リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

南葵文庫

2010年11月30日 14時11分13秒 | 音楽系
昨日の注、昔のお殿様の・・・は、正確に言うとお殿様の末裔でして、江戸時代に集めたコレクションではありません。リュート関連の楽譜は、ヘンデルやパーセルなど声楽作品がありますので、同時代に日本に渡ってきてお蔵に収められたのならすごいことですが、残念ながらこれらの資料が日本に渡ったのは、明治時代(大正時代だったかな?曖昧ですみません)のことです。

実は南葵文庫のリュート関連楽譜は、アメリカリュート協会経由で入手しました。日本に原典があるのに、アメリカ経由というのも変な話しですが、日本ではどこが管理しているのかわからなかったので、とりあえず入手しました。

私が持っているコピーは不鮮明な箇所が多くて読みづらいのですが、何とか読めなくもないです。ただ、歌詞は判読しづらいです。興味深いのは、リュートの通奏低音パートがすべてタブラチュアで書かれていて、リアライゼイションされているということです。これはなかなか貴重な資料だと思います。というのも、通奏低音による伴奏は普通(現代でもそうですが)低音のラインだけ見て、和音や旋律を即興的にいれながら行うので、楽譜という形で残らないのがほとんどだからです。

17世紀後半から18世紀にかけてかかれたリアライゼーションの実例として大変興味深いものだと思います。あと確かゴーティエの作品なんかもあったと思います。この資料はきちんと注なんかも付けて出版する価値はあると思うんですが、もう誰かどっかでやってるのかな?学術論文くらいは誰か書いてるでしょうねぇ。