日本はチーズが高い。
イタリアに住んでいた頃は、
グラナパダーノ(パルミジャーノ・レッジャーノと同タイプだけどやや安め)や、
モッツァレッラやゴルゴンゾーラ(青カビチーズ)を日常的に食べていたのに、
ここではなかなかそういうわけにはいかない。
大きいスーパーや輸入食品店で簡単に手に入っちゃうけど、
ほんのぽっちりしか入ってないくせに、ものすごく強気なお値段だ。
イタリアチーズをがつがつ食べたいなあ、でも高い・・・
そんなある日、
駅前のスーパーで比較的安価なゴルゴンゾーラを見つけたので、
思い切って買ってみた。
150gで500円強。
普通50~60gで500円近くするから、お買い得だと思ったのだ。
その後はどこにも寄り道をせず、まっすぐ帰宅した。
まず赤ワインをグラスに注いでから(1本500円の安ワインと100均のグラス)、
いそいそとチーズのパックを開ける。
おや?
心なしか、青色が薄いような気が・・・
ゴルゴンゾーラって、こんなんだっけ?
久しぶりだから、よく覚えてないな
多少違和感を覚えつつも、
フォークを突き刺して、一口食べてみる。
うむ、なんだか奇妙な味だ。
ゴルゴンゾーラ特有の個性の強い味ではなく、
ちょっと苦いような、ぼやけたような口当たり。
あの独特の臭みもない。
疑念に駆られて、チーズの表面を見据えたら、
要所要所に広がっている、もわもわした白いものが目に入った。
私はかつてこれを見たことがある。
いやいや、単なるデジャヴではない。
そう、これは…
白カビでした。
青カビチーズなのに白カビが生えているなんて、不思議ね!
と言いたいところだが、
私には経験がある。
イタリアに住んでた頃、ゴルゴンゾーラのパックを開けて、
食べ残しを1週間以上冷蔵庫に放置した後、
久しぶりに取り出してみたら、見事に白カビが生えていたのだ。
その時、もしかしたら白カビが生えた青カビチーズって美味しいのかも?と思い、
これを実証すべく食べてみたのだが、危険な味がしたので結局捨てたのだった。
青カビチーズだろうが、納豆だろうが同じことで、
カビを利用して作られた食品であろうとも、
長期間放っておくと、腐敗して別途カビが生え、生ゴミと化すのだ。
でも、買ったばかりの青カビチーズに白カビが生えているなんて、
全然納得がいかないわ。
しかも賞味期限内だというのに。
お買い得だと思ったけど、
安物買いの銭失いとはこのことか。
買ったスーパー(午前1時まで営業)に持って行って、
苦情を言おうかとも思ったが、
お店の人にどう説明すればいいか、考えるだけで疲れてしまい、
結局あきらめた。
み「あの、このお店でさっき買ったこのチーズ、カビが生えてたんですけど・・・」
店「失礼ですがお客様、このチーズはカビが生えているタイプのものですから、問題はないはずですが・・・」
み「でもゴルゴンゾーラは青カビチーズでしょう~。
青カビはいいんです。
でもその上に生えてる、このもわもわした不吉な白カビがやばいんです」
店「はっ・・・少々お待ちくださいませ」
(ここで店長が登場)
店「当店でお買い上げいただいたチーズに問題があったと伺いましたが、
いったいどのような・・・」
み「だから、青カビチーズに白カビが生えてたんです。
賞味期限内だというのに。
やっと奮発して買って、赤ワインもグラスに注いでたのに~」
店「はあ・・・(視線を宙に泳がせたまま、黙りこんでしまう)」
もういいの。
もう日本でゴルゴンゾーラを食べるのは諦めて、
素直に納豆を食べます。
匂いや風味がけっこう似てると思うんだよね・・・
これがそのゴルゴンゾーラ。ゴミ箱行きになりました~
チーズ自体には罪がないのに、気の毒なことであった・・・