ジョン・シンガー・サージェント
メドゥーサはゴルゴンの三姉妹の末娘。かつては美しい女だったがアテナの嫉妬をかって、頭髪の一本一本が蛇だという恐ろしい怪物に変えられてしまった。その顔を見たものは石になった。後にメドゥーサはペルセウスによって首を斬られて退治された。その首からはペガススとクリュサオルが生まれたという。
*
ペルセウスの英雄譚になっていますが、神話を見る限り、メドゥーサはそれほど悪いことをしている訳ではありません。ただ美しかったというだけで嫉妬を買っただけなのです。見ると石になるという話も眉唾だ。確かに美女を見ると、人はしばし石になったかのように動けなくなる。そういうことに尾ひれがついたのではないかという憶測もできる。人間は美しい女を見る時、そんなのは馬鹿だ、本当は醜い嫌な奴なのだと言いふらすときがある。本当のメドゥーサは、男に退治されねばならないほど悪い女ではなかったのではなかろうか。