外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

マヨネーズの誘惑と葛藤

2012-09-26 19:32:56 | グルメ
宇治川べりの道で出逢った、やさぐれた感じの白猫



マヨネーズはおいしい。
あのまろやかな酸味とうまみ、クリーミーな質感、そしてあの色合い・・・
もう何もつけずに、容器から直接舐めたくなるほどだ。

私はマヨネーズが大好きだ。
しかし、スーパーのマヨネーズ売り場の前で、私はいつも金縛りにあったかのように、かたまってしまう。
うちには今、マヨネーズがない。
買いたい。でも買いたくない。
買いたい。でも買いたくない。
買いたい。でも・・・
毎回この葛藤に苛まれ、うぬっと身動きが取れなくなるのだ。

ちなみにマヨネーズだけじゃなくて、トンカツソースとか、めんつゆなんかでも同じ現象が起こる。

私が悩まずに買える調味料は(スパイス類を別にすると)、
醤油、塩、砂糖、酢(今うちにあるのは中国黒酢)、それにコチュジャンぐらい。
コチュジャンはちょっと例外だが、ほかはどれも使用頻度が非常に高く、自分で作るのがほぼ不可能な、基本調味料だ。
味噌とか、料理酒とか、みりんとか、ナンプラーとか、豆板醤とかは、悩んだ末買ったり、買わなかったり。
食費を削るという経済的理由もあるが、
「冷蔵庫や台所の棚が有象無象な調味料でごちゃごちゃするのがイヤだから」
というのが、このジレンマの主な原因だ。
どうやら、シンプル・イズ・ザ・ベストの思想がそこには流れているらしい。

マヨネーズの材料はサラダ油、酢、塩、卵黄だから、作ろうと思えば(思わないが)、自分で簡単に作れる。
つまりこれは、基本調味料ではない。そのような合成調味料が冷蔵庫に入っていると、なんかイヤ。
そんな冷蔵庫、私は尊敬できないわ。

私の理想の冷蔵庫は(中味の話だが)、
「毎日料理を作ってる人間のものとは思えないほど、スカスカ」、なのだ。

それなのにああ、私はマヨネーズが好き。
そして、自分で作るのはめんどくさい。
買いたい。でも買いたくない。
買いたい。でも買いたくない。
買いたい。でも・・・
こうして今日もマヨネーズ売り場の前で、ヌリカベのようにたたずむ私。
そんな私のやくたいもない葛藤をよそに、他のお客さんたちは、安売りの特大サイズのマヨネーズをカゴに無造作に放り込んで、颯爽と立ち去っていく。
みんな、カッコイイ・・・

ようやく葛藤を振り切って歩き出すと、今度はトンカツソースの棚に引っかかっていまう。
買いたい。でも買いたくない。
買いたい。でも買いたくない。
買いたい。でも・・・

こんなふうなので、私のお買い物は大変時間がかかるのだ。





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ホンムスとチャパティを作る

2012-09-19 18:44:26 | グルメ
自作のチャパティとホンムス(チャパティをちぎってから、あ、写真撮ろ!と思いついた)



先日、久しぶりにホンムス(ひよこ豆のペースト・中東料理)を作った。
ホンムスに添えて食べるため、チャパティも焼いた。
ホンムスを作るのは、全ての材料をミキサーにかけるだけなのでラクだが、チャパティは生地をこねるのが結構大変だった。
全部作り終わったあとは、汗だくで、ひろうこんぱい。
ああ私、身体弱いのに・・・厳しい残暑の中で無理するんじゃなかったぜ。

ホンムスの作り方はこんなかんじ。
以前の記事で大まかな作り方を載せた気がするけど(よく覚えてない)、こちらのほうが詳しいっす。たぶん。

ホンムス
<材料>
・ひよこ豆水煮 380g
(私が使ったのは、「SOLLONE」というイタリアのメーカーの、紙パック入りのひよこ豆水煮。食塩で味付けしてある)
・ひよこ豆の煮汁 大さじ4
・練りゴマ 大さじ4
・ニンニク 1かけ
・レモン汁 大さじ1
(私はいつも、ポッカレモンを使う)
・オリーブオイル(エクストラバージン) 大さじ1
・塩、クミンパウダー 少々

塩は味を見ながら、少しずつ加える。
クミンパウダーの分量は、お好みでどうぞ。
以前韓国人の友達が、「クミンを入れると、食べ物がアラブの味になる」と言っていた。
クミンの風味は個性的なので、好き嫌いが分かれると思うけど、クミンを入れないホンムスって、黒胡椒を入れないカルボナーラみたいなもの。
ほんの少しでも入れたほうが、本物の味に近づく気がする。

<作り方>
全ての材料をミキサーにかけ、滑らかなペースト状にする。
皿に丸くこんもりと盛り、中央をやや凹ませて、そこにオリーブオイルをたらす。
ひよこ豆の水煮をひとにぎりほど飾り用に取っておいて、上からパラパラを振りかけると本場っぽくなるのだが、私はこれを毎回うっかり忘れる。

