ウチの大家、エンカばあちゃんが亡くなって早半年以上・・・ ワタシの住むのアパルタメントはエンカの次男ルーメンと、亡くなった長男の方の娘、つまり孫に相続されました。ブルガリアの法律ではやはり直系三親等が法定相続人らしいので、この孫の母親、つまり亡くなった長男の妻で現在は未亡人の、エンカの嫁であるルドミラには何の権利もないらしい・・・ なんだけど、ウチの家賃はこのルドミラに払うことになりました。理由は・・・
次男ルーメンは前にも書いたけど脳溢血で右半身が不随、言葉を発するのもままならず、エンカがなくなってから施設に入っているので自分では来れない、お金の管理もできない。さらに孫のほうにはさらに子供が二人いてその上仕事もしているのでちょっと出て来れない・・・ そういうわけなのでルドミラが一番自由が利くこともあって代理で家賃を回収しているらしいのです。ルドミラは自分のものにならないお金をもらいに来る・・・ いい人ですねぇ~。ブルガリアでは珍しいタイプのまじめな人です。
実はエンカが亡くなってからこの方、ワタシが住んでいるこのアパルタメントを売ってしまうんではないかと内心ビクビク・・・ 長引くクリザタ(危機)に例の電気や温水の値段の暴騰もあり、不動産を手放す人が増えていることを考えるといつ「ここを売るんで出て行ってください」といわれても不思議じゃなかったのです。ただ、エンカの相続人は二人。両方が同意してサインしないと不動産を売ることはできません。このアパルタメントは元々次男ルーメンが住んでいました。でもお孫さんのほうは1回、10年以上前に来たことがあるだけだし、ルドミラにいたっては一度も来たことがない!! どこに何があったかも正確には知らない、との事。エンカは二つアパルタメントを残しているし、ルーメンが積極的に売る気でなければこのリューリンのほうのアパルタメントはそのままにしておくらしい・・・ つまり、この家の中にいったい何があったか正確に知る人は居らず、ワタシが住むか、または不動産屋を通して売るなら家の中のものをすべて処分してキレイにしなければならない、ということになります。
で、今まで部屋の一部を占拠していたいらないものを処分することに決めました。まずは古~~いオーブンコンロ。4つある電気コンロのうち1つしか使えず、オーブンも使い物にならなかったので味噌やジャンキ干しを保存する棚の役目しか果たしていなかったのでまずはこれを・・・ でも、大きくて重かったので出せなかったのですが、友人のデヤンチョに手伝ってもらってやっと捨てました。さらにほとんど内容の何もないイラナイ古本や電気ケーブル、焦げ付いた鍋や料理用のバット、どんな旅行に持ってってたんだろうと思うようなトランクなどもポイッ!!
1階まではエレベータに載せればいいけど、それからごみ置き場まではちょっとあるなあ・・・ なんて思っていたら、ごみの中から再利用できるものを集めている、というかごみを漁っているロマのおじさんがゴミ捨て場に。(写真はそのおじさん当人ではありません)
「エホー(ブルガリア語で「おーい」のような呼びかけの言葉)。そこの人、ポダラク(=プレゼント)だよー!! 取りに来てー!! ハイデ~!!!」というと、大喜びで持ってってくれました。 「これで子供に何か買ってやれるよー。ありがとー。神の祝福があなたと子供たちにありますように・・・」なんて言いながら。ちなみにデヤンチョはまだ結婚してもいませんが(笑)。でもホントにこれで5人くらいの家族が何日かパンを買える位にはなるでしょう。こっちもスッキリして大喜び!! 前の住人の置き土産が誰かの役に立った!! よかったネ(笑)
ちなみに、ブルガリア人のお宅の壁をよく飾っている刺繍作品(のカラーコピー。笑)の額と古い(といっても共産時代ではなく90年代のようですが)ブルガリアのファッション雑誌(「シンガーミシン」の宣伝広告のようでもあります)と付録の型紙も発見されました。90年代ファッション、またクルかなぁ? だれか縫ってみたいですか?