イスタンブール最終日の午後、ホテルで昼寝した後は、徒歩でシルケジ方面に出て、海岸沿いの岩場でまた猫探しをした。イタリアは猫不毛地帯なので、移動前に堪能しておく必要があったのだ。
前回同じ地域を暑い昼間の時間帯に回った時は、ほんの数匹にしか見当たらなくて、「不吉な・・・イスタンブール、猫が減ったのか?!」と心配になったが、今回はさほど歩き回っていないのに10匹程に会うことができた。しかも、なぜか子猫ばかり。フェアウェルサービスか。
向こう岸は新市街。ビルがみっちり立ち並んでいる。津波が来たらどうするんだろう。
「海とおじさん」(ヘミングウェイ)
沿岸地帯も当然、ガラタ橋と同様釣りスポットだ。街中に海があると、毎日気軽に釣りを楽しめて良さそうだ。フェリーでカモメの餌付けもできるし、漫然と海を眺めるだけでもストレス解消になるし、羨ましい。うちの近所にも誰か海を作ってくれないかな~コロニャの時代にぴったりの気晴らしスポットになると思うのだが。
クラシックな型の陶器のチャイダンルック(2階建てのヤカン)、かわいい。沿岸の岩場は焚火スポットでもある。
なぜかカラスが集まっていた。釣り人のおこぼれを狙っているのか。
1人で海を眺める女性には番猫が寄り添っていた。
「お姉さんのオシリはオレが守る!」
まもなく、子猫多発地帯に到着した。
「何かくれるの?」
微妙な態勢でにらんでくる子と、あさっての方向を見ている黒タイツのみけちゃん
ボケてしまったが、大きい野ネズミもいた。猫のたんぱく源?
これもボケたが、泳いでいる人もいた。向こう岸は結構遠いのに大丈夫なのか。
泳ぐ人を見守る猫たち(うそ)
イスタンブールとお別れする前に海とおじさんと子猫が堪能出来てすっかり満足し、適当に切り上げてフェリーでアジア側に出た。向こう側に着いた頃にはすっかり日が暮れて、辺りは真っ暗になっていたが、人通りもあるし、猫がいるから大丈夫だろう(?)ということで、岩場に座って持参したビールを飲んだ。海を眺めながら飲むため、出がけにいつもの酒屋の若旦那からあらかじめ買っておいたものだ。我ながら用意周到だ。歩き回っているうちにぬるくなったが、まあいいさ。
私が「明日出発するんですよ。インシャッラ、また会いましょう」と別れの挨拶をすると、若旦那は、「ああ、もう出発か。じゃあ、また来年だね。来年会いましょう」とにこやかに答えた。あの時私は、「来年またここに来れるだろうか?」と自問しつつ店を出たのだが、今年はコロニャの関係で、いかにも無理そうだ。トルコは既に観光客の受け入れを始めているが、1日辺りの新規感染者は未だに千人近いし、無事に帰国できても、入国後の隔離措置等が大変そう。ああ、コロニャったら・・・
寄ってきた猫たちに手持ちのエサを全て配り終え、妙な達成感を抱きながらフェリーでエミノニュに戻った。
帰りのフェリーは生演奏付き。上手だったので、チップをあげた。
エミノニュからトラムでバヤズット駅に出て、駅付近の脇道の酒屋で夕食用のビールを買い、魚食堂で焼き魚をテイクアウトしてホテルでアルジャジーラを見ながら食べた(当然一部は途中で猫におすそわけした)。魚の名前は失念したが、大きい切り身で脂がのっていて、香ばしく焼けていた。スライスオニオンとレモンとパン付き。
食べ物の写真は撮り損ねても、酒の写真は忘れない。それが酒飲み。
これは「アムステルダム・ナビゲーター」。オランダのグロールシュ社(アサヒグループ傘下)の製品を、トルコのエフェスビールがライセンス生産したものらしい。アルコール度が8%と高めなので、缶の色が邪悪な黒となっている(かどうかは不明)。ビールはやっぱり5%くらいの方が美味しい気がする。
翌日は朝8時起きでイタリアに移動だ。がんばらなきゃ・・・
(終わり)