リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

名古屋音楽大学図書館

2007年04月18日 10時45分51秒 | 音楽系
久しぶりに名古屋音楽大学の図書館に行って来ました。去年の6月以来です。ここには、結構いろんなマイクロフィルムがありますが、今回行きましたら、また新しいものが入っていました。ベルリン市立図書館蔵のバッハコレクションです。カンタータや器楽曲など結構ありましたが、39番と198番のオリジナルをコピーしてきました。このバッハコレクションはマイクロフィッシュの形で収蔵されてます。これらはカラーフィルムに収められているのですが、大学のプリンタはモノクロなので、シミのある部分が大変読みにくくなってしまいます。カラーのプリンタを装備して欲しいところです。

39番と198番はそれぞれ新バッハ全集版もコピーしてきました。39番には、タモリの空耳アワーに出せるアリアがあるんですよね。もちろんそれだけがコピーの目的ではないですけど。(笑)

198番はカンタータの中で唯一リュートが指定されているもの。2本のリュートが使われます。この曲は失われたマルコ受難曲のパロディと言われています。バッハは受難曲の中では、ここぞといういい場面でリュートを登場させます。マタイ受難曲の50何曲目だったかのアリアも第1稿ではリュートがオブリガート楽器です。昨年、今村泰典君のリュートでバッハコレギウムが名古屋で第1稿版で、マタイを演奏しました。普通よく演奏される版では、この部分はヴィオラ・ダ・ガンバのオブリガートです。

ヨハネ受難曲でも第19曲目のアリオーソでリュートが出てきます。ヨハネでは普通使われる版でリュートが使われますが、リュート奏者不足?からあまりリュートで演奏することはなかったですが、最近ではちょっと事情が好転しつつあるかも。(日本での話。ヨーロッパでは100%リュートが使われる感じです)このアリオーソは、リュートのことを考慮して、弦はヴァイオリンではなくヴィオラ・ダ・モーレです。モダンオケで、ヨハネを演奏するので、リュートを弾いてくださいなんて頼まれると、ヴァイオリン相手でこの曲を演奏することになります。これはちょっとつらいです。

ことしの4月1日にバッハコレギウムが名古屋でヨハネを第4稿で上演しましたが、この版は件のアリオーソの部分はリュートではありません。昨年のマタイといい、今回のヨハネといい、バッハコレギウムは結構レアなことをやってます。

名古屋音大のマイクロフィッシュ、カンタータ以外も見てましたら、997番もありました。当然コピーです。それと無伴奏ヴァイオリンソナタイ短調の鍵盤編曲版もありましたので、これもコピーしてきました。

それにしても時代が変わりましたね。バッハのオリジナルだと昔は連絡のつきにくい「東ドイツ」の図書館や博物館に照会しなくてはいけませんでしたが、地元の音大で手に入る時代になっちゃいました。もっとも利用者はほとんどなく、というか私とあとこの間のリサイタルで共演したチェロの高橋君だけらしいです、今のところ。オリジナルの資料に興味のある方はぜひ行ってみたらいかがでしょう。年会費2000円、それ以降の更新料年間1000円払えば誰でも閲覧とコピーができます。ただ、コピーは著作権の関係で制限がありますので、そのあたりはご留意のほどを。