![]() | 歌集 乱反射 |
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角川書店 |
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歌集「乱反射」・・・・・第50回 角川短歌賞 受賞歌集
1986年生まれだから、2007年、もう10年前に出された初めての歌集。
当時20才過ぎ、17才~20才までの274首納められています。
生々しい感性、今スポーツ界でも将棋の世界でも、若い方の活躍が
目覚ましいですが、短歌の世界でも、この様な素晴らしい歌が詠めるなんて。
ご存知のように、お母様は歌人の小島ゆかりさん。
やはり、蛙の子は蛙なんですな。
例によって、お気に入りの歌を
噴水に乱反射する光あり 性愛をまだ知らないわたし
なにもないことはないけどなにもない 或る水彩画のような一日
靴の白 自転車の銀 傘の赤 生なきものはあざやかである
講堂よりオルガンの音のもれるとき 秋はゆたかな深呼吸をする
ぼんやりと季節濃くなり 傘がいるようないらないような雨の日
沈黙の多いきみとの電話では 遠い蜩の声ばかりする
ほしいものがありすぎて少しあきらめて 落ちてる柿の数を数える
バスとバスすれちがいたる一瞬に 十月の風は光ってみえる
たくさんの人がたくさんの願いをしている真上大きな月