豆の煮汁が余ったら、温めてレモン汁とクミンパウダーを加えて飲むとおいしい。
冬になるとダマスカスの路上に出現する、茹でたフール(ソラマメの親戚)を食べさせる屋台で、こういうのを飲んだことがある。
ひよこ豆じゃなくてフールだったけど、煮汁の味はほぼ同じ。
なつかしいシリアの味・・・ああ、シリアが恋しい、しくしくしく。


ホンムスにはパンがつきものである。
アラブの薄いパン(ホブズ)を少しちぎり、これをスプーン代わりにして、ホンムスをすくって食べるのが本場のやり方だ。
本格的なパンを焼くのは、イースト発酵の手順がメンドウなので、今回は手抜きしてチャパティにした。
チャパティを作るのは初めてなので、インド料理の本を参考にした(かなりアレンジしたけど)。

チャパティ(8枚分)
<材料>
・強力粉 3カップ(本来全粒粉を使うらしいが、うちになかったので強力粉で代用)
・サラダ油 大さじ1
・水 150ml~200mlくらい(計ってない)

<作り方>
(1)ボールに強力粉とサラダ油を入れ、少しずつ水を加えながら、髪を振り乱してコネコネコネコネコする。
(2)人間の耳たぶくらいの固さになったら(猫のでもOKかも・・・いやダメかも)、冷蔵庫でしばらく(30分くらい?)寝かせる。
(3)「どうやら生地が落ち着いたようだ」という印象を受けたら(主観が全て)、冷蔵庫から出す。
(4)生地を8等分して、麺棒でなるべく丸く伸ばす(丸くなくても誰も死なないから、テキトーにやる)。
(5)フライパンを熱し、油をひかずに裏表中火で焼く。
   焼いている間、うっかりして深い考えごとにふけったら、すぐ焦げるので注意。
   考えごとをするのは、全て焼き終わるまでガマンすべきだろう。

生地をこねるのが重労働だけど、短時間で出来て、とっても簡単です。
お味の方も、小麦粉の素朴な味が十全に味わえて、私ごのみだ。
イーストで発酵させたパンのようなイースト臭がないので、むしろ普通のパンより美味しい気がする。

チャパティでホンムスをすくって食べると、気分はすっかり中東(+インド)だ。みっちゃん、とってもごきげん。
でもやっぱり、毎回自分で作るのはメンドウ。
近所に安いホンムス屋や、シリアのホブズを売っているパン屋があれば嬉しいのだが・・・。
日本政府がシリア難民をガンガン受け入れてくれたら、こんなささやかな希望は簡単に実現するだろうが、そんな日は一生来ないだろう。


「SOLLONE」のひよこ豆水煮パック(使用後)



ダマスカスのフールの屋台(ネットで見つけた写真)
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無限のお酒

2012-09-16 02:33:04 | グルメ



友達から台湾土産にもらった「高粱酒」というお酒を、最近寝る前にほんの少しだけ飲んでいる(っていうか、舐めている)。

これは、中国で一般的に「白酒」と呼ばれるカテゴリーの、高粱(モロコシ)を主原料とした蒸留酒で、アルコール度はなんと58%!
58%っていうと、ウイスキーやブランデー(どちらも約40度)よりずっと高い。
っていうか、あと2%上げたら60%台に乗るのに、惜しい。
なぜそこで蒸留を止めてしまったのか?ちょっと気になるう。

飲んでみたら、純粋なアルコールの味がする。
「アルコール」という概念を、端的に表現したようなお味。
ラベルには、中華民国優良商品協会による「国家優良品質奨」というおススメマークがついているが、美味しいとはとても思えない。
これって、本当に飲み物なのか?
実は、消毒薬かなにかでは?
ラベルを改めてチェックしてみると、
製造年月日は2011年10月23日、保存期限は「無期限」とある。
無期限・・・





無期限に保存できる飲食物がこの世に存在するとは思わなかった。
この有限の世界で唯一、高粱酒は無限の存在なのか。
人類が滅亡しても、これは永遠に存在し続けるのか。
アルコール度数が高いから悪くならないってことだろうけど、
なんかこのお酒、コワイ・・・
とかなんとか言いつつ、そんな謎の液体を毎日摂取する私。
どの程度薄めればいいのもかよくわからない。
初めはロックや水割りで飲んでいたが、
最近じゃストレートで、舐めるようにちびちび飲んでいる。
こんなもの飲んでたら、いずれ目がつぶれるんじゃないかと、スリル満点だ。
でもその前に、胃がこわれそう。

みなさんも中国や台湾に行かれた際には、是非トライしてみてくださいね。
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自家製シードルの出来栄え

2012-09-15 01:52:22 | グルメ
自家製シードルとクマ



前々回の記事で、りんごジュースとドライイーストを使用して、シードル(りんご酒)を仕込んだことを報告しました。
さてさて、その結果は・・・


りんごジュースにドライイーストを投入した当初、ご家庭用の小型地獄(瓶入り)のように激しく噴出していた泡が、2日後にはほぼ完全にストップした。
どんより白濁してて、あんまりシードルらしくない外観だけど、これはもう発酵が終了したということだろうと判断して、栓をして冷蔵庫に入れる。

