ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

六本指のゴルトベルク~青柳いずみこ

2013-01-31 05:50:32 | 本の少し
六本指のゴルトベルク (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論新社

☆☆


先ほど読んだ、「モノ書きピアニストはお尻が痛い」斗前後したが、
講談社エッセイ賞、受賞作品ということで買った本。

全編、音楽と音楽家が登場する小説を紹介しながら、
そこには、音楽への想い、今の日本の音楽事情など、音楽家ならではの立場で語る。

例えば、日本の音楽家の実情は、

「明治の洋楽導入以来、西洋に追いつけ追い越せと努力を重ねてきたピアノ界は、
すぐれた教育システムと生来の勤勉さから有能な人材を多数育成したが、
その人材を育成したが、その人材を活かすことができる受け皿を同じような熱心さで
開発することを怠ったために、超人的な努力の多くが宙に浮き、社会に還元されないまま
打ち捨てられている」・・・・・と、有名音大を出て、海外留学して、国際コンクールに入賞し、
一流オーケストラと共演してさえ食べていけないというのが、日本のピアニストの実情と、
怒りとも、諦めとも聴こえる悲痛なる叫びがある・・・。

また、ヴァイオリニストでは、

ピアノは図体が大きいため、会場に備え付けられれた楽器を弾くのが普通だが、
ヴァイオリンは自分で自分の楽器を持ち歩く。声楽家は、自分の声が楽器だから
ヴォイス・トレーニングに精を出し、技術を磨く。ヴァイオリンはボーイングや
運指の技術を磨くし、師事する先生のメトード次第で音質が変わったりするわけだが、
声楽の声帯に当たる部分、すなわちヴァイオリンに多大なるお金を出して買わねばならない。
その額が、ウン千万、億とも言われている。

もし子供がヴァイオリンで素質を示したら、両親は先祖伝来の田畑を売り払う覚悟を
しなければならない。運良く田畑があれば良いけど・・・・・。
だから、このまえみたいにベルギーかどこかの空港でヴァイオリンが
取り上げられたりするんですな。

そのヴァイオリンの斡旋に絡んだハナシはいろいろ、りべートの収賄容疑だけではなく、
その楽器そのものの真物贋物で詐欺罪まで進展するとハナシはまた別・・・・
それを下敷きにした本として藤田節子さんの「マエストロ」を紹介・・といった具合に、
本を紹介しながら、ご自分の思いのほどをぶちまける。

紹介の本を読もうと思う前に、青柳さんの語りだけでお腹一杯になってしまうのが難点か・・・。



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