オラツィオ・ジェンティレスキ
14世紀にローマの貴族の家に生まれたフランチェスカは、修道女として信仰に生きることを望んだが、両親の望みによってある軍人の元に嫁ぎ、六人の子をなしてよき家庭を築いた。夫に尽くし子に愛を注ぎながら、慈善に尽くし、貧者や病者のために働いた。国が乱れ、夫と息子が敵の捕虜となり、貧しさに落ちても心迷わず、献身的に世のために尽くした。そして夫には最後まで妻として寄り添い、夫が亡くなってからある修道院の門をたたき、修道女としてこの世を去ったという。フランチェスカ・ロマーナのそばにはいつも守護天使が描かれている。彼女にはいつも、足元を照らしてくれる守護天使の姿が見えていたという。
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やさしげな女性だ。幼子イエスに注ぐ優しいまなざしが美しい。フランチェスカ・ロマーナは実在しました。宗教的プロパガンダによって多少ゆがめられて入るようだが、彼女が生涯家庭と世間のために尽力したのは本当のようです。このころには、模範的に生きる女性の存在が許されていたのです。後に、こういう女性はあらゆる凡庸の人に嫉妬されて、いじめられるようになる。清らかに生きる女性がひとりでもいれば、馬鹿なことばかりする人間の正体がばれていやなことになると思った人々が、こういう人を目の色を変えて攻撃するようになる。こんなものはみな嘘だと。ぺてんだと。人間はみんな馬鹿なのだと。だが、本当は、こんな女性はたくさんいるのです。