外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(10)~チュニス6日目・タバルカ遠征編~

2020-02-17 04:11:16 | チュニジア

 

チュニス滞在6日目は、北部の地中海沿岸の町タバルカに日帰りで遠征した。

 

なぜタバルカを選んだかというと、アルジェリア国境に近いからだ。アルジェリアでは去年、約20年にわたって政権の座についていた高齢で病身のブーテフリカ大統領の5期目への立候補に抗議する大規模なデモが発生して拡大・継続し、これが政権交代に繋がったという画期的な事件があったのだが(デモはその後も継続)、その様子をアルジャジーラで追っているうちに、「まあ~デモが終わった後に皆でゴミ集めて捨ててる~同じく反政府デモが起こっているスーダンでは治安部隊(民兵組織)が丸腰のデモ隊を攻撃して死者が大勢出てるのに、アルジェリアではほとんど死者が出てない~ここらで軍事クーデターが起きるのがアラブ的な流れなのに、ここの軍参謀総長(昨年末死去)は口は出すけど手は出さない~なんてステキな国かしら~」とうっとりし、ものすごく行ってみたくなったのだ。

 

アルジェリアの首都アルジェでの2019年12月17日のデモの様子(フランス24の記事の写真) 仏植民地時代の名残らしき建物もステキ

「‫عاصمة الجزائر مظاهرات‬‎」の画像検索結果

 

アルジェリアは個人旅行では観光ビザを取るのが大変そうなので断念したが、チュニジアのお隣だから、国境付近まで行ったら向こうの雰囲気も伝わってくるかも!と考えた(行ってみたら、そうでもなかったが)。また、重い荷物を下げてチュニスから移動する根性はないが、少しは他の地域も見ておくべきだろうということで、ガイドブックに載っているそれなりの観光地で、日帰り出来るタバルカに行くことにしたのだ。

 

前置きがやけに長くなったが、そういうわけで、この日はちょっとがんばって遠出した。でも早起きする気合はなかったので、朝食をパスして9時半ごろまで眠り、ゆっくり洗濯をしてから出かけた。廊下で出会った朝食係兼掃除係の小柄な女性には、「あなた朝ご飯に来なかったけど、どうしたの?大丈夫?」と声を掛けられた。優しい・・・すいません、眠かっただけなんです~

 

北バスステーションに向かっている時に通りかかったおうち。ドアの脇の小さいドアの飾りがハート直撃

 

バスステーションに到着して、タバルカ行きのルアージュ(乗り合いミニバス)に乗り込む。乗客8人が揃って出発したのは12時間際だった。

 

運転手さんが呼び込みもやる。

 

車窓からの風景。オリーブ畑

 

前日に聞いた通り、約3時間でタバルカに着いた。午後3時から観光するっていう・・・時間が遅くなると帰りの便がなくなるか、あるいは8人分の運賃を払ってルアージュを借り切る羽目になるので、2時間ほどで観光を済ませて戻って来る心積もりをして、市内中心部に向けて歩き出す。

 

タバルカ猫、警戒警報発令中?

 

「ZAPATISTA(サパティスタ)」と壁に書かれている。他の場所でも見かけた。サパティスタ民族解放軍はメキシコの先住民族主体のゲリラ組織らしいが、チュニジアにも影響を与えたのだろうか。

 

ぐったりした野菜を売る女性たち

 

スイカはトラックで売られていた。

 

朝食抜きでお腹が減っていたので、観光の前にまず腹ごしらえをする。

 

「Pizzeria(ピッツェリーア)」が「Pizzaria」になっているお茶目なお店でランチにした。

 

どこがレバノン風かわからないレバノン風シャワルマサンドと、サラタ・マシュウィーヤ(=焼きサラダ)とコーラで7.5TD(300円弱)

 

シャワルマ(ケバブ)サンド。お肉がたっぷり

 

ちなみに、レバノンのシャワルマサンドはこんなかんじ(ネットから拝借した写真)これはビーフだが、チキンももちろんある。

「lebanon shawarma sandwich」の画像検索結果

 

 

パンが焼きたてのようで柔らかく、いい匂いがした。サラタ・マシュウィーヤは、ナスやトマト、パプリカなどを焼いてペースト状にしたもので、ハリッサ入りなのか辛かったが、美味しかった。

 

満腹になって店を出たが、歩き出して間もなくトイレに行きたくなったので、通りがかりのレストランで借りる。小ぎれいなレストランだったが、トイレには鍵がかからなかったので、ドキドキしながら用を足した。そういえば、ナポリでもトイレの鍵がかからないところがあった。余談になるが、私は中東にハマる前にイタリア生活を経験しているので、大抵の事には驚かない。水回り関係の不具合にも、役所の手続きの不毛さにも、公共交通機関が予定通りに動かないことにも。ありがとう、イタリア~

