明日は収穫祭だ。みなの前で踊らなければならない。アシメックはそれに、少し不安を感じていた。目眩を感じることが、最近頻繁になってきているのだ。無事にやれればいいが。
稲蔵にいっぱいに並んだ米の壺を見渡しながら、アシメックは隣のシュコックにぼそりと言った。
「シュコック」
「なんだ?」
「おれが死んだら、次の族長をたのむ」
シュコックははっとして、アシメックの顔を見た。
髪に差したフウロ鳥の羽が少し傾いていた。頬の化粧も少し剥げている。気づかなかった。アシメックは疲れている。
シュコックは、しばし答えられなかった。だが、何かを言わなければならないと思った。アシメックの目が真剣だったからだ。
「……わかった」
シュコックは静かに言った。
収穫祭はいつもよりずっと盛大に行われた。酒造りの女が喜んで、いつもよりずっと多い酒の壺をだしてくれたのだ。みなが自分が蓄えていた栗や干しグミなどを出しあい、みなで大いに喜んだ。