外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

日付不明まとめ書き日記 2012年6月追加分

2012-06-30 01:37:06 | 日記
私の好きな、踊るハニワ




6月某日
今日も台所でナメクジを見かける。
面倒なので目を合わせないようにして、静かに台所から出る。
ナメクジのほうも、私の方も見ないようにしている気配である。

6月某日
本屋で奈良の観光ガイドを立ち読みしていて、西大寺に「猫塚」という古墳があることを知り、興奮する。
猫塚にはおびただしい数の、高貴な猫の遺体が埋葬されており、その周囲には、猫たちが生前身につけていた鈴や、エサ入れとして用いられていた土器や、死後の世界で寂しくないように用意された、ネズミの埴輪やねこじゃらしなども埋められているということだ。魚の干物なども一緒に埋めてあったようだが、すでに土に還っていて、痕跡が見つからない。
・・・というのは私の妄想で、ここには猫の遺体など埋められておらず、古墳の形状がなんとなく猫っぽいから、後世の人たちが「猫塚」と呼ぶようになったらしい。
残念だ。

6月某日
明日の午後1時から4時半までの間、下水道工事のための断水がある。
断水はすごく久しぶりなので、非常に楽しみだ。

6月某日
ついに、うちにテレビがやって来た。
32型の、大きくて立派なやつだ。全体がつやつやと黒光りしている。
あまりに神々しいので、お花やごはんをおそなえしたり、柏手を打ったりするべきか、と一瞬考えるが、
そういえば私は無神論者だった、と思い出す。
結局何もせず、クールに眺めるだけにしておく。

6月某日
川でも見に行くべえ、と思い立ち、宇治川に行く。
連日の雨のせいで水位がものすごく上がっており、いつも私が座る川岸の石段など、すっかり水没している。
上流のダムを放流のため、動体視力が追いつかないような勢いで(私がトロイせいかも)水が流れていく。
うっかり足を滑らせて水に落ちたら、一気に海まで流されそうだ。
もし桃太郎が今流れてきても、おばあさんには(私にも)とてもつかまえられないだろう。
なにしろ、「ど~んぶらこっこ~、ど~んぶらこっこ~」などという悠長な速さではなく、「ドンブラドンブラドンブラココココココッ!」という感じなのだ。

6月某日
今日も川を見に行く。
今日は珍しく良いお天気で、穏やかな水面に日光が反射して、まぶしくひかっている。
川沿いのベンチに腰をかけて、商店街の鶏肉・鶏卵専門店で買った鶏皮の唐揚げ串をかじり、ペットボトルに入れて持参した白ワインを飲んで、「大人のピクニック」を堪能する。
周囲をスズメたちがチョコマカ飛び回っていたので、試しに唐揚げをおすそ分けしたら、先を争ってクチバシにくわえ、どこかに飛んでいってしまった。鶏皮がお気に召したようだ。
ふふふふふ、ともぐい。

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日付不明まとめ書き日記 2012年6月

2012-06-22 23:19:05 | 日記

6月某日
今日も雨ふり。もう梅雨に入ったのかもしれないが、うちにはテレビがないので詳細不明である。
気分が滅入るので、景気づけのためにチャイダンルック(トルコの2階建てのヤカン)を使って、チャイ(紅茶)を淹れることにする。
このチャイダンルックは先日、友だちにもらったのだ。

(トルコ式のチャイの淹れ方)1.上段の小さなヤカンに紅茶の葉を入れ、下段の大きいほうのヤカンに水を入れて火にかける。2.沸騰したら、下のヤカンから上のヤカンにお湯を適量注ぎ、下のヤカンに水を足して、再び沸騰させる。3.火を止めて、上のヤカンの濃い紅茶液をグラスに注ぎ、下のヤカンのお湯で適当に薄めれば完成。

