ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

鎖(くさり)

2018-12-19 15:58:39 | 日記
かれこれ1か月近く、高齢者住宅に入った義母に会いに行っていない。

それまでは、夫と一緒に一週間に1~2度は行っていたのだけど、私は今後しばらく会いに行くのを止めることを夫に告げた。

理由は、義母が物が無くなるのは私のせいだと思っているからで、そう思っているのに会うことは、義母と私の双方にとってよろしくないことだと思ったから。

義母は物が無くなることを腹立たしく思っているのかどうかは知らないが、私に関して言えば、疑われていると分かっただけで腹が立った。

なぜ、こんなに腹が立つのだろうかと冷静になって考えてみると、盗っていないものを盗ったと思われることに対しても当然あるのだが、それ以上の理由が自分の中にあることに気づいた。

それは、義母が好きだったから・・・

前にも書いたかもしれないが、私は根底では義母を嫌っていなかった。

一緒に生活していた時も、別々に暮らしていた時も、些細な出来事で「まったくもぉー!プンプン」と思うことは多々あったが、それで心底「嫌いだ」と思ったことはない。

むしろ出来ることなら、本当の母娘のように仲良くなりたいと思っていた。
夫と結婚してから、ずっとそう思っていた。

しかし、それは私の片想いで、義母には息子の嫁さん以上の存在には思えなかったのだと思う。

いや、むしろ可愛い息子を盗った恋敵くらいに思ったのかもしれない。

もう60に手が届く夫のことを「小さい頃は、本当に可愛くて可愛くて」と言う話をたびたび聞かされていた。
(夫は、その話が始まるとあからさまに嫌な顔をして話を中断させたが・・・)

女の子が二人続いた後の待望の男の子、よほど息子が可愛かったのだろうと思う。

また二人の娘がいて、私を実の娘のように思わなくても、それで十分だっただろう。

「自分の子じゃないしね」と他の人に話すのを聞いて、腹立たしい以上に悲しくなった憶えがあるが、それはきっと義母の中で今でもあると思う。

「それならそれでいいわ。こちらもよそのおばさんだと思っているから」と心の中で思ったものだったが、心の底から他人だとは思えなかったのだと今更のように思っている。

好きだから尚更、自分の思うような態度が返ってこないのが腹立たしいのだ。

別になんとも思っていない人なら、こんなに腹立たしくはならない。
「ボケが進んだわねー」で終わる。

しかし、会わなくなって、こうして自分の心の中を冷静に見ることができるようになってきた今、義母に対する執着心が消えて来たと思う。

思い出すこともあまりないのだが、たまに思い出しても腹も立たず、ただそういう事があったと思うだけで何も感じない。

それは、私の世界から義母が徐々に消えて来たから。

会わない時間が義母の存在を消し始めている。

もちろん嫁として、義母の介護のお手伝いはする。

今は夫が一人で会いに行っているが、行くたびに色々な問題が起きていることに遭遇している。

例えば、物が無い、誰かが部屋に入って盗んで行くというのは、今も変わらないようだが、話を聞く限りすべてがすべて義母が自分でどこかへ隠したとは言い切れないような気もする。

だから、持ち物に名前を書くように夫に伝えた。

下着類にもタオルにも、ハンドクリームにも、バックにも、とにかく無くなるという物には全部名前を書く。

これは父の入所していた施設では当たり前にやっていたことだが、義母の施設では特に言われていない。
しかし、これは必須だと思う。

あとは、些細な事でも気になることはケアマネージャーさんや職員さんに伝えることだ。
情報を共有しておくことは大切だと、父の時の経験から思う。

夫は仕事もあるので、そのような細かいことまでやらせるのは忍びなく、思わず「私がやろうか?」と言いそうになるが、その言葉は飲み込む。

あくまでも私は裏方に徹することにした。

それにしても義母と会わなくなってから、非常に心が軽くなった。

太くて重たく鎖のような執着が、ひとつ外れたかなと感じている。







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