ピーテル・パウル・ルーベンス
ユダヤ人の王となると占星術者たちが予言したイエスが生まれた時、それを恐れたヘロデ王は、ベツレヘムとその周辺にいた二才以下の男の子を皆殺しにさせたという。
*
イエスが生まれた当時、こういうことは起こりませんでした。これはイエスの人生を輝かしいものにしようとした福音書記者の創作です。しかし、これと似たようなことはかつてありました。凡庸な人間の男が、ある年齢以下の子供を皆殺しにしたことはあったのです。あまりに悲惨なことだったので、人間の記憶にそれが刻まれていた。その伝説が、イエスの神話に反映したものでしょう。そのとき、子供を皆殺しにした男たちは、もう永遠に自分の子供は生まれなくなったそうです。