ホセ・デ・リベラ
アグネスはローマの上流階級の娘だったが、たくさんの縁談を拒んだため、キリスト教徒として告発された。そして異郷の女神に供物をささげることも拒んだので、売春宿に売られることになった。アグネスは衣服をはぎとられ、裸のまま売春宿に売られたが、そのとき彼女の髪が足まで伸びてその裸体を隠した。売春宿では待っていた天使たちが彼女を守り、だれも彼女に手を出すことができなかった。アグネスは処刑されることになり、剣で突き刺されて13歳で殉教した。
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強姦被害者の守護聖人とも言われる聖女の伝説です。実際はこのように、神や天使の加護はなかったでしょう。そのようなものが得られるには、実に高いことをせねばならないからです。普通の女性は、男性の暴力に圧倒されるしかなかった。傷ついていく女性はたくさんいました。わがままな男たちは、自分の言うことを聞かないというだけで女を憎み、無理矢理犯した上で殺すのです。アグネスもまたその犠牲者のひとりでしょう。男性はこの事実から逃げることはできません。自分もまた、アグネスのような目に合わなければならないからです。