2016.08/01 (Mon)
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)8月1日(月曜日)
通算第4975号 <臨時増刊>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
レーニンの連立政府戦術の敗退
毛沢東もボルシェビキに学び、天下を取ったが。。。。。
****************************************
都知事選挙の結果は日本人特有の判官贔屓が鮮明にでたためである。
無党派の勝利などと単純明快な説明は耳に凧(胼胝)。それより鳥越惨敗の背景を政治的にさぐる必要がある。
改憲阻止、野党結集を呼びかけて、野党四党が結束したにもかかわらず敗退してしまった。公約なし、出遅れ、週刊誌などと敗因が語られているが、肝心のことを忘れていないか。
すなわちレーニン以来の左翼戦術が敗退したことである。
共産党の鉄壁の組織票さえ、二割前後が小池候補に流れたというのは、組織的締め付けが弛緩し、革命組織の規律が破裂している事実を示唆してあまりある。
レーニンは少数派ボルシェビキを率いて、「野党共闘」により革命を成功に導く。メンシェビキ(多数派)の壁を破り、かれらが実権を握るには、議会を長引かせ、徹夜も厭わず、議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を握る。これがレーニンの組織論であり、のちに毛沢東が援用する。
日本でも左翼暴力団といわれた全学連が自治会選挙で、よく使った手段である。
自治会の一割にも満たなくても「組織された」党員が、多数派と連立を組んだかに見せ、議会を出席議員数でクリアし、多数派が退場したところで、居残った「組織された」メンバーが投票を行い、トンデモナイ議案も突如成立する。
その決議は合法となる。
鉄の組織は、日本では弱体化した。野党四党の連立パターンは化けの皮が剥がれ、ついに左翼退潮の明確な兆しをしめしたのではないのか。
レーニンの戦術は死に絶えつつあり、トルコのクーデタ失敗や米国のトランプ現象のように、新しい武器はツィッター。このハッカー戦争を主導できる者が、これからの政治の中枢に躍り出てくるだろう。
第四位の上杉、五位に食い込んだ桜井各候補も、組織票の宗教団体を超える得票を示している。何かが壊れ、従来になかった政治手法が、これから本格的に登場する契機となったのが、こんかいの都知事選挙だったように思える。
(転載了)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈少数派ボルシェビキを率いて~メンシェビキ(多数派)の壁を破る〉方法とは。
「議会を長引かせ、徹夜も厭わず、議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を握る」。
これがレーニンの組織論であり、のちに毛沢東が援用する。
・・・・徹夜も厭わず議論を続ける。議論が終結しないように、焦点をぼかしたり、論点をすり替えたり、話を逸らしたり、とにかく議論をしている風を装いながら、ああでもないこうでもないと小田原評定を続ける。
そうしておいて、相手が疲れてしまって、いい加減うんざりしてきて
「これでは埒が明かんな、ちょっと休憩だ、頭を冷やして出直そう」
と席を外した時を見計らって、少数の仲間で採決を成立させる。
そして言う。
「民主主義だ。出席者の過半数の賛成があったから、決定したのだ。勝手に中座していた君たちは職場を放棄していたのだ。職権を放棄していた責任を取って、辞職しろ」
きたないやり方ですね。とても卑怯だ。
でも、「革命」という大目的達成のためには何だってやる。ウソだって平気で吐くし、野合なんかお手の物。革命のためなら、天皇に頭も下げるし、国歌斉唱時、起立だってする。「民主主義を否定するわけではない」、って。
そうやって議席を取れば今度は
〈議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を~〉。
それが彼らのやり方。「それなのに。ああ、それなのに・・・」というのが今回の都知事選挙だった、と。
これで、小池氏に流れた共産党票は処分対象にならず、敗北の責任は共産党はとらない。宇都宮氏の立場はどうなる。共産党に梯子を外されたわけでしょ?
随分だな。こんな党を支持するんだ、都民は。
でも。↓
《日本でも左翼暴力団といわれた全学連が自治会選挙で、よく使った手段である。
自治会の一割にも満たなくても「組織された」党員が、多数派と連立を組んだかに見せ、議会を出席議員数でクリアし、多数派が退場したところで、居残った「組織された」メンバーが投票を行い、トンデモナイ議案も突如成立する。その決議は合法となる。》
「明日は会議は開かれない」
と言っといて、議員がみんな地元に帰って、もう来ないと確認してから開会の招集をする。
議論は既に終わっているから、と、話し合いはなく、いきなり、
「採否をはかります」。
五分ほどで
「出席者の多数の賛成により、本案は可決されました」
と閉会。
慌てて各地から議員が戻ってきたときは、既に閉会となっており、騙し討ちで法案決定。
こんなこと、ありませんでしたか?
