ヘーラルト・セーゲルス
婦人たちは、安息日のおきてに従って休んだ。そして、週の初めの日の明け方早く、準備しておいた香料を持って墓に行った。見ると、石が墓のわきに転がしてあり、中に入っても、主イエスの遺体が見当たらなかった。そのために途方に暮れていると、輝く衣を着た二人の人がそばに現れた。婦人たちが恐れて地に顔を伏せると、二人は言った。「なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか」
(ルカによる福音書)
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キリストの復活の神話は、子供の甘えのような嘘です。大切な人を殺してしまった罪から、簡単に逃げたいと思う人間の、甘い夢です。実際はもちろん、イエスは復活などしませんでした。死体は辱められたあとに墓に納められ、そのまま朽ちていったのです。霊魂はその故郷に帰り、地上にはかえってこなかった。人間の肉体は、一度死に染まれば生き返ることはありません。しかし人間の魂は時にその喪失と罪への脅えに耐えきれず、こういう夢を描いてしまうのです。あの人は本当は死ななかったのではないかと。或いは、死からもよみがえることができるほど、すばらしい人なのではないかと。こうして、イエスを神に押し上げる神話が作られていったのです。