日本からブルガリアに来てまず気付くことはバスや路面電車、自動車などが何だかず~っと昔のデザインのまま変わらない、ある意味なんだか懐かしい感じさえします。
以前にこのブログでも取り上げたロシアンカメラ、FED2も最初はライカのコピーだったのが、いろいろなロシア的(というかソ連的)改良が取り入れられて独自の形に変化して行ったとか。でも同じ形で1950年代から70年代までおんなじモデルのものがほとんど変化せずに作られたんだって(!) ずっしりとした金属のかたまりで「パシャ」とシャッターの切れる音もなんともカメラらしい・・・ それも、ライカだったら本当に高級品なのに、ロシア製のFED2だと手に入る値段・・・ 何だかバッタ物っぽくて怪しげな所もあるのはご愛嬌、お手軽さがなんともコレクター心をくすぐるのです。そのお手軽さ、せっかくこんな興味深いものがあるのなら「自分にご褒美」としてそのコレクター心に火をつけちゃおうかなア・・・
そんなおもしろいものが集まる所がソフィアにあります。アレクサンデル・ネフスキー教会の周りにでる蚤の市、旧共産体制時代の小物たちが集まっています。コイン、ライター、バッチなどの小物、そしてカメラ、さらには暗闇でも見れるという双眼鏡。何だか怪しげなものまで・・・
さて、次の「自分にご褒美」、何にしようと思いその蚤の市を歩いていると、次のコレクター・アイテムに目が行ってしまいました。それは腕時計です。ちなみに宇宙に最初に行った腕時計ってソ連製だったって知ってました? だって最初に宇宙に行ったのはソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンで彼がしていたのがパリョートという時計だったそうです。さすがに同じ物は蚤の市にはなかったのですが(復刻版はあるらしく、結構人気らしい。)何かおもしろい時計はないかなあ・・・ と探していると、ありました、ありました。パリョートの腕時計でアラームの付いたモデル。2時の所と4時の所にリューズが付いていて、2時のを巻くとアラームのぜんまいが巻けます。アラーム、といっても目覚し時計のようなもので、「じー~ー~-~」とセミの鳴き声のような音なんですが・・・ちょっと地味な茶色だったけど何だかちょっと変わっててオシャレ~。少し興味深げにみていると露天のお兄さんが説明をはじめました。「ちゃんとアラームもなるし、裏にはシリアルナンバーも入ってるよ。」う~む。で、いくら?「80レバ。」高ッ!これじゃホントに「自分に大きなご褒美」のときにしか買えないなあ。でも待てよ。ここは観光客相手の蚤の市。きっと別の所でもっと安く手に入るに違いない!
ブルガリア人は何でも古いものを直して大事に使います。かばん、靴、そして時計。街にはそんなものを修理してくれる小さなお店(たいがいじいちゃんが一人でやっている)がたくさんあります。そういえばペルニックで時計の電池を変えてくれたじいちゃんの店にはないかな? と郵便局に行ったついでに行って尋ねてみました。「ロシアの時計、探してるんだけど・・・」「どうすんだ、日本で売るのか?」「いえいえ、自分のためですよ。」なんて問答があって、結局は「う~ん、今はないな。でも自分で使うためなら探しとくよ。」
その後何回か、じいちゃんの時計修理屋を通るたびに聞いてみたのですが・・・ 「アラームはないけど他のならあるよ。ボストークとか、スラバとか。これもいい時計だよ。」んん~、魅力的なんだけどやっぱりアラームつきが欲しい・・・
そんなこんなしているうちにmiyoさんご夫妻を訪ねてブルガスに行ったとき、miyoさんたちのお家のすぐ近くにも「チョソブニカル」(時計修理屋)が。そして入り口からパッと覗いてみると、何と!!パリョートのアラームが3つも!!! こんな所で見つかるとは!! そして値段も蚤の市の三分の一以下! チョソブニカルのじいちゃん(やっぱりここも!)は、右手にも左手にもデッカイ時計をしています。「あんた、日本人かい? 俺は日本が大好きなんだ!! 第二次世界大戦のときブルガリアは枢軸国(日・独・伊)側だったんだ!」おでこにくっついているルーペを障りながら話すじいちゃん。(どうやってくっついてるんだろう?)なんともうれしくなってしまいました。
シンプルなデザインで、下のほうに小さくUSSRと書いてあります。使ってみると、一日に1~2分遅れるこの時計、やっぱりソ連製だからかな? 今度ペルニックのチョソブニカルのじいちゃんのところに持っていって調整してもらおう!