リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハのリュート組曲995タブ化メモ(9)

2009年04月06日 11時32分00秒 | 音楽系
この組曲を演奏するにあたり、ヴァイスの曲などと比べるとバスの音が多いので、バスラインが濁らないようにしなくてはいけません。ほとんどは右手の親指とか手の甲で消すことになりますが、手の甲で消音する方法は、音を消しすぎないように注意しなくてはなりません。

こういった演奏上のポイントを踏まえながらタブ化していくわけなので、実際の作業としては、一旦ざっと楽器を使わずにタブを書いてみて、その後それを弾いてみて改善を重ねていくという方法をとります。従ってタブ化が完成=演奏がほぼ完成、まぁコンサートで演奏できるレベルのちょっと手前くらいには仕上がります。

いままでもずっとこの方法を取ってますが、何十回も改訂を重ねますので、鉛筆で書いては消し、書いては消しの連続です。数えたことはないので、わかりませんがひょっとしたら何十という単位ではすまないかもしれません。鉛筆書きをせず、タブラチュア・セッティング・ソフト(Djangoなど)で「初版」を作り、どんどん改訂を書き加え、一定のところまで改訂がすすんだら、ファイルを更新、という方法をとることもあります。この方法だと、「改訂の歩み」が残るというメリット?はあるかも知れません。もっとも歩みが残ってなんなんだとは言えますが。(笑)

バッハの編曲でよく見られるのは、ほんとうに上のような演奏を通しての実際的なタブ化をしたんだろうか、と思える「編曲」です。実際には弾いていない、あるいはそもそも弾けないようなタブも結構見受けられます。その点、出版されているホプキンソン・スミスや今村泰典の版は練りに練ったタブ(運指も含めて)だという感じがします。