ずっと昔にイスタンブルで購入したチャイグラスと受け皿を、戸棚から引っ張り出してきて、チャイを注ぐ。
トルコ気分を満喫し、すっかりご機嫌になったが、味の方はというと、手がかかった割には別に美味しくないのが残念であった。
トワイニングのアールグレイの葉っぱを使ったのがいけなかったのか。

チャイダンルック



6月某日
本屋の料理本コーナーで、納豆を使った料理のレシピ本(「おかめ納豆」制作)をパラパラと立ち読みしていて「納豆アイス」のレシピを発見してしまう。
作り方は簡単で、市販のバニラアイスに納豆1パックと、添付の小袋のタレを混ぜるだけ。「よく混ぜると、トルコのアイスクリームのようによく伸びる」との説明が付いている。
こういう、ひとつの食材をテーマにした料理本(トマトとか、豆腐とか、ニンニクとか)には、途中でネタにつまるのか、苦し紛れっぽいレシピがひとつふたつ載っていることが多い。しかし、バニラアイスに納豆を入れるところまではいいとして(いや、やっぱりよくないかな・・・)、添付のタレまで入れるというのは、少し大胆すぎるのではないだろうか。
トルコ好きとして、試してみるべきなのか、糾弾するべきなのか、悩むところである。

6月某日
連日雨続きである。
夕食の準備の最中、流しの隅っこでナメクジを発見する。
不要な殺生はしたくないので、ビニール袋を手にはめて捕まえ、玄関先のポトスの茂みにそっと放してやる。
しばらく後、醤油を取ろうとして戸棚を開けたら、黒酢のビンをじわじわと這いあがっているナメクジを発見する。
少しドキドキしながら、先ほどと同様につかまえて、玄関先のポトスの茂みにのっける。
またしばらくたってから、引き出しを開けてスリコギを取り出そうとしたら、なにか柔らかくてひんやりしたものが指に触れる。
見たら、やはりナメクジである。本日3匹目の。すごくドキドキしながらつかまえて、ポトスの茂みに放り投げる。
そのまましばし、玄関先に佇みながら思案する。
実は3匹とも同じナメクジで、外に出したやつが、いつのまにか戻ってきていたのだったらどうしよう?
ちゃんと塩をかけて、息の根を止めるべきなのか。しかし塩まみれになって、しだいに溶けてゆくナメクジを見るのは、ものすごくイヤだ・・・
なんだかもう、夕飯の準備をする気が失せてしまった。私は繊細な質なのだ。

6月某日
「明日は大型台風が来るらしい」と、妹から連絡がはいる。
翌日、昼過ぎに起きたら、激しい雨が降っていた。風も強い。
台風が近づいているようだ、と思いながら洗濯をし、軒下に干す。
ただし、物干し竿ごと風で飛ばされた時の用心のため、下着類は室内に干すことにする。

6月某日
家の前を小学生の一団が、大声でしゃべりながら通りかかる。
一人がこう自慢しているのが聞こえる。
「オレ、昨日カナヘビ見たで~」
カナヘビってどんな蛇なんだろうと、私が考え込んでいると、たたみかけるように、別の子供が大声を出す。
「僕、昨日ネコつかまえたで!すっごいコワかった!」
すっごいコワかった?猫が?なんでなんで?
よっぽど玄関を開けて、
「ちょっと君たち、ホームパイあげるから、うちに寄ってらっしゃい!そして猫とカナヘビのことを詳しく聞かせて~」
と声をかけようかと思ったが、不審者と思われて通報されたら面倒なので、ぐぐっと我慢する。

