には、「ファーティマの手」が付いていることがあった。魔除け(邪視よけ)の役割を備えたドアノッカーで、「ハムサ」とも呼ばれる。ダマスカスの旧市街でもよく見かけた。手がふっくらしてかわいらしいので、つい用事がなくてもノックしたくなるのだが、大人なので我慢する。いい年して、しかも外国でピンポンダッシュするわけにもいかんからな・・・

 

ファーティマの手。これを持ち上げてコンコンとノックする

 

「私を握って」と誘惑する白い手

 

両手バージョンもある

 

子供の頃、ピアノの先生に「卵を握っているような形に手を丸めて弾くように」と指導されたことを思い出す。

 

 

猫たちはスークのお店の中にもいたりするが

 

 

脇道の方が猫を見かける確率が高いので、いちいち覗き込んでしまう。

 

 

私が美味しいものを持っていることを察したらしい賢い子

 

 

はるばる日本から空輸したちゅ~るをあげてみたら、獣のように(獣だけど)貪った。チュニジアの猫も日本の猫も、ちゅ~るの魔力の下では平等なのだ。

 

 

ペットボトルの下部を切り取った猫用の水の容器は、猫たちの世話をしている人が近くにいるサイン

 

台の下なども、覗くとこんなかんじ

 

ゴミ袋のベッドでツルっと滑っちゃった子猫と

 

それを冷静に観察する兄弟猫

 

家具屋さんの店頭にいた猫。なでさせてくれたが、なですぎたら爪が出た。教育的指導。

 

 

脇道の一つで、エサ場らしき猫だまりを見かけたので近寄って写真を撮っていたら、にこやかな女性が現れた。近くの文房具店の人で、毎日約20匹の外猫を餌付けし、自宅でも数匹飼っているとのことだった(うろ覚え)。

 

猫だまり

 

 

文房具店の前で待機している猫たち。よその猫より色つやがいい。

 

 

店内にも猫をはべらせている彼女。快く写真を撮らせてくれた。これはこの日のベストショット。

 

ちなみに、この日は途中でカメラのバッテリーが切れたので、携帯で写真を携帯で撮っていたのだが、道端で暇そうに立っていた男性がそれを見て、「携帯を狙うスリがいるから気を付けて。旧市街はスリだらけだぞ。携帯はカバンに入れた方がいい」と忠告してくれた。携帯を狙うスリが多発しているらしく、この忠告は他でも聞いた。そうはいっても写真を撮らないわけにはいかないので、注意しつつ持ち歩いた。

 

スークと猫を堪能し、歩き疲れてへなへなになったところでフランス門に到着したので、ホテルに帰って一休みすることにした。しかし、その前に酒を買わなければならない。前日、金曜日だったせいで酒が買えなかったから、この日はどうしても酒を買って、飲んでから昼寝をしなくてはいけなかったのだ。(アル中の使命感)

 

(続く)

 

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(3)~チュニス2日目・方向音痴編~

2019-10-09 17:03:50 | チュニジア

 

チュニス2日目の朝、9時半頃に朝食に行こうとドアを開けたら、廊下にいた掃除係らしき若い男の子(真面目そうな男前)が私を見て近寄り、出かけるのかと尋ねた。朝食を食べに行くところだと答えると、部屋を掃除したいと言うので、鍵を渡して1階に降りる。

 

朝食はパンと飲み物だけの簡素なものだったが、給仕のおじ様がにこやかで感じが良く、私がクロワッサンしか食べずにコッペパンみたいなのを食べ残したら、翌日からはクロワッサンを2個用意してくれた。方言が強くて、何を言われているのかよく分からないのが残念だったが…

 

コーヒーや紅茶はカウンターの中のおじ様に頼み、ジュースなどが欲しければコカ・コーラのロゴ入りの冷蔵庫から自分で取る方式。ジュースは別料金のようだった。

 

小学校風の薄いベニヤ板の椅子と机、なんとなく懐かしい

 

 

朝食を済ませ、廊下にいた掃除係の彼から鍵を受け取って部屋に戻り、綺麗になった部屋で2度寝する。朝が遅い私にとってホテルでの滞在は、掃除の時間に部屋を空けなければいけないことがネックなのだが、このホテルでは朝食をとっている間に掃除が終わっていたので、心置きなく2度寝することが出来た。掃除をするのが男性なので、下着の洗濯のタイミングや干す場所が微妙だったが・・・

 

11時頃、もっとゴロゴロしたいのを我慢して、勇気を出して出かける。私って、なんてエライんだろう。(「褒めて伸ばそう良い自分」運動推進中) 旧市街を目指して歩き出したのに、なぜか新市街の鉄道駅にたどり着いた。不思議だわ、宇宙人の仕業かしら?(単なる方向音痴や)