レーニンがやり、毛沢東が真似た、社会主義者のやり方。「目的のためには手段を択ばない」。
それを先日の参院選からやってたわけですね。今回の都知事選も。
でも、彼らは敗れた。
そして
「新しい武器はツィッター。このハッカー戦争を主導できる者が、これからの政治の中枢に躍り出てくるだろう。」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)8月1日(月曜日)
通算第4975号 <臨時増刊>
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レーニンの連立政府戦術の敗退
毛沢東もボルシェビキに学び、天下を取ったが。。。。。
****************************************
都知事選挙の結果は日本人特有の判官贔屓が鮮明にでたためである。
無党派の勝利などと単純明快な説明は耳に凧(胼胝)。それより鳥越惨敗の背景を政治的にさぐる必要がある。
改憲阻止、野党結集を呼びかけて、野党四党が結束したにもかかわらず敗退してしまった。公約なし、出遅れ、週刊誌などと敗因が語られているが、肝心のことを忘れていないか。
すなわちレーニン以来の左翼戦術が敗退したことである。
共産党の鉄壁の組織票さえ、二割前後が小池候補に流れたというのは、組織的締め付けが弛緩し、革命組織の規律が破裂している事実を示唆してあまりある。
レーニンは少数派ボルシェビキを率いて、「野党共闘」により革命を成功に導く。メンシェビキ(多数派)の壁を破り、かれらが実権を握るには、議会を長引かせ、徹夜も厭わず、議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を握る。これがレーニンの組織論であり、のちに毛沢東が援用する。
日本でも左翼暴力団といわれた全学連が自治会選挙で、よく使った手段である。
自治会の一割にも満たなくても「組織された」党員が、多数派と連立を組んだかに見せ、議会を出席議員数でクリアし、多数派が退場したところで、居残った「組織された」メンバーが投票を行い、トンデモナイ議案も突如成立する。
その決議は合法となる。
鉄の組織は、日本では弱体化した。野党四党の連立パターンは化けの皮が剥がれ、ついに左翼退潮の明確な兆しをしめしたのではないのか。
レーニンの戦術は死に絶えつつあり、トルコのクーデタ失敗や米国のトランプ現象のように、新しい武器はツィッター。このハッカー戦争を主導できる者が、これからの政治の中枢に躍り出てくるだろう。
第四位の上杉、五位に食い込んだ桜井各候補も、組織票の宗教団体を超える得票を示している。何かが壊れ、従来になかった政治手法が、これから本格的に登場する契機となったのが、こんかいの都知事選挙だったように思える。
(転載了)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈少数派ボルシェビキを率いて~メンシェビキ(多数派)の壁を破る〉方法とは。
「議会を長引かせ、徹夜も厭わず、議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を握る」。
これがレーニンの組織論であり、のちに毛沢東が援用する。
・・・・徹夜も厭わず議論を続ける。議論が終結しないように、焦点をぼかしたり、論点をすり替えたり、話を逸らしたり、とにかく議論をしている風を装いながら、ああでもないこうでもないと小田原評定を続ける。
そうしておいて、相手が疲れてしまって、いい加減うんざりしてきて
「これでは埒が明かんな、ちょっと休憩だ、頭を冷やして出直そう」
と席を外した時を見計らって、少数の仲間で採決を成立させる。
そして言う。
「民主主義だ。出席者の過半数の賛成があったから、決定したのだ。勝手に中座していた君たちは職場を放棄していたのだ。職権を放棄していた責任を取って、辞職しろ」
きたないやり方ですね。とても卑怯だ。
でも、「革命」という大目的達成のためには何だってやる。ウソだって平気で吐くし、野合なんかお手の物。革命のためなら、天皇に頭も下げるし、国歌斉唱時、起立だってする。「民主主義を否定するわけではない」、って。
そうやって議席を取れば今度は
〈議論に疲れた多数派が退場したと見るや、採決を強行し、主導権を~〉。
それが彼らのやり方。「それなのに。ああ、それなのに・・・」というのが今回の都知事選挙だった、と。
これで、小池氏に流れた共産党票は処分対象にならず、敗北の責任は共産党はとらない。宇都宮氏の立場はどうなる。共産党に梯子を外されたわけでしょ?
随分だな。こんな党を支持するんだ、都民は。
でも。↓
《日本でも左翼暴力団といわれた全学連が自治会選挙で、よく使った手段である。
自治会の一割にも満たなくても「組織された」党員が、多数派と連立を組んだかに見せ、議会を出席議員数でクリアし、多数派が退場したところで、居残った「組織された」メンバーが投票を行い、トンデモナイ議案も突如成立する。その決議は合法となる。》
「明日は会議は開かれない」
と言っといて、議員がみんな地元に帰って、もう来ないと確認してから開会の招集をする。
議論は既に終わっているから、と、話し合いはなく、いきなり、
「採否をはかります」。
五分ほどで
「出席者の多数の賛成により、本案は可決されました」
と閉会。
慌てて各地から議員が戻ってきたときは、既に閉会となっており、騙し討ちで法案決定。
こんなこと、ありませんでしたか?
レーニンがやり、毛沢東が真似た、社会主義者のやり方。「目的のためには手段を択ばない」。
それを先日の参院選からやってたわけですね。今回の都知事選も。
でも、彼らは敗れた。
そして
「新しい武器はツィッター。このハッカー戦争を主導できる者が、これからの政治の中枢に躍り出てくるだろう。」