6月某日
近所のホームセンターの、蚊取り装置売り場を見渡して、しばし感慨にふける。
なんとまあ、たくさんの蚊取り装置が世の中には存在することか・・・
私の知らぬまに、新製品がいっぱい出ていたようだ。
お馴染みの蚊取り線香や、マット式や、リキッド式の装置に加えて、置いておくだけで蚊除け効果のある、芳香剤みたいなやつとか、電池でファンを回して、薬剤を拡散させて蚊を殺すやつとか、多種多様である。ワンプッシュだけで14時間も効果が持続して、蚊を寄せ付けないスプレーなんていうのも登場している。このスプレーはいったい何でできているのだろう。もしや濃縮ウラニウムでは・・・。
結局どれも選べないまま、とぼとぼ帰る。
しょうがないので、今夜は蚊に刺されるにまかせよう、と決意する。
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中国旅行(4) 老西門の小食堂での癒しのひととき

2012-06-17 23:19:14 | ウイグル・中国

魚の形のお皿にのったホイコウロウ



上海に滞在した3日間(旅の初日と、最後の2日間)、私は毎晩宿の2軒隣りの大衆食堂でごはんを食べていた。
この食堂は狭苦しくて、庶民的で、しかも料理が美味しいので、私の好みにぴったりだった。女将さんはすぐに私を覚えてくれ(外国人観光客なんて、めったに来ないせいだと推測される)、初日に冷たいビールを注文すると、その次からは「ビールください」と言っただけで、冷たいやつを出してくれるようになった。

話はそれるが、中国ではビールを室温で飲むのが普通らしく、「冷たいビールが欲しい!」と主張しないと、ぬるいものが出てくることが多い。むろん室温で飲むほうが身体にはいいだろうが、しょせんアルコールなんだし、身体に悪くてもいいから、思いっきり冷やしたやつが飲みたい。ぬるいビールと冷たい赤ワインには、できるだけ関わらずに生きていきたい、というのが、私のささやかな願いなのだ。

1日目はスパイスがいっぱい入った魚のスープを、あとの2日間はホイコウロウと、揚げナスのあんかけ鍋をそれぞれ食べた。どれもとても美味しかったが、ナスのあんかけは非常に熱かったので、舌を火傷した。私は猫舌なので、普段はあんかけ料理を避けるようにしているのだが、この時はメニュー(もちろん英語や日本語のメニューなんてない)の中国語を解読するのが面倒だったので、適当に指差して頼んだら、これが来てしまったのだ。火傷するかも、とびくびくしながら食べたら、やっぱり火傷した。でもナス大好きだし、美味しかったからいいの。

この店では、料理をするのも、給仕をするのも女性であった。
最終日、一人で食事をする私の様子を、壁にもたれて休憩しながら眺めていた、調理係兼給仕係の小太りの女性が、私の手の指がひび割れだらけなのに気がつき、「どうしたのこれ?何の病気?!」と叫んで、気の毒そうにマユをしかめた。それを聞いて、もう一人の給仕の女性もやってきて、「どれどれ」と私の手を取り、仔細に観察した。

私は慢性的なアトピー体質なのだが、特にこの時期、手の荒れがひどかったのだ(今も全然治ってないが)。両手の指や手の平がやたらに乾燥して痒くなり、ステロイドの塗り薬の副作用で皮膚が薄くなったせいもあって、指のところどころがひび割れて、パックリと傷口が開いていたのである。

「小さい頃からアトピー体質で、手が乾燥して荒れているけど、大したことないから気にしないで~」と言いたかったが、そんなことを中国語で説明できるわけがない。途方にくれて首をかしげている私を前にして、二人は大声でなにやら相談し始め、やがて最初の女性が、なにか透明な液体の入ったビンを取ってきて、「これが効くから」というようなことを言って、その中身を私の両手にパシャパシャと振りかけた。匂いから察するに、どうやらそれはお酢だったようだ。さすが医食同源の国(?)である。酢をふりかけられた手は、最初鋭く痛み、その後やたらに痒くなったが、しばらくしたら収まった。旅先で思いがけず遭遇した、この素朴でストレートな親切に胸を打たれ、私は半ばウットリしながら残りのナスを食べ、ビールを飲み干した。