 

道すがら中央市場を通りかかったので、魚売り場を覗いてみた。チュニジアが地中海に面しているためか、いかにも新鮮な海の幸が豊富に並んでおり、それを男たちが下処理しつつ売りさばいていた。人出が多くて活気がある。よかった、午前中に出かけて・・・早起きは三文の徳とはこのことか。

 

正面入り口

 

鮮魚売り場の入り口

 

屋内の市場であまり自然光は入らないが、電球がたくさんぶら下がっていて、シャンデリアのように煌びやか。まるで舞踏会の会場のようだ。タイやヒラメが舞い踊るタイプの生臭い舞踏会。

 

新鮮さを見せるため、エラを見せる形でディスプレイされていた。アンマンの市場のハエのたかった不吉な匂いのする生魚と全然違う。

 

何か叫んでいるっぽい魚もいた。地球温暖化が導く恐ろしい結末を人類に警告しているのか。(妄想)

 

関係ないが、チュニジアでは私の知っている他のアラブの国と違って、眼鏡をかけた男性をよく見かけた。新聞や本を読む人が多そうなイメージ。

 

魚売り場の脇には植物コーナーもあり、その片隅でサビ猫さんたちがとぐろを巻いていた。

 

中央市場を出て、少し歩くと市電(メトロ)のバルセロナ駅に着く。チュニジアなのにバルセロナ。何本かの路線がここに乗り入れており、主要な乗換駅となっている。

 

 

市電のチケット売り場。降りる駅に寄って運賃が異なるので(2~30円程度だったが)、窓口の人にどこに行くか伝えて、言われた金額を払う。

 

 

周辺には市バスのターミナルもあった。ちなみに、着いた日に乗ったバスの運賃は0.5ディナール(20円弱)だった。乗ってから払う。

 

 

市電の駅から小さい公園を抜けて、隣接する鉄道駅に行ってみた。電車に乗るわけではなく、単なる見物だ。

 

公園でお出迎えしてくれた子。この子は目が白濁していた。目に問題を抱えてそうな猫は少なくなかった。不憫だ…

 

この子は大丈夫そう。

 

鉄道駅はバルセロナではなくて「チュニス駅」。けっこう広い。

 

 

見学を終えたら駅から出て、本来の目的地だった旧市街に向かい、道すがらスーク(市場・商店街)を眺める。この日はイスラム歴(ヒジュラ歴)の元旦だったが、普通に店が開いていて人通りが多く、非常に賑やかだった。

 

何を売っているのかよくわからない店。アラブあるある。

 

香水屋さん。アラブ人は男性も香水が好きだと思う。

 

乾物屋さん。唐辛子ペースト「ハリッサ」の本場だけあって、唐辛子を繋げて干したものをよく見かけた。右端の壁にかけてあるやつ。レイの代わりにも使えるね。

 

美味しそうなお菓子も色々ある。揚げ菓子が多い。

 

カラフルな小さいスプーン付きのパックで売られている。気配りが細かい。でもこのスプーンを使うと、きっと手がベタベタになる。

 

写真を撮っていたら、どうぞ、と差し出された。揚げてシロップに浸した系のお菓子。甘いけど美味しいけど甘い。

 

 

やがて旧市街のヘソ、ザイトゥーナ・モスク(グランドモスク)に面した広場に出た。ミナレットが遠くからも見えるので、方向音痴でも見つけやすい。この広場の周辺には、安食堂や食べ物・ジュースを売る店が並んでいる。

 

軽食の売店。お店の人が、「あらどうしよう、外国人観光客に写真撮られちゃった。私有名になっちゃうかしら」という感じのカメラ目線をくれた。

 

賑わっていた安食堂。入りたかったが、あまり食欲がなかったのでやめておいた。大きな胃が欲しい・・・

 

生ジュースが飲めるスタンドが2軒並んでいた。この隣はサンドイッチ売り場。

 

このミックスジュース(たしか桃・林檎・バナナ)を飲んでいる人が多かった。私も飲んでみたが、どろっとしていて甘すぎず、美味しかった。1.7ディナール(約65円)。旅行中はビタミンが不足しがちなので、こういう生ジュースをできるだけ毎日飲むよう心掛けている。

 

 

ジューススタンドのすぐそばのアイスクリーム屋さんらしき店。猫のお客さんが入ろうとしていた。

 

店内は薄暗く、誰もいない模様で、猫さんは思案顔

 

別の猫も登場。ここは猫スポットだった。

 

 

この後、ザイトゥーナ・モスクの脇から細い路地に伸びたスークを抜けて、フランス門に向かった。このスークは猫だらけだった。

 