翌日、試飲した。
べっとりと底に溜まったオリが入らないように気をつけながら、そうっとグラスに注いでみる。
ちょっとにごった白ワイン、みたいな色である。シードルに見えなくもない。
冷蔵庫で休憩している間に、いくらか透明感を取り戻たようだ。
どきどきしながら飲んでみる。

う、う~ん。
なんと形容したらいいんだろう、この味は・・・
全然甘くなくて、後味のすっぱいりんごジュースっていうか、酸味の少ないりんご酢っていうか、そんな感じ。
若干苦味もある。
口に含んだ瞬間、まったくアルコールが感じられなかったので、なんやこれ、酒になってないやんけ~!とがっくりしたが、グラス1杯飲み終わったあと、お腹がほんのり温かくなった気がしたので、多少はアルコールが含まれてるのだと思う。
いずれアルコールに弱い人にこっそり飲ませてみて(りんごジュースだと偽って)、アルコール反応が出るかどうか試してみたい。

このシードル、最初のうちは、
「なんかあんまりおいしくない。アルコール度数も限りなく低そうだし、わざわざ作る必要ないかも~」
と思ったが、飲んでいるうちにだんだんハマってきた。
クセになるお味なのだ。
これなしで生きていけなくなったらどうしよう!
・・・あれ?別に問題ないか。簡単に作れるし。
とりあえず、第2作目を用意しようかな。


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カオスのカレー

2012-09-12 23:25:01 | グルメ
奈良町の笑う狛犬




料理するとき、考えがまとまらないまま始めると、なんだかこまった感じのものが出来上がることが多い。
余りものをまとめて処理しちゃおう、などという邪念が、そもそも失敗の始まりである。

この間作ったカレーもそうだった。

初めは別にカレーを作る予定じゃなかったのよ。
冷蔵庫にある、舞茸、しし唐、豚肉、玉ねぎ、かぼちゃを使って何か一品作ろうと、漠然と考えていたの。
調理の経過は以下のとおり。

(1)全ての材料を適当に切って鍋に入れ、かぶるくらいの水を加えて火にかける。
   この材料だと、和風の煮物にするのがいいかしら?と思って、かつお節をひとつかみ投入。
(2)数分後、かつお節を入れたことをすっかり忘れ、トマト味のシチューにすることに決め、冷蔵庫で眠っていたトマトペーストの小袋をぐにゅ~と絞る。
   搾り終わってから、はっ、そういえば、かつお節を入れたんだった!と気づくがもう遅い。
   早期アルツハイマーの検査を受けたほうがいいのかも、と我ながら不安になる。
(3)引き出しの奥に、ずっと前に買って使っていなかった切干大根があったことを、ふと思い出す。思い出さなければよかったのに。
   切干大根をひとにぎり、水洗いしてから加える。
(4)しばらく煮込んでから、塩・こしょうして味見してみる。
   濃いトマトベースの味に、かつおだし、豚肉や舞茸や切干大根から出たエキス、かぼちゃの甘みが混ざって、何ともいえず微妙な味になっている。
   色の方はというと、かぼちゃが溶けて、陽気なレッドオレンジになっている。
(5)いっそのことカレーにしちゃったら上手くまとまるかも!と思い立ち、
   クミンパウダー、コリアンダーパウダー、チリパウダーをたっぷり振りかける。
   さらに蜂蜜も少々加えてぐりぐりかき混ぜ、再度味見してみる。
   何かが足りないような、何かが過剰なような、とりとめのない味である。
   何かが足りないと感じるのは、最初に玉ねぎや他の具材を炒めるという作業が抜けているせいかもしれない。
   そして過剰に思えるのは、切干大根の和風パワーしれない。
(6)なんとかカレーらしい味にしようと、牛乳を少々加えてみるが、あんまり効果がない。
   いらいらして、手に持っていたグラスの赤ワインの残りを、衝動的に鍋にぶちまける。
   風味がよくなるかと思ったが、赤ワインのタンニンのせいでさっきよりかえって不味くなった気がする。
   もう収拾がつかない・・・
(7)これ以上何か入れると事態が悪化するに違いないので、あきらめて火を止めて、調理終了。

なんかこのカレー、あんまり食べたくナイ。
食べるのを延期して、とりあえず翌日まで寝かしておくことにする。
翌日になったら、魔法のように美味しくなってるかもしれない(ナイナイ)。

翌日食べてみると、やはり混乱した味のままである。
混乱した精神が作り出した、カオスのカレー。
すごく不味いわけじゃないけど、なんだかこまった味なのだ。
ああ私、一人暮らしでよかった!同居人がいたら散々文句言われるとこだったぜ、と思いながらいやいや食べる。

この経験から私が得た教訓はふたつ。
ひとつ目は、
「最終目標が定まらないまま物事を始めると、失敗しがちである」
もうひとつは、
「トマトベースのカレーには、切干大根を入れないほうがいい」


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