彼女たちにお礼を言い、別れの挨拶をしてホステルに戻ったら、フロントの陽気な男の子に、「You smell vinegar(あなたは酢の匂いがする)」と言われたので、自分でも両手の匂いを嗅いでみると、確かにお酢の匂いがプンプンしていた。「酢の匂いのする女」って、小説のタイトルみたい・・・コメディーの。

翌日には手の皮膚が乾燥してポロポロ剥がれてきたが、パックリ開いていた傷口は、ほぼふさがっていた。お酢療法のおかげかもしれない。数日後には、また開いてしまったが。自分でもう一度試してみようか、とも思うが、私は基本的に民間療法を信用しない質なので、どうも気がのらない。

いつかまた上海に行って、また老西門のあの小食堂でご飯を食べたい。
そして、全身にパチャパチャとお酢をふりかけて欲しい(うそ)・・・
その日までは、とりあえず西洋医学の世話になろうっと。


サントリービールの中国バージョン。プラスチックのコップがイカすでしょ。

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中国旅行(3) 上海の印象~老西門界隈~

2012-06-15 17:36:52 | ウイグル・中国

老西門界隈



上海には初日と、最後の2日間に計3泊したが、この短い期間に、この街は私のハートをかっさらってしまった。

その第一印象は圧倒的で、私は呆然としながらこう思ったものだ。
「こんなにステキな国が隣にあるのに、私は今までいったい何をしておったのか?!
わざわざイタリアやシリアくんだりまで行く必要なんか、なかったんじゃないのか?!」

上海で滞在した宿は「老西門」という、下町情緒がたっぷり残った庶民的な地域にあった。
「山の手より下町」、「新築の高層ビルより廃屋寸前のボロ家」、「お洒落なカフェより赤ちょうちん」、「高級レストランより屋台」という私の好みを考慮して、友達がここのユースホステルに予約を入れておいてくれたのだ。

上海といえば、高層ビルだらけの近代的な大都会を思い浮かべる人が多いと思う。旅行前は私もそうだった。そのため、この街には今まで全然興味が持てなかった。都会なんてどこの国でも似たり寄ったりで、あんまり面白くないからだ。だから地下鉄の老西門駅を出て、宿を目指して歩きながら周りの風景を見渡したとき、完全に意表を突かれたのだった。

入り組んだ路地の両側に、粗末な住宅や商店、安食堂などが立ち並んでいる。黒ずんだ壁、突き出たトタンの庇、今にも外れそうな窓枠、無秩序に張り巡らされた電線・・・軒先には洗濯物がずらりとぶら下がり、その下を自転車やバイクや、荷押し車が慌ただしく通っていく。道端の屋台からはいい匂いが漂い、人々がその周りに群がっている。食料品店の店番のおばさんは、数人のお友達とトランプに熱中していて、その足元では犬が丸くなってお昼寝中・・・なんだかこの風景、どこかで見たことある。そうそう、ナポリの路地裏がちょうどこんな感じだった。

宿にチェックインして、少し休憩したあと、付近の市場を散策した。
市場といっても屋台はあまり出ていないので、商店街と呼ぶほうが正確かもしれないが、道の両側にえんえんと連なる小さな商店が、店の前の路上にまで思いっきりはみ出して、品物を広げて売っているため、まるで青空市場にいるかのような錯覚を覚えるのだ。ときは夕暮れどきで、次第に薄暗くなる空の下、夕食のための買い物を急ぐ人々で混雑していた。売っている商品の種類は多種多様。タライに入れられ、ひっくり返ってバタバタしている亀、木のかごの中でぼんやりとうずくまるカモ、得体の知れない水色の卵、盛大に湯気を立てる饅頭の蒸籠・・・この喧騒、この混乱は、カイロのスークにも負けないかもしれない。