 

なんかいわくありげなモザイク

 

バイオリンのオブジェ。タバルカは、毎年7月にジャズ・フェスティバルが開催されることで有名らしい。

 

 

観光スポットの「ジェノバ人の要塞」と「針岩」がある海岸は中心部から歩いてすぐだった。タバルカの街はコンパクトで観光しやすい。シーズンでないせいか、他の外国人観光客は見なかったが。

 

麦わら帽子タイプのパラソルを設置した海岸

 

ゴミだらけの海岸だが、子供は楽しそうに遊んでいた。

 

ヒジャーブで髪を覆った姿で海水浴を楽しむ女性たち

 

ジェノバ人の要塞。タバルカが16世紀半ばから約200年間ジェノバ人の一族の支配下にあった時代に建てられたらしい。行く時間も根性もなかったので、遠くから眺めたのみ。

 

名物の「針岩」。この周辺はデートスポットのようで、カップルを見かけた。若者のグループもいた。

 

こういう岩で出来ていた。

 

 

時間がないので、針岩の周辺を一回りしてから早めに街中に戻り、少し散策して5時頃にはバスステーションに戻った。

 

魚食堂があった。海辺だから新鮮な魚介類が食べられそう。

 

下の方におでんマーク(ちくわ抜き)があるドア

 

「パン屋」と書いてある壁。もう廃業していると思われる。

 

マネキンの人口密度の高い服屋さん

 

タバルカはなぜか猫が少なかった。

 

近寄ったら微妙な顔をされた・・・かわいい

 

帰りのルアージュに乗ったら、行きと同じ運転手さんだった。道中はほとんど寝て過ごしたが(他のお客も同様)、ふと目覚めた時、すごいスピードでビュンビュン飛ばしているのに気が付いた。後で知ったが、チュニジアでは交通事故が多いらしい。くわばら、くわばら・・・

 

チュニスに到着してた時は、もう夜だった。メトロでリパブリック駅に出て、またカルフールで猫エサを補充してからホテルに向かう。途中で見つけたサンドイッチ屋さんで夕食用にマルフーフ(ラップサンド)を購入。

 

このお店で買った。パンから手作りで、具はシシュタウック(スパイシーな下味をつけたチキンのぶつ切りの焼いたやつ)。

 

ホテルに帰る前に、冷たいビールが飲みたくなったので、ハナーホテルにまた寄って、大ジョッキを頼む。夜はホテルの前のオープンテラスにテーブルが出ていた。向かいの建物の前のイベントスペースではコンサートをやっていて、最後に観衆が参加してチュニジア国歌を斉唱していた。選挙運動関係のイベントらしかった。大統領選が近かったのだ。

 

長旅の後に戸外で飲む冷たいビールは、幸せの味がした。

 

(続く)

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2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(9)~チュニス5日目・バーブ・サアドゥーンとバルドー博物館編~

2020-02-02 14:07:38 | チュニジア

 

2020年もすでに2月に突入してしまった。なんてことだ・・・

今年の1月の中東情勢は年初からやたらに激しかった。カルロス・ゴーン氏の逃亡騒ぎ、ソレイマニ司令官暗殺とその後の展開、リビア情勢のさらなる緊張、シリア政府軍とロシア軍のイドリブへの攻撃激化、そしてトランプ大統領の「中東和平案」発表。コロナウイルスの騒ぎも相まって、なんだか心身ともに落ち着かなかった。まあ、ブログの更新が滞っていたのは、そのせいではないが(いつものことだし)。

 

でも完全に忘れてしまわないうちに、なんとか昨年9月の旅行記の続きを書き終えて、他のことを書きたい…

 

というわけで、今回は、チュニス滞在5日目の記録。この日は午前中にメトロのバーブ・サアドゥーン駅付近にある北方面行きのバス・ルアージュ(ミニ乗り合いバス)のターミナルを下見し、午後はバルドー博物館を訪れた。

 

頑張って早起きして8時半に朝食ルームへ。ここは朝食の時間帯が早くて厳しかった(たしか9時まで)

 

スチームミルクに粉末スティックのネスカフェを混ぜるタイプのセルフカプチーノ、なんちゃってバゲット(柔らかい)、カップケーキ

 

朝食後、メトロのリパブリック駅まで歩いた。

 

途中で携帯・PC周辺機器を扱うお店が集まったビルを見かけたので、そのうちの1軒に入ってSDカードリーダーを購入。20TD(約770円)だと言われたので、試しに値切ってみたら、あっさり15TD(約577円)に負けてくれた。もっと値切ればよかったかな・・・

