MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『プーと私』『新しい大人』

2014年06月28日 | BOOKS
『プーと私』
石井 桃子 著
河出書房新社

『新しいおとな』
石井 桃子 著
河出書房新社


 『プーと私』は黄色い表紙に花とミツバチ、『あたらしい大人』は水色の表紙に雲と鳥のイラストです。

 『プーと私』(「POOH AND I」)には、「クマのプーさん」や井伏鱒二さん翻訳の「ドリトル先生」についての話、そして海外の児童図書の出版社や図書館を訪ねた1年の旅の想い出などのエッセイが収録されています。 
 『あたらしい大人』(「A NEW SPECIES OF GROWN-UPS」)は、子どもの本や児童図書館についてのエッセイを集めています。

 別々の雑誌に掲載されたものを集めているので、似たようなエッセイがいくつも続きますが、現代のような「コピー&ペースト」ではなくて、ひとつひとつ一筆一筆心を込めて書かれているので、それぞれのエッセイの言い回しや文章の構成の違いを感じるのも興味深いです。

 それにしても、『新しいおとな』とは……。
 「new species」と言えば、「新種」。「grown-ups」は「大人」でもあるけれど「成熟したもの」です。
 親が「成熟したもの」であるのかは、自分自身非常に自信がないところです。しかも、「新種」。
 この本の表題エッセイでは、「子どもといっしょに笑い、子どもといっしょに胸をうずうずさせることのできるおとな」と書かれています。そして、その新種の大人が「だんだんふえてきているような気がする」と……。
 1966年に「ふえてきているような気がする」と言われた「新しいおとな」は、今はどうでしょうね?
 きちんと成熟した「おとな」でありながら、子どもの気持ちのわかる「おとな」。
 困ったことに、成熟せずに子どものままの「おとなもどき」が増えてきているような気がして心配です。

 

<関連記事>
『家と庭と犬とねこ』『みがけば光る』
 河出書房から出版されている石井桃子さんの随筆集。『家と庭と犬とねこ』は桃色、『みがけば光る』は黄緑色の表紙です。
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