夕食をとったのは、宿の並びにある、テーブル席が3つしかない狭苦しい食堂(二階席もあるようだったが)だった。隣のテーブルでは、若い男の子と女の子の2人連れが食事をしており、もうひとつのテーブルでは、おじさん3人組がビールや、強そうな透明のお酒を飲みながら、なにか熱心に語り合っている。私たちは空いているテーブルに腰を下ろし、お店の人に、隣の2人連れが食べている魚料理を指さして、あれが欲しいと注文した。その様子を見て、女の子のほうが英語で話しかけてきたので、しばらくおしゃべりする。男の子の方は(恋人ではなくて、弟だった)英語が話せないようで、黙ってにこにこして聴いている。向こうのテーブルのおじさんたちも、なんだか嬉しそうにこちらを眺め、この女の子に話しかけて、私たちについて何か質問していた。好奇心旺盛なのだ。

この老西門界隈の下町ムードは、私のハートを瞬時にわしづかみしてしまったが、なににもまして私の心を打ったのは、ここの人々が人生を楽しんでいる様子だった。
彼らは遊ぶのが上手なのだ。子供が遊んでいる姿は、なぜかあまり見かけなかったが、大人たちのほうは、路上に机や椅子を持ち出して、寄り集まっておしゃべりをしたり、ゲームに興じたりしているのをよく見かけた。これは上海のこの界隈だけではなくて、中国各地でみられる現象ではないかと思う。その昔バリ島を旅したときも、路上に座ってタバコをふかしたり、観光客に声をかけたりして、のんびり一日を過ごす人々をよく見かけたが、それは男性に限られていた。でもここでは、女性も男性に負けず劣らず、路上で遊んでいる。
道端で麻雀にふけっているおばあちゃんたちや、トランプするおばさんたち、将棋の親戚みたいなゲームに熱中しているおじさんたち・・・それはいつまでも眺めていたくなるような、素敵な光景だった。


生地からこねて、ネギ入りのお焼き(何とか餅?)を作るおじさん。私たちも買って食べたが、塗ってあるタレが香ばしくて美味しかった。



市場風景



卵屋さん



巨大なきゅうりのようなもの(冬瓜?)を切る八百屋さん





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中国旅行(2) 下準備

2012-06-08 00:07:25 | ウイグル・中国

果物屋の看板猫を撫でる 上海にて




中国を個人旅行するにあたって、私がやった下準備とは、もちろん語学学習である。
中国では英語があまり通じないらしいし、いちおう語学マニアのはしくれ(?)として、多少なりとも現地の言葉を勉強しておくのが当然の義務やわ!と思いついたのだ。
我ながらヒマで物好きである。

問題は、「どの言語を勉強するか」、である。
もちろん中国に行くのだから、中国語(の標準語である北京語)は必須だが、主要な滞在先のウイグル自治区では、ウイグル語も使用されているのだ。長年の占領の結果、ウイグル人も中国語が話せるわけだが、私はできれば彼らと、彼らの言語で話したかった。それに、ウイグル語はトゥルク語系の言語なので、トルコを勉強した私には、比較的とっつきやすいように思えた。

そんなわけで、出発前の約1ヶ月間、中国語とウイグル語の学習に精を出すことになった。
「上海に行くんやったら、中国語の上海方言も勉強しといたほうがええんやないか?」と、私の心の中に住んでいる陽気なおじさん悪魔が囁いたが(彼は「ラジオスペイン語講座礼賛」の記事にも登場した)、黙殺することにした。冗談もたいがいにしてほしいわ、そんなにできるわけないやん!

中国語に関しては、書店で超初心者用のテキストを購入して、発音練習と、基本文例・重要語彙の丸暗記をする一方、NHKラジオ講座も聴き始めた。
こんな短期間で文法を覚えるのはムリなので、文法学習は省略して、丸暗記に徹することにする。中国語の文法はわりとシンプルだそうだから、実はさほど時間がかからないのかもしれないけど。