(続く)

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(2)~チュニス到着・宿探し編~

2019-10-01 05:14:27 | チュニジア

 

 

ようやくチュニス・カルタゴ空港に着いたのは、午後3時前だった。ドーハを発つのが4時間遅れたのに、到着は2時間半遅れ程度だったのが解せない。飛行機の運転手さん、びゅんびゅん飛ばしたのか。

 

チュニジア国旗がお出迎え。トルコ国旗と紛らわしいやつ。

 

チュニス空港のトイレには、ドーハ空港と同様に手動ウォッシュレット用のホースが付いているが、あちらとは違って使用済みペーパーを入れる容器がない。つまり、ペーパーをトイレに流してよい。私の一番好きなパターンのトイレだ。各国のトイレは私の関心事項の一つなので、ついつい写真を撮りがち。

 

 

長いこと待ってスーツケースを引き取った後、まず銀行のATMで現地通貨を引き出す。(あっさりお金が出て驚いた)その後通信会社のカウンターが集まっているところに行き、持参したSIMフリーのスマホ用にSIMカードを購入する。一番空いていた「オレンジ(Orange)」という会社のカウンターに行く。フランスの大手通信会社オレンジは、中東・アフリカでも良く普及しており、私はヨルダン在住時も利用していた。3GのSIMカードを11.5ディナール(約435円)で購入。約1週間の旅にはこれで十分だった。ヨルダンもSIMカードは安かったが(600円くらいだった気がする)、チュニジアはさらに安いのだ。12Gだともう少し高くなるが、たいした額ではない。チャージもできるプリペイド式なので便利だ。日本にもこういうSIMカードがあればいいのに・・・中東のSIMカードに慣れた身には、日本の携帯の契約システム(2年縛りとかなんやねん)は詐欺としか思えない。お店の人は親切で感じが良く、テキパキとSIMを携帯内部にセットしてくれる。

 

チュニスの空港でのSIMカード購入については、こちらに詳しく書かれている。

 

外に出てみたら、秋晴れの良い天気だった。気温も高すぎず爽やかな気候だ。真夏を避けたのは正解だった、ふふ・・・

 

空港から市内へは、あらかじめ調べておいた情報に従い、路線バスの635番に乗った。(こちらを参考にさせてもらった)

空港を背にして左斜め前に進み、車通りを渡ったところに屋根付きのバス停があった。もちろん時刻表などという些末な物は存在しない。この段階で「ああ、中東に帰って来たなあ」という感慨を新たにする。チュニジアは初めてだが、結局アラブ諸国の一つなので、知らない国に来た気がしない。むしろ懐かしい感じ。

 

ベンチに腰掛けてバスを待っている時、隣に座っていた若い女性に話しかけて、「ここに市内中心部に行くバスは来ますよね」と確かめたら、どこに行きたいのか聞いてくれたので、旧市街入り口のフランス門辺りでホテル探しをする予定だと告げると、「私もその近くに行くから教えてあげる」と言って、終点のチュニス・マリン駅(通称「マリーナ」)で一緒に降りてフランス門が見えるところまで連れて行ってくれた。新市街のメインストリート、ハビーブ・ブルギバ通りをまっすぐ行って、おそらく15分ほどだったと思う。彼女は空港で働いていて、勤務時間が終わって家に帰るところだったそうだ。アラビア語のチュニジア方言は、馴染みのない私にとってはかなり難解なのだが、彼女は比較的標準語に近い話し方をしてくれて、聞き取りやすかった。

 

フランス門のすぐそばの地球の歩き方に載っていた安宿「マルハバ・ホテル」に行って、部屋は空いているか聞いてみると、このホテルにはそもそもシャワー付きの部屋がないと言われた。近所に他に安ホテルはないかと聞くと、たくさんあるとのことなので、周辺でホテルの看板を探し、道端に立っているおじちゃんたちに質問したりしながら(「おじちゃん方式」と命名)、宿探しをする。私の希望はシャワー・トイレ付シングルなのだが、安いホテルはシャワー付きの部屋がないところや、満室のところが多かった。近くにあった「リヤド・ホテル」はシャワー付きの部屋は満室、「エルクドゥス・ホテル」も満室だった。このエルクドゥス・ホテルはシャワー付きの部屋が30ディナール(約1130円)だというので、翌日には空きがあるかと尋ねたら、「明日の朝来て」と言われた。後でホテルを移る時にもう一度ホテル探しをしてわかったのだが、チュニスの安ホテルは通常予約が出来ず、泊まりたい日のチェックアウトの時間帯(午前11時や12時など日本より遅め)以降に直接出向いて、空いているかどうか聞くしかないらしい。ちなみに、安ホテルはアラビア語・フランス語圏で、英語はあまり通じない。

