MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』

2013年09月12日 | BOOKS
『泣き童子 (ナキワラシ)三島屋変調百物語参之続』
宮部 みゆき・著
文藝春秋


 三島屋のおちかさんが百物語を聞くシリーズ、3冊目。
 今回も、人間の怖さ・切なさ・優しさが静かに伝わってくる宮部さんの時代物ならではの人間味のある物語です。


 夏休みの帰省の間、1冊の本も新聞も読む時間がなかった私のイライラをきっちり鎮めてくれました。
忙しいと忘れがちな幸せも、自分の中にある暗く汚い感情も思い出して、読むことで自分を洗ったようなリセットしたような気持ちになるのは、辛い過去を持つおちかさんが百物語を聞くことで得ている何かと一緒のものかもしれません。
 もしも、このシリーズが本当に「百物語」だとしたら、1~3巻で15話、とても先の長い話です。物語の中では1年ちょっとの歳月ですが、物語が語りつくされるまで、こちらは何年かかるでしょう?作者にも、読者にも歳月が流れて、百話目を読むころにはどうなっているか、なんだか楽しみでもあります。
 面白いのが、1巻・2巻・3巻に収録されている物語は、それぞれ掲載されていた雑誌も単行本の出版社も違うこと。
 1巻「おそろし」の角川文庫版の解説で、縄田一男氏がこの物語を「怪談による心療内科」と評していますが、場所を変えあちこちで診察している町医者のようなものかもしれないですね。

 思わず笑みがこぼれるような、人との交流もでてきて、希望の光が見える3巻。
 続きをまた待ちましょう。


<関連サイト>
宮部みゆき『泣き童子 三島屋変調百物語参之続』特設サイト - 本の話WEB
『おそろし 三島屋変調百物語事始』 角川書店
 「三島屋」シリーズ第1弾
『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』 中央公論新社
 「三島屋」シリーズ第2弾
コメント
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