箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

介護への理解

2019年06月02日 08時28分00秒 | 教育・子育てあれこれ
 
 
 
私は通算で6年間校長を務めましたが、最後の3年間は母の介護をしながらでした。
 
とくに平成29年は、校務と介護を両立させるのに、けっこうたいへんでした。
 
教頭先生の理解とサポートがなければ、少しの時間でも学校を抜けることができなかったであろうと、いまふりかえります。
 
さて、2015年のわが国の年齢構成でいちばん多かったのが、35歳〜44歳の人たちでした。
 
ちょうど中学生の保護者世代が重なる年齢層です。
 
2025年には、この人たちは45歳〜54歳になります。
 
サラリーマンでいえば、役職が上がり、責任が大きくなります。
 
ところが、私生活では親御さんの介護が必要になってくる時期でもあります。
 
このとき、30代の人びとは、一般的に仕事と子育てに悩む時期ですが、当該の45歳〜54歳な人たちは、仕事と介護の両立が課題になるでしょう。
 
私の場合は、母親(実母)を病院へ連れていったりしながら、若かった頃の母との日々を思い出していました。
 
親が歳とっていくのに寄り添うのは、精神的に辛いものがあります。
 
 
その経験から思いますが、2025年に親の介護にあたる人たちにとって、高齢化していく親の世話は精神的にこたえますし、あとになるほどその重みがましてきます。
 
また加えて、いま中学生のお子さんをおもちでしたら、その子たちは2025年ごろには、まだ大学生であり教育費にプラスして介護費用がかかり、経済的な問題が出てくることも予想されます。
 
管理職世代が介護を担うことで、職場にも影響が出る可能性があります。
 
深刻な場合は、いわゆる「介護離職」の問題となります。
 
 
 
このとき、問われるのが会社や職場の理解とサポート体制です。
 
いま、少しずつですが、子育てを支援する体制や制度が企業の中で整ってきています。
 
今後は介護を支援する組織が求められます。
 
これからの職場は、仕事と構成員のプライベートの両立をサポートする組織になれるかどうかが、労働者人口の維持をきめると言えるでしょう。
 

子どもが好きだから・・・

2019年06月01日 08時07分00秒 | 教育・子育てあれこれ
 
 
 
 
 
時間外勤務の長さなど、多忙な学校の教員の現状が、メディアで報道されました。
 
あまりにもその多忙さがクローズアップされ、最近は、大学生が教職につきたがらないとも聞きます。
とはいえ、今の時期、教育実習を受けて、学校現場で奮闘している大学4年生が、結構います。
 
真っ直ぐな態度で、子どもに接する実習生に会うと、応援したくなります。
 
よく、「なぜ教員になりたいの?」と問います。
 
「子どもが好きだからです」と答える人がいますが、私はその答えは答えになっていないことを指摘します。
 
子どもが好きなのは、教師なら当然です。教師が子どもを好きなのは必要条件であって、十分条件ではない。
 
子どもの課題は多様であり、ときには子どもとの人間関係につまずいたり、うまくいかないこともある。
 
思い描く理想とかけはなれた学校の状況に直面して、「こんなはずではなかった」という気持ちになることもある。
 
ときには、子どもと向き合うのがしんどいときもある。
 
責任に押しつぶされそうになることとある。
 
それでも、子どもが伸びる可能性を信じて、弱音をはくことがあっても、教職にいそしむことができる。
 
関わり続けた生徒が、卒業前になり、「先生、3年間ありがとうございました」と言ってくれたとき、報われた気持ちになり、「卒業おめでとう」と返すのです。
 
これらすべての面を通して、子どもが好きだと言えるなら、教職をめざしなさい。
 
厳しい言葉かもしれませんが、こんなふうに話します。
 
 
 
また、教職経験は重ねても、毎日、素直な気持ちで子どもに接する人であってほしい。
 
松下幸之助の言葉を借りれば、
 
「朝に発意、昼に実行、夕べ反省」です。
 
毎日、自分が行なった教育活動は、素直な気持ちでやっていたかをふりかえり、翌朝また素直な気持ちで子どもと応対しようとする。
 
その営みを続ける教師たれと、自戒を踏まえて、現役の教師やこれから教職を目指す人に期待します。