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フォトジャーナリズムの世界で最も有名な、
ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」の写真について謎を
沢木耕太郎さんが一つ一つ解き明かしてゆく。
「崩れ落ちる兵士」は本当に撃たれているのか、本当に死んでいるのか。
でも、読みながら真実を知ることと、その結果に何を求めているのか、
真実に近づけば近づくほど、スッキリするのではなく、モヤモヤ感が増す。
あとがきで、沢木さんも言い訳のごとく「私のしたことは、したかったことは、
キャパの虚像を剝ぐというようなことではなかった」、心のどこかにひっかりを
つづけていた、と。
執念とも言うべき、粘着質の探求心、私なら何処かの時点で謎を残しながらも
探求を打ちきるだろう。
世の中には、真実をあからさまにしても誰一人として幸せにならなければ、
そのままにしておくのもあるのかと・・・・。
ことなかれ主義の吾の本心に問いかけてきた本でございます。