リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

チェロ6

2010年03月11日 12時42分39秒 | 音楽系
最近、無伴奏チェロ組曲の第6番のリュート編曲を手がけ始めました。そもそもチェロ組曲は非常にリュートに適している(ひょっとしたら、かなりの曲はリュート編曲があった、とかオリジナルがリュートであった?)にもかかわらず、リュート奏者の中では録音している人が少ない曲です。

それは恐らく、編曲の問題に行き当たるのではないかと思います。編曲自体は結構存在していますが、バスのつけ方がいい加減なものが多いです。きちんと納得できるバスがついているのは師匠のホプキンソン・スミスくらいじゃないかと思います。ただ彼は残念なことに4番と6番しか録音してませんが。

さて6番を何調で弾くか、がまず問題ですが、この組曲の場合は、どうみてもオリジナルのニ長調で決まりですね。こういうのは編曲する際、1プロセス減るので楽です。(笑)オリジナルの五線譜をそのまま使って編曲の作業ができます。

そもそもこの曲はチェリストにしても大変な曲で、バッハのオリジナルは普通の楽器の第1弦よりも5度高い弦を1弦側に要求しています。これはもはやチェロではないので、この楽器はヴィオラ・ポンポーザとかヴィオロンチェロ・ピッコロではないかとか言われていますし、最近ではヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ(肩掛けチェロ)で演奏している人もいます。でも決定的なことは分かりません。ま、私の場合、バロック・リュートで弾くので、その結論はどうでもいいですが。(笑)

プレリュードとジグをざっと弾いてみましたら、困難そうに見えるところも意外とバロック・リュートでいける感じで、極端に不都合なところはありませんでした。残りの曲も多分バロック・リュートに上手くはまる感じです。この曲は他の組曲よりハーモニーがたくさん書かれているので、どういうバスが暗示されているかということにあまり頭を悩まさなくて済みそうです。