ギュスターヴ・モロー
海神ネレウスの娘、美しいガラテアはアーキスと恋に落ちたが、ガラテアに恋した一つ目の巨人ポリュペモスに嫉妬され、アーキスを殺されてしまう。
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この絵は一つ目の巨人(キュクロプス)ポリュペモスがガラテアに一目ぼれするシーンが描かれています。影から彼女を見る目が真剣そのものだ。たったひとつしか目がないことがまた印象的です。一つの目は、バランスをとるなにものも存在しないことを意味する。恋したら、それをとめるものがない。馬鹿になって追いかけ、すべてを駄目にしてしまうまで止められないのです。ガラテアはポリュペモスの子を産んだという話もあるそうですが、それは真実を見抜く力の弱い人の想像だ。ポリュペモスはたいてい、ガラテアを殺してしまいます。たやすく落ちるような女性だったら、男はそこまで好きにならない。かなわぬ恋を思い通りにしようとする男は、必ず女性を殺すのです。