志ん生的、文楽的 (講談社文庫) 平岡 正明 講談社 このアイテムの詳細を見る |
二ヶ月、経っても、完読できず、自分自身いやになる。
落語論ではあるが、作者の平岡正明さんの視点が高尚すぎて、
いかんせん、江戸落語で、生で聴いた事の無い、
志ん生さんと、文楽さんで、ましてや内容が学術的で馴染めない。
三木助の「芝浜」を、朝の芝浜の朝明けの清清しい描写が有名だが、
あれだけ、磯の匂いが沸き立つぐらい事細かに演じると、
「あれじゃ、夢だと、思えねえ」と、五代目志ん生が切り捨てていた。と
この様に、CDもあり、確かめるできるところは興味深く読む事ができるが
音源として、我耳に残らないのは、辛いことですな。
江戸落語に出合うた時には、再度、ページをめくる事もあるでしょうが・・。
ひとまず、書棚にいれときます・・・・。
上方ファンの方、平岡正明さんの本では、
まずは、桂枝雀さんを書いた「哲学的落語家」から、お読みなさるのを
お勧めしますな・・・。
饒舌に噺の背景を想像していく訳ですから・・・。
志ん生・文楽は勿論生の志ん朝師匠さえ知らない、そしてウンチクのかなりの部分が分からない僕でも、
平岡氏の文体に乗って読み通すことが出来ました。
そして「これはありえへんやろ」という想像や、時々間違っているウンチクを見つける楽しみもありました。
ただ、松鶴師匠の『らくだ』を、晩年のNHKビデオから判断されているのは残念ですね。
せめてお元気な頃のスタジオ録音を聴いて欲しかったなあ、と思います。