 

メトロに乗って、バーブ・サアドゥーン駅で下車し、北方面行のバスやルアージュが集まるターミナルを目指して歩く。翌日にアルジェリア国境に近い地中海沿岸のタバルカに日帰りで行くつもりだったので、乗り場や所要時間等をチェックしておこうと思ったのだ。

 

でもその前に、駅の近くで見かけた市場らしきところに寄ることにした。

 

アラブ的な、ガラクタばかり売っている露店。こういうの買う人、いるんだろうか。いるんだろうな・・・

 

何気に由緒ありげなモスク

 

ヘルバという苦い飲み物を味見させてくれたおじちゃん。体にいいらしい。良薬口に苦し。

 

店番猫 私が近づくと警戒モードに

 

「じろじろ見んなよ」

 

「ちっ、どこかで寝なおすか」

 

こっちの子は逆におねだりモード。

 

道端でデーツがたわわに実っていた。

 

あちこちで道を聞いて、ようやく北方面ターミナルに到着。

 

タバルカ行きのルアージュ乗り場を確認。その辺にいたおっちゃんたちに聞くと、所要時間は片道3時間、運賃は往復25TD(約960円)とのこと。片道3時間か、遠いな・・・朝起きれるかどうか不安だ。

 

下見が済んだので、近くのカフェで冷たいジュースを飲んで休憩。この日は暑かったので、歩きまわると汗をかいた。

 

洋ナシのジュース。男性ばかりのカフェだったが、静かで涼しくて居心地が良かった。

 

 

お昼だったので、その近くの安食堂に入ってランチにした。冷房がなくて暑かったが、お店のおじ様がにこやかで感じが良く、料理も美味しかった。

 

キョフテジーとサラダとファンタ(写ってないけど)で4.4TD(約170円)。サラダはフレンチフライで覆いつくされている。

 

キョフテジーは、羊のレバーとジャガイモ・トマト・ピーマン・かぼちゃなどを卵と一緒にオリーブオイルで炒め煮したチュニジア料理らしい。レシピによって材料にバリエーションはあるが。なんにでもフレンチフライとバゲットがついて来るのは、元宗主国フランスの影響か。

 

食後、またメトロに乗ってバルドー博物館へ。メトロのチケット売り場の場所を尋ねた紳士は、案内してくれた上に切符を買ってくれた。親切な人が多いな、チュニジア。

 

メトロの車両は、車いすの人が降りる時にスロープになる補助板が出るようになっていた。

 

イタリアのサーカス「ORFEI(オルフェイ)」のポスター。チュニジアはイタリアの下に位置し、フェリーで行き来できるくらい近いのだ。

 

さて、いよいよバルドー博物館へ。ル・バルドー駅から近くて行きやすい。

 

建物付近の物売りのおっちゃんから、銀メッキのお守り(ハムサ)のペンダントを購入。2TD(約77円)だったが、おっちゃんは「本物の銀だよ!」と言いはった。

 

入り口付近に、2015年3月のテロの犠牲者の慰霊碑があった。イタリア人の犠牲者の名前の下に日本人の名前が続いている。

 

展示スペースに学芸員の姿はなく、監視カメラもどこにあるのかよくわからなかった。テロ以前に、盗難対策は大丈夫なのか。

 

 

「あ、きゅうり買うの忘れた~」という風情の河童風の像

 

さくさくっと見て回って、併設のカフェに休憩しに行ったら、そこは猫カフェだった。

 

お店の男性が毎日餌付けしているそうだ。ミケの母猫と子猫数匹、そしてまだ遊び盛りの白ソックスの黒猫がいた。

 

 

子猫を呼び集めて授乳する母猫

 

エサをくれる人(私)がいる気配を敏感に察知し、子猫を振り落としてこちらへ来る。

 

落ち着き給え。

 

お店の人に声をかけた上で、栄養を付けてもらうためにパウチを提供。

 

ミントティーを飲みつつ猫を堪能してから、博物館を離れてまたメトロに乗る。

 

駅の近くの風情のあるマクハー(喫茶店)

 

リパブリック駅で降りて、またカルフールへ。

 

カルフールの前に停まっていた車。

 

買い物を済ませ、またハナーホテルでベックスビールを飲んだ。暑い日はビールが美味しいねえ~ 夕食はこの日も焼いたチキンをテイクアウトしてホテルで食べた。前日とは違う店で買ったが、やはりローズマリーの風味が利いていて、とても美味しかった。

 

(続く)

コメント (2)
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