植物が好きなのは子どもの頃からで、小学生だった頃、母にねだってアマリリスの球根を買ってもらったことがあった。
鉢に植えた球根は大切に育てた。
水やりはもちろん気温が下がる日は寒さよけのビニール袋をかぶせたりして、成長していくアマリリスを見るのが楽しかった。
ついに朱色の大きな花が咲いた時の嬉しさはひとしおで、古いアルバムには満面の笑みでアマリリスを持つ私の写真が残っている。
ところが中学高校と成長するにつれて植物に対する興味を徐々に失っていった。
自分のことだけで精いっぱい、植物のことまで頭が回らなくなっていたからなのだが、それが結婚して仕事を辞めるとまた植物に目が行くようになった。
動物にでも植物にでも、自分以外のものに愛情を注げるというのは幸せな事だと思う。それは多少なりとも心にゆとりができたからで、動植物に手をかけられるというのは、ある意味とても贅沢なことなのかもしれない。
以来、買ったりもらったりした植物がどんどん増えて家の中がジャングルのようになってしまい「もうこれ以上増やさないでくれ」と夫に言われていた。
ところが最近妹から「元気のない胡蝶蘭があるんだけどいる?」と電話があり、「いるいる」と二つ返事でもらってきてしまった。
妹の家にあった二つの胡蝶蘭は、すでに花が終っているもので両方とも葉っぱがしわしわで元気がない。生きているので捨てるには忍びなかったようだ。
「もうだめかもしれないけど」と妹に言われたが、胡蝶蘭のことを調べて世話をしたらなんとか元気になった。
とはいえ、胡蝶蘭を育てるのは初めてなのでまだ状態が安定しない。
水やりを控えすぎるとすぐに葉っぱがしわしわになるし、水をあげすぎると根腐れを起こす・・・試行錯誤しながら毎日見守っているが、これが実は私の癒しにもなっている。
ところで用事で苫小牧へ行った時、植物園があると聞いて行ってきた。
苫小牧市で管理している苫小牧市サンガーデン。
それほど広くはないが、北海道ではめずらしい植物を見ることができる。
室内は暖かく植物を見ながらのんびり歩いたり、併設されているカフェや図書館で過ごしたりと、寒い時期にはぴったりの場所だと思う。
初めて訪れたサンガーデンで、ちょっと懐かしい植物たちを見つけた。
ミカンの木と孟宗竹。思い出すわ~四国(遠い目・・・)
ミカンの木がめずらしいことは前にも書いたが、孟宗竹もまためずらしい。
もしや孟宗竹の竹林を見るとテンションが上がる道民は多いのではないかと思う。まるで時代劇のセットみたい~、日本的な風景だわ~と。
ちなみに道内で「タケノコを採りに行く」というのは千島笹のことをいう。
ミカンの木と孟宗竹、また名前は知っていたが初めて見たサザンカの花も目を楽しませてくれた。
美しい花を見て心が和むように、ずっと昔から私たちの心を慰め続けてくれる植物。弱った胡蝶蘭でも癒しを与えてくれる。
植物は暮らしに彩りを与え、まるでそっと心に寄り添ってくれるようだ。
貰った胡蝶蘭の様子を毎日見ながら、再び花を咲かせてくれたらいいなぁと思っている。