~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

進化する初女先生

2013-08-09 23:41:18 | 日記
次の朝、私は寝ている同室の人を起こさぬように、そっと台所へ

行きました。

イスキアに来た時の楽しみは、朝食の準備に加わらせて頂くこと

なんです。

先ずは、お掃除!

なぜか、掃除機までもが静かなイスキアです。

岩木山の方から真っ直ぐに、イスキアの玄関を通り廊下まで

射しこんでくる朝日は、神々しさえ覚えます。

しばらくすると、初女先生がエプロンをして、

「おはようございます」と、静かに登場するのです。

スタッフさんが「先生、カボチャはこのお鍋でいいかしら?」

と言ったので、私は心の中で「ヤッターカボチャだよ」と

叫んでました。

初女先生の名人芸のような、カボチャの並べ方に

「おみごと!」と、またしても心の中で拍手!

味付けはザラメと醤油と水だけ、こんなにもシンプルなのに

食べると、カボチャってこんなに美味しかったっけと、

思わず笑顔になってしまうほどの、美味しさなんです。

今回、ご飯の水加減はしっかり見ようと心に決めて来ました。

初女先生の横にぴったり坐って、目を皿の様にして

みてました。

先生のあまりの真剣さに、私も息を止めて見ていました。

だけど、分からないのです。

イスキアのスタッフさんに聞いたことがあるのですが、

答えは「私らだってわからないよ。先生しかわからないよ」

でした。

20年以上先生のご飯炊きを見て来た人が、そういうのですから

私なんか、分かるはずがないのです。

全てのお料理の味付けは、先生がなさっていました。

一人ひとりに、イスキアの梅干しが添えられていました。

それなのに、こともあろうに私は「先生、今年漬けた

私の梅の味見て下さい」なんて先生に梅干しを差し出して

しましました。

一昨年は、味はいいけれど色がさえないのは、紫蘇が

足らないからです。と言われ、去年はよく干して味は

いいけれど、堅いのは塩が多くてしまったから。と

言われたのです。

今年はと、ドキドキしていると「最高です(あまり嬉しくて

よく覚えてないのですが)」本当に大変なお褒めのお言葉を

頂きました。

やっぱり、時間と心を掛けたから、梅干しさんも美味しく

なってくれたんだなーと梅干しに感謝しました。

一番若い女性に、先生のお隣に座ったらと、声をかけると

パットお顔が明るくなり、嬉しそうにちょこんとお隣に

坐られました。

今回、とっても驚いたことは、「直さん、通訳ね」と

言われたのですが、先生のお耳が聴こえているのです。

私は思わず「ねえ、先生聴こえているよね」と言うと

先生はこくんと頷くのです。

「えーどうして!」と大声をあげてしまいました。

すると先生は「ある日突然、ポンと聴こえるように

なったの」と…

もう、びっくりでした。

90歳を過ぎて白内障の手術をしたら、よく見えるように

なって、メガネがいらなくなったし…

先生は、お体のことを自然のながれでと、言われますが

「初女先生、進化している!」とまたまた大きな声で

言ってしまいました。

さあ、お食事の後は、待ちに待った初女先生の

おむすびの時間です!!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする