ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

新しい猫背の星~尼崎武

2018-08-21 05:05:05 | 本の少し
新しい猫背の星 (新鋭短歌シリーズ35)
クリエーター情報なし
書肆侃侃房

☆☆☆☆

いつも行く本屋ではなく、たまに立ち寄る、梅田や難波、地方の大型の書店では、
必ず短歌のコーナーは覗くようにしています。

短歌の本を揃えているところも少なく、パラパラと見て気になると
この機会を逃すと、なかなか出会えないような気がして、思わず買ってしまいます。

この本もそのなかの一冊。

去年の発刊ですが、この本も新鋭短歌シリーズの35冊目。

私自身の好みもわかってきたような気がします・・・・。

易しい言葉で、人のあり方を問う。

しあわせ って なに。


そんな、気持ちを歌に・・・・・。

ああ俺はしわくっちゃのシャツだけど着る奴くらい選ばせてくれ

牛乳を飲めない人は何を飲み何を鼻から出して笑うの

神さまの優しい声が届かない場所で倒れるわけにいかない

青春はほとんど左右対称でその真ん中にいたこともある

きみの目が少し潤んでいるけれど月がきれいと言っただけだよ

しあわせだなあ ごちそうの両側にちゃんんとナイフとフォークがあって

ひとのしあわせが自分のしあわせにつらがらないとき なにかが違う

しあわせなキスもふしあわせなキスもくちびるとくちびるが触れあう

かわいくてがんばり屋さんで運がいい そんな女を嫁にもらった

悪い夢ばかり毎晩見続けるみたいに今日も会社には行く

「あまがさき、 なんでそんなに猫背なん?」 「死んだら虹になりたいんです」

寝る前に窓を閉めたり朝起きて開けたりして過ごした三連休

両肩にかかる重みは自分から進んで持った荷物のはずだ

半分は冗談だけどあなたにはもう半分をわかってほしい

きみがする恋の話を聞いていて知らない鳥の鳴き声がする

もう俺は恋に心を焦がさない テフロンと呼んでくれて構わない

黒ヤギと白ヤギみたい お互いの手紙を糧にして生きている

あの時やあの時何を思ったの? 答え合わせをさせて下さい

さようならという言葉を教えるね 黙って行ってほしくないから

どれくらい時を巻き戻せるかにもよるけど もう手遅れですか

俺といて楽しいこともあったでしょう 一生にあともう一度だけ思い出してよ

欲しくても手の届かないものがあることは尊いのかもしれない

失った何かをそれはそれとして窓をきれいに磨いて生きる


 大好きな人に幸あれ 今すぐに幸あれ 日常的に幸あれ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする