ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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ギンギラ★落語ボーイ~三遊亭白鳥

2013-01-12 10:56:30 | 本の少し
ギンギラ★落語ボーイ
クリエーター情報なし
論創社



三遊亭白鳥が描く、落語長編小説。

主人公の若手二つ目、銀月ピョン太が、仕事がなくて、落語がウケず
落語とは日々悩み、仲間への妬み辛み、そして超貧乏の生活。

そこには、白鳥さんが日々落語に対する想いが、他の登場人物の言葉によって語られる。

席亭の娘には、「その落語は、誰のためにやるのよ」、「自分が満足するためにやってるんっでしょう。だからオナニーって言ったのよ」・・・・と。

仲間の落語家には、「兄さん、それだったら落研ですよ」、「お客さんがお金を払った分、満足させなきゃいけないんじゃないですか」・・・と。

憩いの家の老人には、「世間で名人と言われている人は、みんな寄席で客を笑わせてます。上手い落語が聞きたいだけなら、昔のもっと上手い落語家のテープでも聞けばいい。客は笑いに来ているのです。おまけに感動や涙がある。まずは客を満足させること。それが先決です」・・・と。

協会に入っていない落語家には、「うちの師匠が言ってる。落語は聖人君主にゃできねえんだ。[水清ければ魚棲まず]だ。落語に出てくるのは金に汚くて女にもてない情けない欲望の塊ばかり。そんな汚いところがありながら人を助けたり、命を投げ打ってまで愛を貫こうとする。影があるから光もある。すべてを飲みこんだ落語は、だから時代を通じて心に届くんだってな」・・・と。

そして、舞台俳優だった老人には、「おまえの一番厄介なプライドっていうものは、俺はプロだと言うやつよ」「プロにも色々あるんだよ。世間が認めているプロと、自分だけ認めているプロとな。プロは絶対素人に負けちゃいけねえ。高い金を払って大勢の客が来るからプロなんだ」
「本寸法ってなんだ。誰が言ったか知らねえが、名人、先輩、師匠の言葉。それは逃げているだけなんだよ。なんで自分の言葉で語らねえ」・・・・と。

今の白鳥さんの落語に至るまでの、心の葛藤があからさまに語られる。

最後は、二つ目のコンテストで最終決戦まで残り、そこでの演目が「トキそば」。
実際、白鳥さんの落語であるのかは知らないけれど・・・結果は入賞せず・・
でも、帰りすがらの客に、口々に一番おもしろかったと言われる「トキそば」。

いつのまにか、主人公のピョン太が体格の良い白鳥さんにだぶっていましたな・・。

白鳥伝のような「ギンギラ★落語ボーイ」の一席でおます。



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