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短歌の本なのに、なぜか、タイトルが英語で・・・・。
「The Moon Also Rises」、日はまた昇るではないが、月はまた昇る、と。
「The Moon Also Rises」、日はまた昇るではないが、月はまた昇る、と。
ペラペラと見ていると、私の好きなクラシックの作曲家とか演奏家の名が。
すきなもの、興味あるものが、どこまで短歌になりえるか、
興味津々で読み進めました・・・・。
例によって、気になった歌は・・・。
探査機が燃え尽きてゆく瞬間もナポレオンズの頭はまわる
停電の夜にあなたが美しく呼吸している音のみを聞く
夜という夜の行き着く朝という朝まで君を抱きしめている
親友と自称する日のかねてからあなたのことが好きでした 夏
月のひかり濾過されてゆく夜にまたドビュッシーの譜面を開く
日は沈み闇が螺旋を描くとき君のそばにはいられなくなる
みずうみに映るあなたがみずうみに映るわたしにくちづけて 夏
音楽をするひとみな美しき種族(ひと) ジャクリーヌ・デュ・プレ・も君も
言いそびれたことがあったと告げるとき〈そびれ〉に抜けてゆく風があり
言いそびれたことがあったと告げるとき〈そびれ〉に抜けてゆく風があり
閂で閉ざした夜の片隅にチェロ・ソナタなど聴くは寂しも
死を悼む黒衣の君が真っ白なイヤホンで聴くラフマニノフ
深爪の夜にあなたが好きだったエリック・サティを聴くことでしか
かなしみの名に生まれたらかなしみの名もなき愛に伏すトリスタン
アシュケナージを聴かせる夜の首都高に速度超過の悲しみはある
ホロヴィッツの指震えつつ後ろから抱くときの黒髪のさやめき
さよなら、 を一息に打つ指でならペトル―シュカを弾ける気が、 した