 

歩いている時に、チュニジア初の猫に遭遇。停めてある車がイタリアのフィアットで、なんとなく嬉しい。

 

 

結局、フランス門付近の新市街側にある「オテル・ド・フランス」という一つ星ホテルに決めた。シャワー・朝食・エアコン・テレビ付きで1泊65ディナール(2500円弱)なので、私にとっては少し贅沢なのだが(びんぼーやねん)、道端のおっちゃんに「フランスホテルがいいぞ!」と強く勧められたし、疲れているので妥協することにした。後でチェックしたら、ここも地球の歩き方に載っていた。地球の歩き方の実力は、チュニスで何度も実感することになる。

 

フランスっぽい外見

 

部屋はこんな感じ。布団は古そうな気はしたが、全体に清潔で天井が高く、中庭に面していて静か。シングルを頼んでもツインまたはダブルルームをあてがわれるのは、アラブ諸国では普通。2人だと部屋代が半分になるわけだ。

 

中庭に大きな木が生えていて、小鳥たち(すずめ?)がそれをねぐらにしているらしく、夕暮れ時や朝は賑やかだった。(嬉しい)

 

少し休憩してからまた出かけて、夕食を食べに行く。旧市街に入った辺りで見かけた安食堂で、シャワルマサンドを注文する。日本ではケバブサンドとしてお馴染みのあれだが、チュニジアのはバゲット風のパンに挟まれ、フレンチフライが添えられていた。メニューもアラビア語・フランス語併記。さすがチュニジア、旧宗主国フランスの影響がバリバリに健在だ。

 

趣きのあるメニュー

 

シャワルマサンド、シュウェップスと合わせて4.5ディナール(約170円)。チュニジアの辛い唐辛子ソース「ハリッサ」を付けるかと聞かれて頷く。

 

安くて肉がたっぷりで美味しかったが、私には量が多すぎたので、半分は持ち帰り用に包んでもらう。ハリッサを付けなければ、肉部分を野良猫さんたちに振舞えたのだが、失敗した・・・お店の大柄な男性は、「あなたはお腹が小さいんだな、わしのはほらこの通り」と言って、スイカのように見事に膨らんだお腹を叩いて笑っていた。

 

お店を出てフランス門の方に向かうと、さっき食堂に顔を出した白っぽい綺麗な猫が歩いていたので、追いかけて写真を撮っていたら(もう暗くて私のカメラ・腕では上手く撮れなかったからボツ)、それを見ていた老人が「この猫はラティーファという名前なんだよ」と教えてくれる。近所で可愛がられているらしい。アラビア語でラティーファ(ラティーフの女性形)は「優しい」「親切な」という意味で、女性の名前に使われたりする。優子ちゃんだ。

 

夕食を終えても、私にはまだ重要な任務が残っている。それは酒を買うことだ。チュニジアやヨルダンなどのように飲酒が禁じられていない国でも、アラブの安食堂ではアルコールがないのが普通なので、お店でビールやワインを買ってホテルで部屋飲みするのが習慣なのだ。チュニジアではスーパーで酒が買える(ヨルダン等のスーパーでは買えない)との情報を得ているので、近くの「マガザン・ジェネラル」というスーパーに行く。しかし、それらしき棚にはノンアルコールビールしか見当たらない。

 

不吉な・・・

 

 

店員に聞くと、「金曜日はアルコール類の販売が法律で禁じられている」という。なんと・・・

 

チュニジアでは長年、公共の場でのヒジャーブ(イスラム教徒の女性が髪を覆うために使用する布)の着用が禁じられており、一夫一婦制が法律で定められているというから、私の中では「政教分離が進んだ国」というイメージが強かったのだが、まさか金曜日(イスラム教徒にとって聖なる日)のアルコール販売が禁止だとは・・・ヨルダンでもエジプトでも、断食月ラマダーン以外は毎日酒が買えたのに、なんてことだ。

 

念のために、疲れた足を引きずってもう一軒のスーパー「モノプリ(Monoprix)」にも行ってみたが、やはりなかった。「明日はあるよ」と言われたが、どうも不吉な気配が漂っている。しかし、ないものはしょうがないので、ノンアルコールビールを買って帰った。飲んでみたら、麦茶とビールを足してアルコールを飛ばしたような魂の抜けた味がした。

 

結局この日は、機内で飲んだハイネケン以外は酒抜きとなった。

 

 

夜のフランス門。ホテルも食堂もスーパーもみんなこの周辺だったので、この日だけで何度も通りかかった。

 

(続く)

 

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