知人が久しぶりに訪ねてきてくれて、夫も一緒に3人で話している時に窓の外の景色を見た知人が「そういえばリスは来ていますか?」と言った。
以前、知人が来た時に庭にいたエゾリスを見たことがあって、ふとリスのことを思い出されたようだ。
「今年の冬は、まだ一度も見ていないですね」と私が言うと、「そういえば、この前カラスが小動物をくわえて飛んで行くのを見たなあ」と夫が言った。
その言葉を聞いた瞬間、知人と私は同時に「えーっ!」と声をあげてしまった。
脳裏にはカラスに連れ去られるエゾリスの姿が浮かび、それはたぶん知人も同じだったと思う。
すると夫が「いや、あれはリスじゃなくてねずみだったかもしれない」と言い(まぎらわしい・・)、それを聞いた知人が「あ~よかった。リスじゃなくて」とほっとしたようにおっしゃった。
そして、そのあとに続けて「連れ去られたのがエゾリスじゃなくてねずみでよかったっていうのも、人種差別・・・じゃなくて動物差別ですね。でもカラスも生きるのに必死なのでしょうね、今は餌がないですから」とおっしゃった。
たしかにこれから春までは餌が少なくなる。
秋に小鳥たちが食べていた木の実はもう見当らない。
地面に落ちたどんぐりも雪の下になった。
これから野生動物たちにとっては、厳しい季節がやってくる。生きる為にカラスも必死でエサを探しているのだろう。
ところで何年か前まで秋になると必ずのように森へ入って、赤い実のついたツルウメモドキを採ってきた。
何にするのかと言うとリースを作った。
ツルウメモドキの柔らかい枝は力を入れなくても簡単に形が作れて、赤と黄色の実が可愛らしく部屋に飾るのにはもってこいなのだが、ある時窓から外を眺めていたら、小鳥がツルウメモドキの実を食べているのが見えた。
真冬でエサが少ない時、ツルウメモドキも鳥たちの貴重な食糧になっていると知ってから、もうツルウメモドキを採りに行かなくなった。
ツルウメモドキを飾らなくても生きていけるが、小鳥たちにとっては大切な食糧。それをとってしまうのは申し訳ない。
ところで四国へ旅行した時、飛んでいる野鳥を見て同じツアーの方が「北海道に住んでいる鳥より、ここの鳥の方が幸せね」とおっしゃった。
それを聞いて「確かにそうだね」と思ったのだが。
冬でも暖かく、真冬でも多分それなりに食糧もある四国の方が、北海道の野鳥よりも幸せだろうと思うのは人間だからかもしれない。
マイナス6°の寒さの中、ヒヨドリやカラス、小鳥たちは今日も元気に飛び回っている。
どうか無事に春を迎えられますように。