それにしても、中国語の発音は、なんであんなに難しいんでしょう?
ムリ!似たような発音の子音がたくさんありすぎる。区別して発音しようと思ったら、舌がつりそう。有気音と無気音の違いを聞き分ける、なんていうのも、耳のあまりよくない私には不可能。それにあの「四声」はなんなん?あの4パターンの「音の上がり下がり」を間違ったら、別の意味の単語になってしまうって、どういうことやねん!だいたい、似たような発音の単語が多過ぎて覚えられへん!やっぱり中国語なんか勉強するんじゃなかった・・・などと、ひたすらボヤきながら、暗記作業をしていた私。
結局、頭に入ったのは、「これください」、「いくらですか?」、「高すぎる、もっと安いのはありませんか?」、「トイレどこですか?」、「冷たいビールありますか?」などの、サバイバルに必要な最低限のフレーズのみであった。

中国語に比べたら、ウイグル語は比較的楽だった。
先ほども触れたように、ウイグル語はトゥルク語系の言語であり、トルコ語の親戚筋にあたる。そのため、文法構造がトルコ語に酷似しているし、共通の語彙も多い。数字なんか、ほとんど一緒。またウイグル語の表記には、なぜかアラビア文字が用いられているが、アラビア語学習経験者でもある私には、とりたてて問題はない。
ただし発音がトルコ語とかなり違うので、聞き取りは困難だし、もちろんトルコ語と全く似ていない単語もたくさんあるから、それらは一から暗記しないといけない。

一番の問題は、ウイグル語のテキストが手に入らないことだった。
ネットでざっと調べたところ、現在入手可能なウイグル語の独習書は、大学書林の「現代ウイグル語四週間」のみのようだった。しかもこの本は、税抜きで7500円もするのだ。さすがマイナー言語である。2週間の旅行のために、わざわざそんな高い本を買うわけにはいかないので、その代わりに、インターネット上で見つけたウイグル語学習用サイト、「ウイグル語ことはじめ/マレビトの目から見たウイグル/新疆瓦版」で勉強することにした。
このサイトの最大の特徴はなんといっても、「恋のかけひき」関係の例文が多いことである。
例えば・・・

「君と会いたかった」
「オレは君が好きだ」
「君はオレのこと好きかい?」
「私もあなたのこと、好きには好きよ」
「でも友だちとして好きなの」
「お前がいなくちゃ生きられないんだ」
「私のことは忘れて」

といった具合である。
観光旅行で数日滞在するだけの私が、こんなフレーズを口にすることがあるかどうか、はなはだ疑問だったが、サイトの筆者によると、ウイグル男性は脊髄反射で女性を口説くらしいので、必要に迫られることがないとも限らないのかも・・・というわけで、好奇心も手伝って、私はこれらの例文の丸暗記に励むこととなった。

ウイグル語の発音や表記の規則、場面別の文例、ジャンル別の単語リストなどが、笑いのツボを直撃する愉快な説明文とともに載せられていて、非常に素晴らしいサイトなのだが、残念なことに、「トイレどこですか?」、「バス停はどこですか?」、「テイクアウトします」、「メニューを見せていただけますか?」などの、旅行に必須のフレーズがほとんど載っていなかった。また文法説明が少ないため、覚えた例文が応用しにくいのだった。

1ヶ月間の学習の後、私の中国語は、「トイレはどこか質問できても、相手の返事が全く理解できない」程度であり、ウイグル語のほうはというと、「ナンパをさりげなく断ることはできるが、トイレの場所を質問することが出来ない」といった、非常に微妙なレベルであった。

実際に旅行してみて、このお勉強がどのくらい役に立ったの?という質問には、「さっぱり役に立たなかった」と、「あんまり役に立たなかった」の中間くらいだった、と答えるしかない。買い物や観光、ホテル探しなどの際に多少は役に立ったものの、それ以上ではなかった。やはり私には語学の才能がにゃい・・・はっきり言って、時間の無駄だったかも。ウイグル人の若者はぜんっぜんナンパしてくれなかったし、ふん、なにさ~。



アパックホジャの霊廟 カシュガルにて


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