まだ5月の終わりだというのに、やけに暑くてきびしいですね。
でも湾岸の砂漠の国ドバイは、もっともっと暑いはず。
ドバイと言えば・・・
先日、ドバイに行ってきた。
本物のほうじゃなくて、さいたま市浦和区のJR与野駅付近にひそやかに建っているハラールの中東料理店、「ドバイレストラン」のほうだ。
あのお店に行ったのはこれで2回目。
初めて行ったのは3月終わり頃で、2月の開店から1ヶ月くらい経った頃だった。
店主のユーセフ・ジュディさんはシリア系クルド人。反政府デモに参加したため命を狙われ、シリア北東部のカミシュリからはるばる日本に避難してきたそうだ。
(参考記事)「朝ごはんの現場 祖国シリアを離れて“平和”かみしめる朝ごはん」
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/05/0510.html
私はこの店の存在を知った時から、「シリア難民が経営しているレストランの名前が、なぜドバイなのか」という疑問を抱いていた。そういう人は少なくないだろう。それで、前回訪れた時に彼に聞いてみたら、「ドバイが好きだから」と目を輝かせて教えてくれた。何もない砂漠から、大都会である現在のドバイをつくりあげたムハンマド首長を大変尊敬しているとのことで、料理に使用しているスパイスなどもドバイから取り寄せたものらしい。ドバイから取り寄せても、原材料はインド産なのでは・・・という指摘もあるが、それはさておき、彼のドバイ愛はよく伝わってきた。
ドバイLOVEのジュディ店長。UAE大使館がこれを知ったら、贔屓にしてくれないだろうか
今回は日曜の夜だったせいか、お店にいたのはジュディさんだけだったが、前回はトルコ出身の若い料理人、給仕担当のダマスカス出身の男性(2人ともクルド人)、そしてお手伝いをしているという日本人の女性もいた。みな感じが良くてにこやかだった。(料理人の彼とは顔を合わせていないが)
では、ここらでお店や料理の写真をご紹介しましょう。ボケボケのやつもあるが、軽く流して頂ければ幸いだ。
マイホームにお父さんが日曜大工で物置を建て増しした、というかんじのスペースが実は中東料理店という意表をついた設定
手作り感満載の内装。中東感は水タバコでさりげなくアピールか
メニューはこんなかんじだが、ファラーフェルが登場したり、イベントや母の日特別メニューを設定したりして、常に新しい工夫が見られる
カリッと揚がったファラーフェルの豪華プレート、テイクアウトしてから温め直しても美味しいそうだ。中国っぽい器がミスマッチでステキ
看板メニューのケバブドバイセット。薄いホブズ(アラブパン)に包まれたシリア風のシャワルマ(=ケバブ)サンドイッチで、ヨーグルトソースをつけて食べる
これがホブズ(アラブパン)。シリアのものは紙のように薄いので有名。お皿にしいたり、料理にかぶせたり、ちぎってディップ類やおかずをすくったりと、多方面で活躍している。主食であると同時に、料理の具であり、お皿であり、フタでもあり、スプーンでもあるという具合。
こっちはケバブライス。丼に入れたらケバブ丼か。そういえばトルコ人のケバブ屋さんでも、ケバブ丼は定番ですね
ひよこ豆のディップ、「ホンムス」(=フムス、ホンモス)。本場の味。ホブズですくって食べる。
日本人好みの焼きナスのディップ、「ムタッバル」。タヒーナ(ゴマペースト)がたっぷり入っていて濃厚
アラブ風の米入りロールキャベツ、「マルフーフ」。(メニューには「ヤブラ」と表記されている) 家庭の味
これはブルグル(砕いた小麦)をベースにした生地で羊のひき肉などを包んで揚げた「クッベ」
カルダモンの香り高いアラビックコーヒー。この日は自家製のココナツクッキー付き。他にも紅茶やジュース類が色々ある。ジュディさんは敬虔なムスリムなのでお酒は置かない。私としては心底残念だが、お酒を飲まない人には完全ハラールはありがたいかも。なにしろ、酔っ払いはうるさいからね・・・
ファラーフェルやケバブ、ディップ類がとても美味しく、しかも東京の中東料理店よりずっと値段が安い貴重なお店だ。
しかし、お店側がフェイスブックのページに書いていたところによると、経営状況が悪く、6月の終わりにはこのまま続けるか、あるいは閉店するかどうかを決断しなければいけない状況なのだそうだ。そのせいか、ジュディさんは2ヶ月前に会った時よりも元気がなく、お客様が少ないと寂しそうに言っていた。
やはり埼玉の住宅街の中というロケーションがいけないのだろうか。ラマダーン中にモスク周辺に屋台を出したらどうだろうとか、イベントに出店したら儲かるんじゃないかとか、ケータリングを始めたらどうかとか、友人たちの間では色々意見が出ているのだが、現実的に実行可能かどうかわからないので、お店側に提案するには至っていない。
クルド人コミュニティの支援が受けられたらいいのだが、ジュディさんはシリア出身のクルド人で、トルコ系のクルド人コミュニティとは集団レベルでの交流はない様子。知人によると、シリア出身のクルド人は埼玉県の浦和周辺に、トルコ出身のクルド人は同じ埼玉でも川口・蕨周辺に多く住んでいるとか。少し距離があるのだ。私は最近トルコ系クルド人の女性や子供たちと話す機会が多いのだが、中にはシリアにクルド人がいることすら知らない人もいるのだ。だいたい、クルド人のお母さんたちはパンでもヨーグルトでもチーズでも、何でも手作りしちゃうから、レストランに行ったり注文したりしなさそう。
そんなわけで、ドバイレストランの行く末は今のところ靄に包まれている。
潰れずに、何らかの形で存続して欲しいものだ。私のためにも・・・
食べログ情報
https://tabelog.com/saitama/A1101/A110102/11044302/
(おまけ)
夏のさわやかペコちゃん。ペコちゃんの写真を撮るのは、私のライフワークのひとつ(うそ)